チームを変えるのに、カリスマ性はいらない。 「精神論は大嫌い」な主将が、論理の力で“部員の目の色”を変えた話。
H大ラクロス部の部室。 主将のDさんは、チームの現状に頭を抱えていた。 特にBチーム(セカンドチーム)に漂う、重苦しい停滞感。負け癖。「どうせ俺たちなんて」という空気。
「何か、強烈な起爆剤が必要だ」
そんな時に出会ったのが、このプログラムだった。 第一印象は最悪に近い。「名前が怪しい」「時間が長い」。 普段の彼なら絶対に見向きもしない代物だ。
けれど、彼は直感した。「この違和感こそが、今のチームに必要なんじゃないか」。 毒を以て毒を制す、ではないけれど、この異質な存在をチームに放り込んだらどうなるか。 それは、ある種の賭けだった。
結果、どうなったか。 合宿の夜、彼が部員たちに語りかけた時、そこには過去一番「真剣な眼差し」で食いつく仲間の姿があった。
停滞するチーム。「起爆剤」になるなら何でもよかった
──参加前、チームはどんな状況でしたか?
Bチームの雰囲気がとにかく悪かったです。 負け癖がついているというか、停滞感が漂っていて、目標に向かう熱量が明らかに足りていませんでした。「このままじゃマズイ、何かを変えなきゃ」という危機感だけが、ずっと胸にありました。
──最初にAchieversを知った時の、率直な印象は?
「めちゃくちゃ怪しいな」これに尽きます。 まず名前が胡散臭い。それにセッションの時間割を見たら「長すぎだろ」と引いてしまった。実態が掴めないし、「なんでそんなことしなきゃいけないの?」と、完全に斜に構えて見ていましたね。
──それでも導入を決めた、一番の理由は?
チームの停滞した空気を壊すには、ある種の「起爆剤」が必要だったからです。 確かに怪しい。でも、話を聞くうちに直感的に「面白そうだな」と感じる部分もあった。この違和感が、逆にチームに新しい風を吹かせるんじゃないか。そう思って、腹を括りました。
もちろん、チームへの説得は大変でした。「怪しい」って反応が来るのは分かっていたので、誤魔化さずに自分の言葉で長文のLINEを送って。最終的に、本気で変わりたいメンバーに絞ってスタートすることになりました。
「気合」だと思っていたら、「超論理的」だった
──実際に参加してみて、イメージはどう変わりましたか?
良い意味で裏切られました。 僕はもっと、「気合だ!」「情熱だ!」みたいな精神論を押し付けられると思っていたんです。でも、担当講師のコーチングは、拍子抜けするほど論理的でした。
「なぜ、うまくいかないのか?」「なぜ、その目標なのか?」 その理屈が緻密に構築されているから、疑り深い僕でも納得せざるを得ない。ふわっとした感情論ではなく、再現性のある「思考の技術」を叩き込まれた感覚でした。
──特に役立った「技術」はありますか?
「過去・未来・ポジティブ・ネガティブ」の4象限で物事を整理する思考法ですね。これはチーム内でも流行るくらい分かりやすかった。 あとは、「ゴールを人生の中心に置く」という考え方。目標をただのお題目にするのではなく、定量的な数値に落とし込み、常に現在地を確認する。この習慣がついたことで、練習への入り方が劇的に変わりました。
言葉を変えたら、チームの“眼”が変わった
──その学びは、リーダーとしての行動にどう現れていますか?
一番の変化は、「発する言葉」へのこだわりです。 不必要な言葉は削ぎ落とし、ゴールをイメージしやすい言葉だけを選ぶ。ロジックに基づいた伝え方を意識するようになりました。
その成果がはっきりと出たのが、合宿でのスピーチです。 僕が全部員の前で話す機会があったんですが、みんなの食いつき度合い、真剣な眼差しが、過去一番だったんです。
今までなら聞き流されていたような場面でも、全員が前のめりで聞いてくれている。「あ、言葉が届いているな」という確かな手応えがありました。ただ熱いだけじゃなく、論理と熱量を両立させた言葉だからこそ、みんなの心を動かせたんだと思います。
確信を下げるな。燻っているリーダーたちへ
──どんな人にAchieversをおすすめしたいですか?
「人前で話す機会が多いリーダー」です。 自分の言葉で人を動かさなきゃいけない人は、この「思考のロジック」を持っているかどうかで、チームへの影響力がまるで変わります。
あとは、「燻(くすぶ)っている人」。 現状を打破したいけど、どうすればいいか分からずモヤモヤしている人には、特におすすめしたいですね。
──最後に、かつての自分のような大学生へメッセージをお願いします。
僕がこのプログラムで学んだ、最も重要な教訓を伝えます。 それは、「確信を下げない」ということです。
最初は誰でも、「絶対に達成する!」と高い確信を持っています。でも、時間が経ち、壁にぶつかると、無意識に「やっぱり無理かも…」と確信を下げてしまう。 重要なのは、そこで妥協せず、ゴールへの筋道を論理的に立て直し、確信を持ち続けることです。
もし今、あなたが燻っているなら。あるいは、リーダーとして自分の言葉に力が宿らないと悩んでいるなら。 「怪しい」と思っていた僕が言うんだから、間違いありません。騙されたと思って、一度飛び込んでみてください。