【プロフィール】 株式会社StarBoard 代表取締役 矢部 将勝(やべ まさのり) 早稲田大学政治経済学部を卒業後、大手海運会社に入社。世界を舞台に活躍した後、独立。ムスリムの旅行・食のバリアフリー化を目指す株式会社MDJを設立。2019年、事業統合によりセティア マネジメント株式会社(現・株式会社StarBoard)を設立し、代表取締役に就任。経営管理修士(MBA)、国家資格キャリアコンサルタント。
▼株式会社StarBoard 「日本を多才で多彩に。」をミッションに掲げ、主にインドネシア人材の採用支援、教育、生活サポートまでを一気通貫で行う。AIには代替できない、人と人との繋がりを重視した独自のビジネスモデルで、外国人材と日本企業の双方にとっての幸福な未来を創造している。
目次
はじめに
旅の終わり、夢の始まり。船乗りを目指した原体験
名古屋での出会いが導いた、新たな航路
コロナ禍を乗り越えた、AIに真似できないビジネスモデル
理念は「日本を多才で多彩に。」人と企業の“相互理解”を繋ぐ
はじめに
今日は弊社代表の矢部将勝の起業ヒストリーと思いについて、インタビュー形式で記事にさせていただきました。
大手海運会社から一転、外国人材支援の道へ。その原動力は、学生時代に28カ国を旅したバックパッカーとしての経験と、そこで見た忘れられない風景にあった。
なぜ彼は、今の事業に辿り着いたのか。コロナ禍という逆境をいかにして乗り越えたのか。そして、カンパニーミッション「日本を多才で多彩に。」に込めた想いとは。
旅の終わり、夢の始まり。船乗りを目指した原体験
―まず、矢部社長の原点である学生時代についてお聞かせください。何かに夢中になっていましたか?
「ひたすら海外を一人旅していましたね。今でこそ海外旅行のハードルは色々ありますが、当時は周りの友人も含めて世界中を旅するのが一つのムーブメントで、僕も2ヶ月近い休みを利用してはアルバイトでお金を貯め、その資金で海外へ飛ぶ、という生活を繰り返していました。最終的に28カ国を巡りましたね」
―28カ国!特に印象に残っている国はありますか?
「もう25年以上前の話ですが、当時まだ訪れる人が少なかったクロアチアやスロベニアは印象深いです。実は、僕が新卒で海運会社を目指したのも、この旅での経験がきっかけなんです」
イギリス留学中、ポーランド人の友人を訪ねた矢部社長。飛行機でポーランドへ渡り、そこからバスで南下。スロベニアを越え、クロアチアの港町リエカに辿り着いた。
「そこから船に乗ったのですが、お金がなかったのでデッキで寝泊まりしていて。ある朝、船の一番後ろにある船尾に行ってみたんです。すると、巨大な船が進んできた軌跡を示す真っ白な航跡が、朝日に照らされてキラキラと輝いていました。その光景がとてつもなく綺麗で、鳥肌が立つほど感動して。『船って、なんて格好いいんだ』と。単純ですが、その瞬間に『船会社で働こう』と心に決めました」
就職活動では複数の商社からも内定を得た。しかし、彼の心は決まっていた。海外と関わる仕事がしたい。そして、より少人数の採用である海運会社の方が、世界中を巡るチャンスが多いのではないか。バックパッカーの旅で抱いた夢が、彼のキャリアの第一歩を力強く後押しした。
名古屋での出会いが導いた、新たな航路
―海運会社から、なぜ現在の外国人材支援の事業を立ち上げようと?
「きっかけは、名古屋勤務時代に出会ったインドネシアの方々との交流です。当時の名古屋にはイスラム圏の方々が多く、ヒジャブを被った女性を日常的に見かけました。彼らと関わる中で、日本で働く上での様々な課題に直面していることを知ったんです」
当初、矢部社長は「日本の労働ルールを外国人に分かりやすく伝えるアプリやガイド」というビジネスを構想していた。しかし、事業を進める中で、あるインドネシア人女性との出会いが彼の考えを大きく変える。
「リサーチのために名古屋中のインドネシア料理店を巡っていた時、日本在住15年のインドネシア人女性に出会いました。彼女の周りにはいつも人が集まっていて、食事に来た同胞たちの職場や学校の悩みに、親身に耳を傾けていたんです。その姿を見て、ルールを教えること以上に『悩みを相談できる相手』がいかに重要かを痛感しました。今後、日本で働く外国人は確実に増える。彼らの心に寄り添い、悩みを聞くことこそが仕事になる、と確信したんです」
矢部社長はその女性に想いを伝え、副社長として迎え入れる。ここから、StarBoardのインドネシア人材支援の物語が始まった。
コロナ禍を乗り越えた、AIに真似できないビジネスモデル
―2019年1月の会社設立。まさにコロナ禍と重なりますが、影響は大きかったのではないでしょうか。
「ええ、それはもう。ようやくマーケット調査が終わり、体制が整って『さあ、これからだ』という2019年12月に、新型コロナウイルスの話が出始めました。私たちのビジネスは、インドネシアの方々に来日してもらい、企業に繋ぐことで収益が生まれるモデル。人の移動が完全にストップし、思い描いたようには全く進まなくなりました」
絶体絶命のピンチ。しかし、この逆境がStarBoard独自のビジネスモデルを生み出すきっかけとなる。
「従来の人材紹介は、企業と求職者をマッチングさせ、成功報酬として紹介料をいただくモデルが主流です。しかし、条件のマッチングだけなら、いずれAIに代替されてしまう。私は、人間にしかできない価値は、マッチングの『前』と『後』にあると考えました」
