はじめまして、国土交通省ProjectLINKSでマネージャーを務めさせていただいています、川島です。
先日、国土交通省のオープンデータ活用イベント「〖ライトニングトーク〗LINKS:POWER of DATA x DATA 2025」に、コメンテーターとして参加してきました。
そこで、参加者からの意見をいただく中で、自分たちのプロジェクトを見つめなおしてみたので、整理のために記そうと思います。
限定10名のLT、濃度が高すぎた
まずは、ライトニングトーク(LT)の話を少し。
この回は、Project LINKSのオープンデータをテーマに、短時間(最大5分)のライトニングトークでどんどん発表していく形式。テーマは自由で、「LINKSデータを使った作品」「体験」「アイデア」など何でもあり。
実際の発表は、こちらの想像を軽く超えてくる濃さでした。
- 自分たちが作成したデータを使ったアプリの提案
- 率直なデータのフィードバック(耳が痛いけど最高にありがたい)
- ハッカソンで勝つための作戦(強い人の思考が漏れてて助かる)
- 自分の好きな分野に対する熱意(熱量がそのまま企画になってるやつ)
…みたいに、いろんな角度からProject LINKSに切り込んでくださる発表が続いて、「これが、おもしろくないわけがない」というやつでした。
正直、ここだけは躊躇したんですが、、
「自分みたいな若造が、キャリアある方々の発表にコメントしてよいのか?」
ただ、今回は“審査”ではなく、あくまで“意見交換”。なので途中からは開き直って、「ここが気になった」「ここをこうしたらもっと広がりそう」みたいな話をしつつ、逆にめちゃくちゃ教えてもらいました。結果、とっても勉強になりました。
Project LINKS(国のDX化プロジェクト)のリアル
今回のLTを通じて、「自分たちの行政DXプロジェクト(Project LINKS)って、今どこまで来てて、何が課題で、どこに展望があるんだっけ?」を、改めて考えるきっかけになりました。
まず大前提として、国土交通省自体は“データのプロ集団”ではなく、むしろ実務優先の文化です。だから行政情報を“デジタルデータとして整備する”のって、言うほど簡単じゃない。
それでも、Project LINKSは「少しでも使いやすいデータを提供する」方向に進めようとしていて、その裏側では、かなり泥臭い調整・説得・資料作成が積み上がっています。主催が国土交通省で、運営体制もしっかり組まれているのを見ると、なおさら“本気度”は伝わると思います。
「データ観点で整理されていない」って、具体的にどういう地獄か
ここは、作る側の人間として、ちょっと生々しい話をします。
たとえば本来、
- 事業者単位で提出される資料
- 事業者ごとの事務所単位で提出される資料
みたいに“データ単位”が違うものが、同じ束で提出されることがあります。するとPDFの中に異なる種類の資料が混ざる。しかも、事業者ごとに自由フォーマット。つまり、自動分類もしんどい。
例えるなら、「かごの中にたくさんのキノコが入っていて、中には毒キノコもある。食用のキノコだけとってきて、料理して~!」といわれているようなもの。
結果どうなるかというと、最悪、手作業で切り分けながらデータ整備を進めなければならない。(ここを自動化する仕組みも検討してますが、まだ完成形ではないです。。)
データ整備する側としては、正直「勘弁してくれ…」と悲鳴をあげたくなる瞬間がある。
“データ整備しやすいようにもう少し改善してほしい”と願いつつ、それでも前に進める、みたいなのが現状となっています。
行政DXはスマートじゃない。でも、形になった時のインパクトが大きい
とはいえここは、行政側の事情もちゃんと理解したいところで。
行政で働く方って、通常業務を回すだけで一杯いっぱいになりがちで、データ整備やDXって優先順位としてはどうしても低くなりやすい(理解を得られるのはごく一部の方)。だからこそ、決してスマートには進まないし、むしろ地道で泥臭い過程を経る必要がある。
でもその分、少しでも形になった時のインパクトはすさまじいし、社会的意義は大きい。
実際、自分たちが作成したデータを用いてアプリ開発や学術研究がなされているところを見ると、「想像以上に大きなことをしていたんだな、、」としみじみ思います。
昨今ずっと「日本はデジタル化が遅れている」と言われ続けている中で、このような取り組みは絶対的に求められていることでもある。 大げさに言えば、Project LINKSは“この国の課題そのもの”に取り組んでいるのと同義なので、簡単なわけがありませんし、我々もすぐに逃げ出すなどできないのです。
「行政のDX化を支援したい!」と思ってくれている人へ
最後に、これは弊社マイクロベースの話にもつながるんですが、応募いただく方々(特にインターン希望)で「行政のDX化を支援したい!」という人、結構多いです。めちゃくちゃ嬉しい。
だからこそ、キラキラした側面だけじゃなくて、こういう現状(泥臭さ、フォーマット地獄、手作業の現実)もぜひ知ってほしいなと思っています。その上で、「それでもやりたい」と思える人は、たぶん強い。現場で活躍できると思います。
もし、Project LINKSのデータ活用に興味がある方、あるいは「行政データって結局どう料理すればいいの?」と思っている方がいたら、ぜひマイクロベースにご応募ください。
熱意ある方からのご応募お待ちしております。