株式会社TeraDox(テラドックス)様は、ポータルサイト運営・電子契約・年賀状関連サービスなどを展開するWeb企業。中核事業であるポータル領域にて、2025年に新ブランド『ALLBUM(オルバム)』を新規事業として立ち上げました。
『ALLBUM』は、七五三やマタニティフォトなど、家族の記念撮影を希望するユーザーと写真スタジオをつなぐマッチングサービスです。既存の『七五三クラブ』および『Mamany』で培った知見を活かし、ブランド・体験・技術のすべてを進化させるプロジェクトとして位置づけられています。
今回は、その新規事業におけるプロダクトマネージャーを務めた土本さん(TeraDox様)と、技術パートナーとして伴走した久野(ホライズンテクノロジー)に、構想からリリースまでの舞台裏を伺いました。(以下、敬称略)
株式会社TeraDox 土本 裕美子 / プロダクトマネージャー
ポータル事業でマーケターとして従事した後、ALLBUMプロジェクトで初めてプロダクトマネージャーに挑戦。プロジェクト推進のため技術を一から学び、ユーザー価値を最優先にした製品開発を牽引している。
ホライズンテクノロジー 久野 洋平 / エンジニア・技術担当
これまでもTeraDox様のメイン事業の1つである「My振袖」の技術支援を行ってきた。
課題
・“止めずに”統合:2つの既存サイトのユーザーを維持しながら大規模リニューアル
・段階的価値の創出:長期計画下で分割リリースの仕組み化
・上流〜実装の不確実性:設計・技術選定をどう進めるかの型不足
効果
・既存ユーザーを維持したまま統合を推進、計画どおりにリリース1完了
・企画→設計→実装→運用まで一気通貫の伴走で、その場で仕様を確定し戻りを最小化
・Next.js導入により、SEO・表示速度・開発効率を同時に底上げ
・事業×技術の連携強化で、意思決定と進行のスピードが向上
目次
1. 両社の出会いと共創の始まり
2. 『ALLBUM』とは
3. プロジェクトの全体像と進め方
4. UXとSEO強化を両立させた技術選定
5. プロジェクトの反響と手応え
6. 次の一手(フェーズ2⇒3へ)
1. 両社の出会いと共創の始まり
ーーTeraDox様とホライズンテクノロジーの関係の始まり
両社の共創の始まりは、TeraDox様が技術組織の再編や体制強化を検討されていたタイミングで当社代表・大谷へご相談いただいたことがきっかけでした。
当初は技術顧問としての参画でしたが、次第に支援の領域は広がり、現在ではビジネス視点での上流工程支援から、プロダクト単位での技術実装まで幅広くご一緒させていただいています。「ただ受託する」のではなく、「共に考え、共に動く」──そんなスタンスを大切に、これまで伴走を続けてきました。
2. 『ALLBUM』とは
ーー『ALLBUM』というサービスについて教えてください。
土本 『ALLBUM』は、七五三やマタニティフォトといった家族の記念撮影をしたいユーザーと、写真スタジオをつなぐプラットフォームです。撮影スタジオの予約や比較、撮影後の口コミ投稿、今後開発を予定している予約から写真の共有まで、“人生の節目”を記録する体験を一貫して提供しています。元は「七五三クラブ」と「Mamany」の2サイトでしたが、強みを活かしたまま1つのブランドとして新たに立ち上げました。見た目だけでなく裏側の基盤も再構築し、UX・SEO・パフォーマンスの強化など、事業全体の再設計につながる取り組みを行いました。
(ALLBUM:https://allbum.one/)
3. プロジェクトの全体像と進め方
ーーALLBUMの開発体制や進行はどのように進められたのでしょうか?
土本 プロジェクトはフェーズ1〜3に分けて進めています。まずはUIや基盤のリニューアルを行い、その後に「探す・選ぶ」体験の強化、最終的に「感動を共有する」体験の展開へとつなげていく構成です。
久野 大枠は決まっていましたが、要件は“ふわっと”した状態からのスタート。プロトタイプを早めに触りながら共通認識を作る進め方で、会議の場で仕様の余白を詰め、手戻りを減らすことを意識しました。
ーーチーム体制や役割分担は?
