人生の引き際。
かつて、僕の父親、サラリーマンの父親が、
定年退職の最後の出勤の朝、
玄関先で、
「きょうまでがんばってこれたのは、母さんのおかげだ・・・本当にありがとう。」
こんな事を一度も言ったことがない父親が・・・突然びっくりした。
この後、
母親は当然の如く泣き崩れ、号泣し、
当時サラリーマンだった僕に、
何度も何度も父親に対する感謝の気持ちを訴えていた。
その朝、僕は遅刻したのだが、
人生にたった一度しかない、
その神聖な引き際の瞬間に居合わせたことに感動したし、
父親を誇りに思っている。
人生の引き際や転機。
それは、
ある日突然おとずれることも、
予定どおりのものもある。
「未練」「執着」「独善」。
人にはそれぞれ、そのことに心血注いだという思いがある。
何がベストな引き際なのか、
判断基準があるわけがない。
引き際は、一生のうちに同じ局面は二度はやってこない。
盛大に引退した芸能人やプロスポーツ選手が、
ある日突然復活することがあるが、
それは、引き際を汚しているだけに過ぎない。
引き際を見事に飾れた人と誤った人は、何が違ったのだろうか。
完全燃焼で自らの道に終止符を打つ人、
新たな世界に挑戦するために今の世界にけじめをつける人、
千差万別である。
僕の引き際は・・・
事業家という夢の期限はもう残り少ないと自覚している。