現在20名の社員が在籍するアスナロ。毎年売上記録を更新し続け、今期の目標もすでに達成目前にあります。ミニマムな組織体制でいかに利益を生み出すか?それは目標の立て方やメンバーのベクトルを合わせることがポイントだと、常日頃から語る当社代表・叶。今回はそのプロセスに焦点を当て、少数精鋭チームの作り方に迫ります。
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代表取締役 叶 楽明
上海生まれ、大阪大学法学部出身。大学卒業後貿易会社へ勤務。レディースアパレル部門で生産管理や仕入れ、貿易事務など幅広く経験を積む。独立後、2012年にオリジナルブランド『RUIRUE BOUTIQUE』をローンチ。オンラインを主戦場に、データ分析に基づく計算し尽くしたものづくりで事業発展に導く。
目標はすべて数値化し、チームがブレないゴールを定める
アスナロではできうる限りの目標設定をすべて数値化しています。あいまいな目標ではなく定量化することで目指すべきゴールを明確にし、スタッフ全員の意識統一を図っています。
アスナロには商品企画・販促・WEB・ECサイトの受発注作業・総務人事の合計5チームがあり、設定している目標はチームによって異なります。例えば商品企画チームなら、新商品の一定期間の粗利が目標の一つ。販促チームはROASで目標を設定(広告を経由してどれだけ売上を得られたか)、受発注作業チームなら月間や単日の出荷件数などが目標です。
また、たとえ各チームの目標設定は異なったとしても、向かうべきゴールは全員一緒だということも忘れてはならないポイントです。仮にどれだけ良いアイテムを商品企画チームが作ったとしても販促が不十分であれば売上は伸び悩みますし、受発注作業が遅ければお客様の満足度も下がりリピートは見込めなくなってしまうでしょう。各チームの目標はすべて一つのゴールにつながっている。だからこそ共通の指標となる目標の数値化は必要不可欠なのです。
掲げた目標をどのようにすればクリアできるのか?それは各チームで相談しプロセスを決定しています。私たち上層部からあれこれと指導するのではありません。アスナロは自律分散型組織なので、スタッフが自律・自発的に動くことで形成されています。メンバー一人ひとりが経営者のような視点を持ち、常に売上や利益を意識しながらチームをマネジメントしています。
大きな目標を達成するために、小さな目標を積み上げる
目標は基本目標・中級目標・上級目標というように、3段階のステップに分けて設定しています。ステップに分ける理由は大きく二つ。一つめは最終目標を達成するためのプロセスが考えやすくなるからです。いきなり大きな目標を掲げてしまうと、そこに行き着くまでの壁が高すぎてどうすればいいのかわからず身動きが取りづらくなってしまうものですが、目標を細分化すれば一つクリアするまでのプロセスも短く区切ることができ、ゴールまでの道筋がイメージしやすくなります。それと同時に目標をクリアしていくことの達成感も得ることができ、モチベーションアップにもつながります。
二つめはスタッフの潜在能力を発掘すること。目標設定が低すぎると本来ならもっと力を発揮できるはずなのに現状に満足してしまい、成長をストップさせてしまう可能性があります。かといってあまりにも高すぎる目標はなかなか達成できませんしモチベーションを下げてしまいかねないので、段階的にすることで指標を計るという目的も兼ねています。
あるスタッフの話ですが、いくつものプロジェクトに自主的に参画してくれるチャレンジ意欲のかたまりのようなスタッフがいました。最初はオーバーワークにならないかな?と少し心配ではありましたが次々と業務をこなしていき、しかもほとんど残業していませんでした。
そのスタッフを見ていると「やりたいからとにかくやってみよう」で突っ走るのではなく、「限られた時間の中で如何に効率良く自分の仕事を推進できるか?」という業務効率を常に考えて取り組んでいたように感じます。そこまで成長してくれるとは経営者としては大変喜ばしいものの、最初の目標が低すぎたのか…?と、ある意味衝撃的でもありました。ただこればかりは任せてみないとわからないことでもあるので、目標設定にはいつも頭を悩ませています(笑)
役割と環境がスタッフの潜在能力を引き出す
潜在能力はみんな必ず持っているものだと思っています。個人の成長意欲に任せるだけにせず、内に秘めた能力を引き出しやすい環境を提供することも大事ではないでしょうか。
例えばアスナロでは新規ECショップの立ち上げなど、新たなプロジェクトが発足するたび参加メンバーを募っています。応募は基本的に個人の自発性に任せてはいますが、「このプロジェクトで活躍できるんじゃないか?」と思うスタッフにはこちらから声かけをして、能力を発揮できるであろう最適なポジションをアテンドすることもあります。
また、チームを編成するときはスタッフの役割やスキルが被らないよう、バランスを見て組み合わせています。チーム内でそれぞれがまったく違う役割を担うことで、プロフェッショナルとしての高い意識と責任感を持ち、実力以上の力を開花させることができるからです。
そして優秀なスタッフが増えてくると、周りのスタッフも感化されていきますね。入社当初は自発性が乏しかったとしても、だんだんチャレンジ意欲や向上心が高くなっていくスタッフがほとんど。とても良い相乗効果が生み出されていると実感しています。
自発性はもちろん大事ですが、良い環境に身を置くことで本人も気づかなかった新たな一面が見えてくることもある。スタッフの力を信じ、より成長を促す環境や組織風土を整えていくことが私のミッションのひとつです。個人の成果を上げていくことで、チームや会社全体もますます強い組織になっていくでしょう。