シマダグループが運営する国産米麺専門店COMPHO。意外にもその歴史は長く、本年21年め。ベトナムのフォーを日本人好みにアレンジして提供をしているのです。さて、本日はそんなコムフォーのメニュー開発に新人が潜入してきたお話です。
今回の試食会は、コムフォーの秋限定メニューを決めるもの。
上長のギョッとする発言からはじまりました。
「とにかく売れるフォー!が季節限定には必要なの」
試食会というと、勝手に形式ばったものを想像していましたが、コムフォーの試食会はまるでちょっと遅めのランチ会のよう!メンバーはフード事業部総料理長とその他5人で、コムフォー大崎店の落ち着いた、おしゃれな店内の席について試食会がスタートしました。
開始して驚いたのは、皆さん事前に何か食べてから試食会に挑むということ。
お腹が空いているとなんでも美味しく感じてしまうので、正確な判断ができない為だそうです。
撮影やポスター制作を担当するクリエイティブデザイナーは、数時間前に向かいの丸亀製麺でうどん(同じ麺類!)を食べたそうで、プロ意識に驚かされました。それだったら確かになんでも美味しいとは感じずに的確な感想がでるのでしょうね。
最初の試食は、「海苔のフォー」。こちらはとにかく見た目のインパクト大!
麺がまったく見えないほど海苔で覆いつくされています。
中には、ひっそりアサリも入っていて、海の幸のハーモニーが楽しめる一杯に。
一口食べてみると、本当に美味しい!!海苔の豊かな香りと塩味がマッチして、いくらでも食べれるくらい美味しかったのです。
しかし、皆さんから出てきた意見は、
「確かに美味しいけれど見た目から海苔のフォーをまず頼もうと思わない」
「あっさりしすぎている」
「まるで塩ラーメン」
「海苔はもっといろいろな種類がのっていた方がよい」
「あさりは春や夏のイメージで秋を感じない」
など、客観的で的確な感想。
続いて出てきたのは、オレンジ色のスープに、牛肉やキノコが乗っている見た目にも濃厚な牛のフォー。
一口食べてみると、しょうがと香辛料の香りで、牛肉も甘辛くてコクがありました。
タンドリーチキンに使うスパイスが使われているスープのベースはコムタン。キノコなど秋の食材が、季節限定メニューにはピッタリだと思いました。が、1つ問題がありました。
それは牛肉の量。こちらのフォーは「牛のフォー」と謳いたいため、牛肉をこれでもか~と言う程たくさんのせて提供したいところですが、物価上昇に円安のあおりを受けて、お客様に提供できるのは写真の量で限界とのこと。「このままでは出せない」と一同に口をそろえます。
たしかに、牛のフォーという名前で注文したとしたら、もう少し牛肉がのっていることを期待してしまうかもしれません。
コムフォーのスタンダードメニュー鶏のフォーとせめて同じだけ牛肉をのせたいという想いと、原価率との闘い。販売価格の調整でなんとかなるのか?牛のフォーはベトナム現地ではもっともポピュラーとのこと。コムフォーでもお披露目できる日が来ますようにと願うばかりです。
牛から海苔のフォー、そしてまた牛のフォーに話は行きつ戻りつしながら、活発な意見交換が行われ、どんどんアイディア出て、すさまじいスピードで話が展開されます。そして、そんな皆さんの意見に、総料理長が答える形で試食会は進んでいきました。
季節限定メニューは、『もう一度食べたい』と思わせる一クセも必要。食欲の秋ともいうくらいで、もう少しこってりしたものが良いのでは?という意見に対しては、食欲の秋とも言う一方で、夏の暑さで内臓が疲れる為、火鍋などの回復漢方系が流行るという総料理長の意見。(それは知らなかったです!)
しかしこの2つのフォーでは、どうにも意見がまとまらない様子なので、他のメニューを考えることに。
そこで出てきたのは、以前吉祥寺店限定で出していた、「豆乳グリーンカレーのフォー。」
これならたしかに、秋っぽいし、人気も出そうな商品。
そこからもさらに話は転じ、今回の試食会は次回へ宿題を残すカタチで終了。持ち越しとなったのでした。ちなみに、試食会が1回で終わるケースはなく、納得いくまで何度も繰り返されるようです。
秋限定メニューは10月にはコムフォー各店にて発売開始予定とのこと。今日試食した2つは、また違う年の違う季節で出会えるかもしれませんね。
メニューを考案する総料理長
上長は、「美味しい物をもとめると当然、原価があがる。原価ばかり考えると、お客様のニーズには答えられない。難しいところ。季節メニューは新規お客様獲得のきっかけにもなるので、毎回慎重に決めています。また、季節メニューが売れると社員やスタッフのモチベーションも上がる、売れないとその逆。とっても重要な立ち位置なのです。」とおっしゃっていました。
「とにかく売れるフォーを季節限定でやりたい。」という言葉にはこのような背景があったのですね。
お店の季節限定メニューなど、なぜか頼んでしまうことが多いですが、惹きつけられるには理由があることがわかりました。