インサイドセールスに特化した伴走型のプロフェッショナルサービス「インサイドセールスエンジニアリング」を提供するMaroo。一般的なインサイドセールス支援の枠を超え、マーケティングから商談・受注に至る一連の流れを横断して支援し、これまでに80社以上・100件を超えるプロジェクトで顧客企業の事業成長を後押ししてきました。
Marooが掲げるのは、「信頼の日本一」というビジョンです。「労働集約」「実行部隊」と呼ばれることも多いインサイドセールスという仕事の可能性を、どのように捉え直そうとしているのか。なぜ、売上や規模ではなく「信頼」を目指すのか。Maroo代表の山梨に、事業に込めた思いを聞きました。
働くことの価値を再定義する
——Marooは「働くことの価値を再定義し、一人ひとりが輝ける社会の創造」をミッションに掲げています。この言葉に込めた思いを教えてください。
私自身、インサイドセールスに10年以上携わってきました。この領域は、「労働集約」や「実行部隊」といった表現をされることが多くあります。
実際、インサイドセールスの成果と投入する時間には強い相関があります。ただ、その時間の多くは、つながらない架電への対応、Web検索とコピー&ペーストによるリスト作成、手紙の印刷・封入・発送といった、地道なマニュアル作業が占めているのが実情です。
これらは重要な業務である一方、個人のキャリアや成長に直結しにくく、仕事の伸びしろを実感しづらい側面があります。
だからこそMarooは、未来のインサイドセールスの働き方を自分たちで定義したいと考えています。インサイドセールスに携わる一人ひとりが、事業成長を担う存在として評価され、高い市場価値を持てる。そういう状態を、まず私たち自身がつくりに行く。それがこのミッションの出発点です。
『役割の定義』が変わると、仕事の価値が変わる
——山梨さんが、インサイドセールスの可能性を確信した原体験を教えてください。
キャリアの初期、まだ「インサイドセールス=テレアポ」という考え方が世の中的に根強いなかで、インサイドセールスに向き合っていました。売上目標に対して商談数を積み上げ、商談数に対して活動量を積み上げていく。当時はそれが当たり前でしたし、私自身もその中で懸命に成果を追いかけていました。この時期に培った実行力や活動の基礎は、いまでも私の土台になっています。
転機になったのは、その後、インサイドセールスを「営業組織の成長を生み出す役割」として位置づける環境に身を置いたことです。
そこでは、営業が目標を達成するために必要な案件をどれだけ生み出すかを考え、売上から逆算して戦略や活動計画を設計します。単に商談数を増やすのではなく、顧客にとって価値のある対話を行い、営業が提案しやすい顧客状態をつくることが求められていました。
同じインサイドセールスという仕事でも、役割をどう定義するかによって、担える価値がここまで変わるのか。この気づきが、私のインサイドセールス観を大きく変えました。どちらが良い悪いということではなく、役割の定義が変われば、身につく視野も、発揮できる価値も変わる。それを身をもって知ることができました。
実際、役割の変化とともに私自身の市場価値も変わり、転職を機に報酬も大きく変わりました。インサイドセールスは、扱う市場や製品、担う役割によって、非常に高い市場価値を持ち得る仕事なのだと実感しました。
海外では、インサイドセールスを専門職として捉え、そのままキャリアを深める方も多くいます。実際に、インサイドセールス出身のCRO(Chief Revenue Officer:最高レベニュー責任者)、つまり売上全体に責任を持つ経営者もいます。
一方、日本では、まずインサイドセールスを経験しその後フィールドセールスへ進む、という認識が依然として強くあります。「インサイドセールスをキャリア起点として、事業全体の売上に責任を持てる人材になれる」という道を日本でもつくりたいと考えています。
なぜ『売上日本一』ではなく、『信頼の日本一』なのか
——Marooは「信頼の日本一」を掲げています。なぜ、信頼を目標にしているのでしょうか。
背景には、私が事業会社側でインサイドセールス支援会社に業務を発注していた時の経験があります。当時、一部の支援では、依頼した作業を正確に進めることが中心になっていました。もちろん、依頼された業務を実行することは大切です。ただ、私が期待していたのは、それだけではありませんでした。
本来、インサイドセールスは、マーケティングや営業と連携しながら、事業成長を生み出す役割を担える仕事です。ところが、支援する側が「言われたことを実行する」という立場にとどまると、事業課題を先回りして捉えたり、必要な売上目標から逆算した改善策を提案したりすることが難しくなります。単なる作業の代行ではなく、事業成長に伴走するパートナーが必要だと感じました。それが、Marooのサービスをつくった原点の一つです。
もう一つは、売上目標が未達の時に、その打ち手がインサイドセールスの活動量に集中しやすい、という構造への問題意識です。
売上が足りなければ商談数を増やそう、商談数を増やすために活動量を増やそう。こうして課題が前工程へ前工程へと遡った結果、不必要な商談が増え、最終的に営業組織全体の生産性が低下することは、多くの組織で起こりがちです。
