こんにちは。
京進の経営情報企画部で執行役員部長を務め、Kyoshin Digital Academy(KDA)の統括をしている私から、私たちの挑戦についてお話しします。
ITやデジタルの領域に身を置いて10年以上が経ちますが、私自身の仕事に対する価値観は、当時と今とで大きく変化しました。
かつてはシステムの効率化そのものを目的として捉えていた時期もありましたが、現在は「システムが誰のどのような時間を生み出すか」という視点を持っています。
今回お伝えするのは、京進グループ全体を進化させるために構築した基幹システムと、そこに関わる人々のつながりの物語です。
私たちが何よりも大切にしているのは、仕事を通じた個人の成長や、日々の試行錯誤から得る「まなび」の価値そのものです。
プロローグ:自分の仕事の価値を決めるのは、それを受け取る「相手」である
以前の役割も含め、私は長く組織の仕組みづくりに関わってきました。
その中で、常に立ち戻る思想があります。
経営学者ピーター・ドラッカーの
「企業の目的は顧客の創造である」
という言葉です。
組織の内部にはコストしか存在せず、成果は常に外部にあるとされています。
これを個人の業務レベルに落とし込むと、
「自分の仕事の出力(Output)は、必ずそれを受け取る他者への入力(Input)」
となるために存在するという事実に行き着きます。
経理部の出力は経営者の入力となり、スタッフ部門の出力は事業部門の入力となります。
そして事業部門の出力はお客様の価値になります。
仕事とはこの連鎖であり、自分の仕事の価値を決めるのは、処理した本人ではなく、それを受け取る相手なのです。
この視点を持つことが、私たちのDXの原点となりました。
◆ 多角化のなかで生まれた「部分最適」という現場の課題
京進グループは、教育、保育、介護と、「学びを核として人の一生を支援する」ための事業を多角的に展開しています。
それぞれの事業部において、現場のメンバーはお客様へ提供する価値を高めるために動いています。
しかし、事業が拡大し専門性が高まるにつれ、ある課題が顕在化してきました。
各事業部が自部門の最適化を追求するあまり、組織の壁が生まれ、データや情報の孤立が生じていたのです。
お客様にとっての幸せは、京進のサービスが一生に寄り添い、支援し続けてくれる状態であるはずです。
塾で学んだお子様が、成長して次のステージへ進むとき、あるいはそのご家族が別のサービスを利用されるとき、過去の関わりの記録が途切れてしまうのは、組織側の都合に過ぎませんでした。
◆ 事業部の壁を越えてお客様の一生に寄り添う「つながるシステム」への挑戦
この課題を解決するために私たちが掲げたのが、
「人にしかできない付加価値業務へリソースを集中させる環境づくり」
というDX戦略です。
ITやAIによって定型業務をスマートに効率化し、そこで生まれた時間を、生徒や保護者、利用者様との「対話」や「個別のケア」へとつなげることを目指しました。
デジタルが人の代わりになるのではなく、デジタルがあるからこそ、より人間らしい温かみのあるサービスを提供できる環境を作ろうと考えたのです。
その中核として構想したのが、グループ各所に存在するデータを統合する「つながるシステム」でした。
顧客情報一元管理システムを「ローマC」、従業員情報一元管理システムを「ローマE」と命名。
「すべての道はローマに通ず」という言葉の通り、すべての情報の源泉となる基盤を作る挑戦が始まりました。
◆ 「ローマは一日にして成らず」現場と開発パートナーで向き合う運用の壁
しかし、「ローマは一日にして成らず」という言葉もまた、現実の通りでした。
異なる業務プロセスを持つ事業部の情報を一つの基盤に統合する道のりには、多くの実務的な調整が必要でした。
開発パートナーや社内の担当者と机を並べ、データの定義や運用のルールを一つずつ精査していきました。
システムをリリースした後も、現場からは毎日具体的な使い勝手に関するご意見や課題が寄せられました。
画面の入力項目の配置、データの反映速度など、現場の業務を止めないための地道なアップデートを現在も常に継続しています。
システムの数字を合わせるだけでなく、事業部門のメンバーが「なぜこのデータが必要なのか」を互いに理解し、リスペクトし合う関係性を構築するために、何度もミーティングを重ねました。
◆ データ統合の先に見えた、従業員の「存在を認める」というIDの新しい価値
この取り組みを通じて、私たちは単なるシステムの稼働以上の成果と、大きな「まなび」を得ることができました。
顧客情報だけでなく、従業員情報を統合したことには重要な意味がありました。
システム構築で頻繁に使用される「ID」という言葉は、「identification(身分証明、識別)」の略です。
つまり、IDを発行し管理するということは、システム上で「あなたの存在を認めていますよ」という意思の表明に他なりません。
バラバラだった事業部の情報がローマEによってつながったことで、グループ横断のバーチャル組織「Kyoshin Digital Academy(KDA)」の推進体制も確固たるイメージを持てるようになりました。
自分の仕事の出力が、別の事業部の誰かの入力となり、最終的にお客様の一生を支える価値に変わるという循環が、数字と行動で証明され始めています。
エピローグ:技術と人の温かさを融合させ、共に「ステキな大人」を増やす仲間へ
私たちのDXは、まだ完成していません。
今だ残存するレガシーシステムの刷新や、さらなるクラウドの活用、セキュリティ環境の整備など、向き合うべき技術的課題は常に目の前にあります。
「新しいシステムについていけるだろうか」と不安を覚える現場のメンバーもいるかもしれません。
しかし、私たちが目指すのは技術の強制ではなく、「技術と人の温かさを融合させること」です。
失敗を学びに変える文化の中で、一緒に試行錯誤を楽しめる環境がKDAにはあります。
「デジタルのチカラで、ステキな大人が増える未来をつくる」というビジョンに共感し、ご自身の専門スキルを「誰かのための価値」として活かしたい方と、ぜひ一度お話ししたいです。
あなたの挑戦を、私たちは待っています。