土本 私がPMとしてプロジェクト全体を見て、その他に、エンジニアリングマネージャー、社内デザイナー、社内エンジニア、久野さんの計5人で開発を進めています。
TeraDox 土本さん
久野 私は実装担当です。TeraDox社としては初めて扱う開発技術を今回取り入れてるので、技術的なところをメインで担当しています。エンジニアリングマネージャーの方と技術的な話をして、仕様的な部分は土本さんと話しながら進めました。
4. UXとSEO強化を両立させた技術選定
ーー技術選定はどのように行われたのでしょうか?
土本 ポータルサイトにとってSEOはとても重要なんです。検索からの流入がサービスの生命線になるので、「どの技術を採用するか」が事業成果に直結するテーマでした。
久野 そこで私から提案したのが「Next.js ※」です。TeraDox社内で使っていた技術と近い部分もあり、私自身が得意としている領域でもあったので、スピード感を持って進められると考えました。社内のエンジニアの方からも「ちょうど気になっていた」という反応があり、導入に前向きになっていただけました。すでに画面の表示スピードは従来よりかなり速くなってきています。これから実装する検索部分では、ユーザーにとっても「使いやすさ」を実感してもらえるはずです。
※Next.js(ネクスト ジェイエス)とは、Reactベースのフレームワークで、主にウェブアプリケーションやウェブサイトを高速かつ効率的に開発するために使われます。
ホライズンテクノロジー:久野
ーー2つのサイトを統合するのは珍しいことなんでしょうか?
久野 あまりないですね。基本作り変えることが多いです。技術的には、2つのサイトに見えても裏側では同じソースで動かしていて、分岐で切り替える仕組みを作っています。最初は私も「別で作り直した方がいいかな」と考えたんですが、結局同じになる。だったら統合した方が速いし、期間も短縮できると判断しました。TeraDoxのエンジニアやCSチームがしっかりテストしてくれたおかげで大きな問題もなくリリースできました。
5.プロジェクトの反響と手応え
ーー今回のリリースにおいて、社内外の方々からの反応はどうでしたか。
土本 まずはトップページの刷新でしたが、社内では「シンプルで今っぽい」と好評です。これから機能面も含めて順次アップデートしていくので、ユーザーや顧客からどんな声が届くのか、とても楽しみにしています。
6.次の一手(フェーズ2⇒3へ)
――今後のフェーズでは、どんな進化を描いていますか?
土本 フェーズ2では、「写真を撮る」というところに紐づく、「スタジオを探す」だったり「選ぶ」という体験をアップデートできるような機能を追加したいと思っています。ユーザーさんが自分に合ったスタジオを見つけられるように、条件検索、レコメンド、比較機能を強化し、ユーザーUXと速度を最適化していきます。
最後がフェーズ3で、「共有する、感動する」っていう体験を豊かにする機能を展開していくことを考えています。写真を撮って終わりだけじゃなくて、例えば、親しい友人だったりご家族の方と共有したりというところで生まれる喜びや感動を、ALLUBUMとしてサポートできるような機能を作っていけたらと思っています。
――フェーズ1の初回リリースを終えて、改めてどんな手応えを感じていますか?
土本 「止めずに変える」戦略が社内外に浸透し、進化を実感できるプロジェクトになったと思います。1年ぐらいかけてやってきたので、一緒に作っていったという実感がありますし、自分たちが考えて作りあげたものが世の中にリリースされたのはとても嬉しかったです。
ホライズンテクノロジーとの伴走によって、成果を連続的に積み上げる基盤ができました。久野さんには技術面での実装や調査などスピーディーにやっていただいて、お互いにいい刺激になれたなと思っています。
――最後にメッセージをお願いします!
土本 ALLUBUMはまだ始まったばかりですが、フェーズ2・3でも、一緒に挑戦しながら進めていけたらと思っています。それを私自身とても楽しみにしています。
久野 TeraDoxの皆さんには福岡と東京という距離を感じないほど、とても温かく接してもらっています。土本さんには、経営サイドからの話と現場の間をうまく調整してくれて、本当に働きやすい環境を作っていただいて感謝しています。