しかし、本来目を向けるべきは、マーケティングから商談、受注に至る一連の流れ全体のはずです。ターゲットの定義は適切か、商談の質は十分か、営業への引き継ぎ方に改善の余地はないか。全体を検証しないまま活動量だけを積み増しても、その活動が受注や顧客価値につながったのかは検証できず、成果にも結びつきにくくなります。そしてインサイドセールスは目の前の件数に追われ、本来担えるはずの事業成長への貢献から遠ざかってしまいます。
だからこそ、Marooはまず自分たちが、事業全体を俯瞰し、適切な課題整理と高度なデリバリーを提供することで事業・組織の成長を担える存在として信頼されたいと考えています。顧客から事業成長のパートナーとして信頼され、同時に、インサイドセールスという仕事自体への信頼も高めていく。その両方の意味を「信頼の日本一」という言葉に込めています。
労働集約から人的資本集約へ——『インサイドセールス3.0』
——インサイドセールスの働き方は、これからどう変わっていくと考えていますか。
私たちは、インサイドセールスの進化を3つの段階で捉えています。
テクノロジーを使わず、マンパワーに依存したテレアポ型の「労働集約型」。SFAやCRMを基盤にデータマネジメントを行う「知識集約型」。そして、セールスエンゲージメントやAIによってアクションの設定や実行が自動化され、人は顧客理解や戦略といった価値の高い領域に集中する「人的資本集約型」です。
日本は生産年齢人口の減少という大きな社会課題に直面しています。時間と成果のトレードオフの関係から脱却できなければ、個々の可能性はもちろん、事業と組織の持続的な成長も難しくなります。
だからこそMarooは、DXやGenerative AIを基軸とした「創造的破壊者(Creative Disruptor)」として、従来の固定概念に縛られず、テクノロジーを活用した組織変革やオペレーションの再創造を目指しています。地道な作業を仕組みとテクノロジーに任せ、人は「事業をどう成長させるか」を考え、実行する。この転換こそが、インサイドセールスの市場価値を変える鍵だと考えています。
ヒト・メソドロジー・テクノロジーを統合した『インサイドセールスエンジニアリング』
——Marooのサービスの特徴を教えてください。
私たちは、自分たちのサービスを「インサイドセールスエンジニアリング」と呼んでいます。営業組織の変革に必要なヒト・メソドロジー・テクノロジーの3要素を統合した、インサイドセールスに特化した伴走型のプロフェッショナルサービスです。
具体的には、上流の戦略立案・戦術設計を行うコンサルティング、専門性の高い人材が組織の一員として実行を担うBPO、そして内製化に向けた研修・トレーニングとテクノロジー基盤の構築を行うイネーブルメント。この3つを一気通貫で提供しています。
おかげさまで、大手企業からスタートアップまで、これまでに80社以上・100件を超えるプロジェクトを支援してきました。
最近、顧客へのインタビューで、「フルオーダーメイドで支援してもらえた」という言葉をいただきました。一般的な支援やコンサルティングでは、あらかじめ用意された方法に課題を当てはめ、決められた成果物を作成して完了するケースもあります。
Marooでは、最初から解決策を決めつけ、画一的なソリューションを提供することはありません。経営層だけでなく、実際に業務を行っているメンバーとも対話しながら、何が本当の課題なのかを見定めます。
一方的に答えを提示するのではなく、顧客と一緒に課題を深掘りし、事業や組織の状況に合わせて支援内容を設計する。こうした姿勢に顧客の安心感や信頼が生まれると信じております。
利益率よりも、顧客の成功を優先する
——伴走型の支援を実現するために、体制面ではどのような工夫をしていますか。
一つの特徴は、担当者が多くの案件を同時に持たないことです。
支援事業では、一人が複数の案件を担当することで利益率を高める考え方もあります。ただ、担当案件が増えるほど、一社ごとの事業理解に使える時間や意識は限られていきます。Marooでは担当者を固定し、一人あたりが持つ案件を1〜2件に絞ることで、特定の顧客のプロジェクトに深く入り込むことを重視しています。
もう一つは、非階層の体制です。一般的なBPOでは、クライアントとの窓口はマネージャーが担い、実際に活動するメンバーは階層の下に置かれます。この構造では、現場が得た一次情報やインサイトがクライアントに届くまでに薄まってしまいます。Marooでは、実行を担うメンバー自身がクライアントと直接対話し、現場の事実とインサイトをそのまま届けます。
もちろん、担当できる案件数は限られますし、利益率も上げにくくなります。それでも、顧客の成功を優先するために、この体制を選んでいます。
「プロフェッショナルサービス」という言葉にも、その考えが込められています。自社の利益を最大化することよりも、まず顧客の成功や事業成長に向き合う。それがMarooのサービスの前提です。
Marooでは『インサイドセールス』と呼ばない
——組織づくりの面では、どのようなこだわりがありますか。
社内ではメンバーを単に「インサイドセールス」とは呼ばず、「グロース推進」や「グロースディレクター」と呼んでいます。私たちが求めているのは、商談を設定するだけの役割ではなく、顧客の事業成長に必要なことを考え、マーケティングや営業も含めた一連の流れを改善する役割だからです。