マッチング前=「教育」 「企業が本当に求める人材像を丁寧にヒアリングし、そのニーズに合わせて私たちが人材を育成します。特に外国人人材の場合、言語の壁は大きい。仕事で通用するレベルの日本語教育はもちろん、私たちが強みとする介護福祉領域であれば、専門的なスキルも教えます。人を育てる、このプロセスはAIにはできません」
マッチング後=「徹底的な生活サポート」 「日本の文化やルールを知らない外国人が安心して暮らせるよう、入国から出国まで全ての面倒を見ます。コロナ禍であれば、空港への送迎や隔離期間中の食料の買い出し。日常生活では、ゴミの分別といった細かなルールまで、インドネシア語が話せるスタッフが丁寧に説明し、近隣トラブルを防ぎます」
この「教育」と「アフターサポート」に事業の軸足を移したことで、マッチング成立を待たずして教育開始時点から収益が発生するモデルを構築。これにより、人の移動が制限されたコロナ禍でも、なんとか事業を継続させることができたという。
「この経験は、私たちのサービスの根幹をより強固なものにしてくれました。今後もこのモデルを軸に、さらに進化させていきたいですね」
理念は「日本を多才で多彩に。」人と企業の“相互理解”を繋ぐ
―経営する上で大切にされている理念についてお聞かせください。
「私たちのカンパニーミッションは『日本を多才で多彩に』です。様々な才能(タレント)を持った人々が、日本という国に彩りを与えてくれる。その信念を創業以来、ずっと大切にしています」
しかし、矢部社長が言う「多様性」は、単に個性を尊重するだけではない。
「組織において、各々がバラバラに行動していては物事は上手く進みません。私たちが目指すのは、日本のルールや共通認識という土台の上で、個性を最大限に発揮してもらうこと。だからこそ、インドネシアの方々には日本のやり方をしっかり学んでもらいます」
その姿勢は、受け入れ企業側にも向けられる。
「逆に、日本人でインドネシアのことを正しく理解している人は驚くほど少ない。『インドネシアのイメージは?』と聞くと、『ナシゴレン』、ひどいと『カレー』と答える人もいて、インドとの区別がついていないケースさえあります。だから私たちは、受け入れ企業様向けにインドネシアの文化や国民性を知ってもらうセミナーを必ず実施しています。『やらなくて大丈夫』と言われても、絶対にやります(笑)。この相互理解こそが、彼らが入社後に定着し、活躍するための鍵だと信じていますから」
この丁寧なコミュニケーションは、離職率の低下にも繋がっている。問題が起きてからの「報告」ではなく、悩みの種が小さいうちに「相談」できる関係性を築く。そのために、6人のサポートメンバーが約200人ものインドネシア人材に日々寄り添っている。
―最後に、この記事を読んでStarBoardに興味を持った候補者の方々へメッセージをお願いします。
「もしあなたが、誰かの人生を本気で応援したい、人の成長を間近で支えることに喜びを感じるのであれば、StarBoardは最高の舞台になることをお約束します」
▼StarBoardで働くということ:私たちの特徴とやりがい
「私たちの仕事は、単なる人材紹介ではありません。インドネシアという国の未来を担う若者たちの夢を預かり、日本でのキャリアと人生そのものをサポートする、非常に社会的意義の大きな仕事です。
やりがいは、何と言っても彼らの成長をダイレクトに感じられること。日本語が全く話せなかった青年が、私たちの教育プログラムを経て流暢にコミュニケーションを取れるようになったり、慣れない日本での生活に戸惑っていた彼らが、生き生きと職場で活躍する姿を見たり。そうした瞬間は、何物にも代えがたい喜びと感動があります。
もちろん、簡単な仕事ではありません。文化や価値観の違いから、時には予期せぬトラブルも起こります。しかし、そうした困難一つひとつにチームで向き合い、乗り越えていく過程こそが、私たち自身を成長させてくれます。AIには決して代替できない、人間だからこそできる温かいサポート。そこに私たちの価値と誇りがあります」
▼共に働くメンバー:多様性を受け入れるプロフェッショナル集団
「現在、サポートメンバーは6名。インドネシア語が堪能なスタッフはもちろん、多様なバックグラウンドを持つメンバーがそれぞれの専門性を活かして活躍しています。
私たちが採用で最も重視しているのは、スキルや経験よりも**『人の話に真摯に耳を傾けられるか』**という点です。キャリアコンサルタントとして多くの相談に乗ってきて痛感するのは、人は必ずしも答えを求めているわけではない、ということ。ただ寄り添い、話を聞くことで、彼らが自ら答えを見つけ、前に進む力を与えることができるのです。
私たちは、候補者一人ひとりと直接会い、対話することを大切にしています。効率だけを求めるならオンラインで完結すべきかもしれませんが、悩みや不安は、言葉にならない表情や『間』にこそ表れる。その小さなサインを見逃さず、心に寄り添うことを何よりも重視しています。
もし、この記事を読んで私たちの想いに共感していただけたなら、ぜひ一度お話を聞きに来てください。国境を越えて人と人とを繋ぎ、誰かの人生を輝かせる。そんな熱い想いを持ったあなたと出会えることを、心から楽しみにしています」