2010年 株式会社アミューズ アーティストマネジメント事業部
2014年 株式会社新潟放送(BSN) テレビ・ラジオ広告営業・番組企画・経営戦略室
2021年 Branding Company 語れ。 創業
就職戦線異状あり。
2008年のことだった。
リーマンショックという聞き慣れない言葉で、テレビのニュースは溢れ返っていた。
空虚で何も持たない大学生の一人だった僕は、この世界的金融危機の煽りを受けて地獄のような就職戦線の波に飲み込まれていた。
父の影響で、小さいころから日曜洋画劇場が大好きだった。
ナビゲーターである淀川長治さんの「それではまた次週にご期待ください。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…。」という名文句をよく学校でモノマネしていた。あの独特な名調子から繰り出される映画の紹介に、ワクワクしながら憂鬱な日曜日の夜を乗り越えていた気がする。
就職を少し真面目に考え始めたとき、ふとそんな幼心を思い出した。
具体的な職種まで想像できなくとも、あのときから僕は自然とテレビやエンタメに関わる仕事がしたいと思っていたのだと思う。
ちょっと話を戻そう。
そう、地獄のような就職戦線だ。
リーマンショックはまさに激震で、日本国内でも新卒採用をやめる企業が相次いだ。
友人の何人かは、大学院へ。もしくは海外留学に行くと言って、就活を遠ざける者も。
大学院へ行くモチベーションも、海外留学へ行くほどのお金もなかった僕は、なんの変哲もないただアルバイトに明け暮れる普通の大学生として就活を始めることになる。
いまでも忘れない。2009年3月6日金曜日。
「おれ、めちゃめちゃイケてるじゃん」。
お台場でフジテレビの7次最終面接を終えた僕は、自信と確信に満ちていた。
フジテレビ本社屋
「楽しくなければテレビじゃないじゃん」というスローガンで就活でも大人気だったあのフジテレビ。
採用枠30名〜40名程度の少ない椅子を争い、その途方もないくらい長い最終面接までの道のりを振り返って僕は達成感に満ち溢れていた。
「これは受かった・・・。」
最終面接から5時間後。
僕の1年先輩で数年後に日本テレビで最年少ドラマプロデューサーになる福井雄太さんと祝杯をあげていた渋谷の居酒屋で、最後の「お祈りメール」を受け取っていた僕はやっぱりただの何も持たない大学生だった。
2009年4月になった。
最後の望みは芸能・エンタメ企業のアミューズだった。
当時のアミューズには映画事業部や番組制作部などがあり、あのサザンオールスターズが所属していた。しかもあの桑田佳祐さんは自分と同じ2月26日が誕生日だった。
これはマジで運命かもと当時は本気で思ったのを覚えている(笑)
でも簡単ではなかった。当時のアミューズは採用枠が数名程度なのに、その倍率は数千倍だった。
アミューズのES課題は
「あなたがいま熱中することについて どこが良いのか60秒の動画にして送ってください」
まだインスタもTikTokもない時代だった僕らにとっては、なんとも骨の折れる課題だったと思う。そんな中「暗黙のルール」というタイトルで、高尾山を登りながらすれ違う人に「こんにちは」と挨拶し続けるシュールな登山動画を送ったことはとてつもない黒歴史である。
熱中することを語れ。
話が逸れてしまったが、いま重要なのは「あなたがいま熱中することを60秒で語れ」という部分である。
「好きなもの」ではなく、「熱中するもの」だと。
熱中することなんて、そんなみんながあるものでしょうか。
生き生きと、想いを乗せて、そのときの映像が頭の中に浮かぶように語れるものなんてあるでしょうか。
アルバイトしかしていなかった僕にとって、それはなんだかとてつもなく難しいテーマだった。
でもいま思うのは、僕たちの会社は企業やサービスの本当の「価値」と向き合い、それを見つけ、伝える仕事です。そのためにも、顧客やサービスを大好きになるほどに熱中する必要があります。関係する書籍をめっちゃ読んだり、ヒアリングにヒアリングを重ねていく。
そうするとだんだんとその企業や経営者や商品のファンになっていく。
そうなったときに熱中ってなんなのか、少し見えてくる瞬間があります。
ワクワクして、情熱が湧き上がるほどに熱中する。一見するとちょっと昭和くさい。
でも仕事をする上では、どんなに頑張ったところで熱中している人にはいつも勝てないなとも思うのです。
効率やスマートにというのも大事ですが、それと同じくらい、やっぱり想いも大事だと思うのです。
想いのない仕事は、苦労しか残らない気がするからです。
努力は実るのか。
ANZEN漫才のみやぞんさんが以前テレビ番組でこんなことを言っていました。
「努力は実るのか実らないのか。自分自身もいろんな挑戦をしてきたけど、残念なことに辛いなと思ってする努力は実らないですよね。でも本人が楽しんでハマっている努力は、やっぱ実りやすいんですよね。」
熱中しているときは、それを人は努力とは思わないということかもしれません。
熱中できる趣味はあるけど、仕事にはまだ熱中できていない。
どうせなら熱中できる仕事がしたい。
もしそんな有り余る情熱の行き先を探している人がいるなら、ぜひ一緒に仕事をしたいなあ。
そんなふうに思いながらこれを書いています。
たくさんの熱中する仲間と、経営課題に無我夢中で向き合う全国の経営者の相棒として、最高の仕事がしたい。僕たちは本気でそう思っているし、できると思っています。
2024年7月 語れ。3周年創業祭
せっかく入ったアミューズを辞めて、テレビへの思いが捨てられず転職した僕はいま、会社を起業しました。まったく想像もしていなかった未来です。
「ふだんを変える。それがいちばん人生を変える。」 HONDA
たしか、新社会人として新たな人生を歩みはじめた2010年にみた広告のコピーでした。
5年後に「こんな人生を歩んでいるなんて思ってなかったなあ」と言いたい人はぜひ当社に来てほしい。
きっとそうなる環境だと思います。
そんな人と一緒に熱い仕事ができることを楽しみにしています。