行動指針の一つには「ROI思考」を置いています。契約で定められたコール件数やアポイント数を達成することがゴールではありません。顧客からいただいている費用を上回る価値を返す。顧客満足ではなく、顧客サクセスにこだわるという考え方です。
また、「全員ディレクター」という言葉も大切にしています。Marooのディレクターとは「成功に向けて先導する者」という意味です。等級や役職に関係なく、目の前のタスクをこなすのではなく、「顧客の事業成長に向けて、自分に何ができるか」を全員が問い続けます。マーケティングとプロダクトの知識を活用しながら、仮説検証を高速で繰り返す。事業成長を科学する「グロースハッカー」に近い役割だと考えています。
『個人ではなく、仕組みを疑う』のがMarooの文化
——高い品質を組織として再現するために、どのような取り組みをしていますか。
一つは、思考の過程を型にした独自のフレームワークです。
高い成果を出す人の判断を個人の経験だけに依存すると、組織として再現できません。そこで、どのような情報を集め、どのような順番で考え、どのように施策を決めるのかを整理し、30以上のフレームワークとして独自に開発しています。
その前提にあるのが、「個人ではなく仕組みを疑う」という文化です。目標未達やミスといった問題が起きた時、感情的には個人の責任と捉えがちです。Marooでは、失敗を「誰か」のせいにするのではなく、成功を再現性高く生み出せない仕組みや構造の側を疑います。成功も失敗も組織レベルで構造的に分析することで、仕組みとしてレバレッジの効く組織基盤をつくっています。
もちろん、フレームワークを渡すだけで実践できる人はほとんどいません。そのため、Marooにはメンバーの能力開発を担当するイネーブルメント機能があります。現場で起きている課題に応じて、対話の練習、活動計画の見直し、メール文章の改善など、一人ひとりの課題を見極めた実践的な支援を行っています。
また、社内外の知識を共有する機会も定期的に設けており、週に一度程度は新しい知識を学んだり共有したりする場があります。加えて、SalesforceやHubSpotの導入・定着支援も行い、望ましい行動を自然に実行できる仕組みまで含めて設計しています。
専門知識に裏付けされた方法論、人材育成の専任チーム、再現性・生産性を両立するシステム基盤の3つを組み合わせることで、個人に依存しない組織をつくろうとしています。
ノウハウを隠さず、開示する理由
——独自のフレームワークや専門ノウハウは、外部に出したくないものではないのですか。
営業支援の世界では「戦略や独自ノウハウは他社に教えたくない」という考え方もありますが、Marooは真逆の考え方をします。独自開発したメソドロジーは、「営業の労働生産性」という社会課題を解決する一助になり、玉石混交と言われることもある営業支援という業界全体の専門性を底上げすると考えています。
だからMarooでは、業務の代行だけでなく、顧客が自分たちで運営できる状態をつくる内製化支援まで行っています。知識や方法を開示し、インサイドセールスの専門性を顧客の組織に残す。実際に、私たちが内製化を支援した顧客の中には、その後外資系企業へ転職して報酬が2倍以上になった方や、転職先で早い段階でリーダーに昇格した方もいます。会社の成果だけでなく、そこで働く個人のキャリアにも良い影響を与えられることは、大きな喜びです。
ただし、顧客の組織を変えるためには、まず私たち自身が理想の状態を体現していなければなりません。Maroo自身が高い水準のインサイドセールスを実践し、そこから得た成果や知識を価値として顧客に還元する。その積み重ねによって、顧客の組織も同じ水準まで引き上げていく。この二つを同時に実現することが、「日本一のインサイドセールス組織をつくる」ということだと考えています。
市場をつくる側に立つ
——最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
Marooは、インサイドセールスの市場における位置づけを変えたいと考えています。
インサイドセールス支援を行う会社は複数ありますが、「日本一のインサイドセールス組織をつくる」と明確に掲げ、その実現に必要な専門性や仕組みを蓄積している会社は、まだほとんどありません。一方で、市場からの期待や需要は大きいと感じています。
私たちは、既に存在する市場で他社と競うだけではなく、これまでにない市場を自分たちでつくろうとしています。インサイドセールスという職種や概念そのもののあり方を変える。その基盤をつくる過程に、いまなら初期の段階から関わることができます。
インサイドセールスを起点とし、マーケティングと営業を俯瞰して戦略を考え、実務では目の前の顧客価値を最大化し成果に繋げる、CROに近い人材への道があります。難易度は高いですが、その分、身につく視野や経験、市場価値も大きいはずです。
個人として成長することはもちろん大切です。ただ、その先にある市場や職種、会社の未来に目を向け、一緒に歴史をつくりたい。
この記事を読んで、「ここでなら自分のやりたいことができるかもしれない」と感じた方がいれば、ぜひ一度お話ししましょう!
