株式会社アクセルアフリカは、「アフリカと日本を繋ぎ社会課題型ビジネスを共創する」をビジョンに、アフリカにおける事業開発サポートや研修プログラム、コミュニティハウス事業を展開しています。
今回は設立代表である横山氏に、会社設立の経由やこれまでの取り組み、そしてこれから目指す未来について創業ストーリーを聞きました。
なぜアクセルアフリカを設立したのですか?
私自身はJICA海外協力隊としてケニアに赴任してから、アフリカで活動歴が12年目になりました。
最近では、経済の急速な発展やスタートアップの台頭などのポジティブな面も注目されつつあります。一方で、アフリカ現地で活動していると、所得格差の問題や基礎的な社会課題が多数あることに気づかされます。
私は「ビジネスを通じて貧困問題の解決に寄与する」というマイビジョンを20歳の時に持ちました。
その後、青年海外協力隊(JICA海外協力隊)を経て、2014年にソーシャルビジネスをケニアで共同創業し、現地に雇用を生むために活動していました。
しかし、よりアフリカ現地の社会課題解決に貢献するためには、より多くの人を巻き込む必要があると考えました。
なので、次に日本企業を巻き込むことで、もっと良いインパクトが出せるのではないかと思い、日系企業のアフリカ進出支援を始めました。
また『そもそもアフリカに興味・関心を持つ人が少ないので増やしたい』との想いからAfrica Quest.comを立ち上げ、情報発信も始めました。
より自身でアフリカにコミットしたいという想いから2022年5月25日の『アフリカの日(Africa Day)』に会社を設立しました。
今のケニア人メンバーをどうやって集まってきたのですか?
開発コンサルタントとして働いていた時代に、自社事業を立ち上げるべく日本食のプロモーションやトライアル販売などのプロジェクトを実施していました。
その時に手伝ってくれたナイロビ大学の学生たちがウチに入社してくれたのが最初のきっかけになります。
そのナイロビ大学の学生を紹介してくれたのは、当時ナイロビ大学に留学していた日本人インターン生でしたので感謝が尽きません。
その流れもあり、現在もナイロビ大学の学生が、卒業後ウチに入社してくれています。外部からはLinkedinベースで採用することもあります。
もちろん人材の流動性の高いケニアですので、ウチを卒業したケニア人スタッフもいます。
淋しい気持ちはありましたが、現在はケニアのPwCやBCGなどで働いており、彼らのキャリア形成に少しは貢献できたのではと嬉しい気持ちも強いです。
創業当初はどの様なプロジェクトに取り組んでいたんですか?
アクセルアフリカはコンサルティング事業と言っていますが、私たちの特徴はクライアント企業の中に入り込んで一緒に事業を共創することです。
設立当社はアフリカ・中東地域でWeb3技術を活用して現地の課題解決を目指す投資・アクセラレーション会社の設立及び事業運営に参画させていただきました。
現地スタートアップへのVC投資やアクセラレーションを実施しており、現在はWeb3技術の開発会社やメディアの運営を行うなど、関わってくれている人たちは数十人規模まで成長しています。
同時にアフリカで100万人のソフトウェアエンジニア育成を目指すPower Learn Projectの設立にも携わらせていただきました。
私は経営サポートとして現在も関わらせていただいており、今までなかなかに色んなことがあったのですが、今年は約1万5000人の若者にプログラムを届けられるまでになりました。
これまで取り組んだ事業を教えてもらえますか?
上記のような事業開発の伴走に留まらず、調査支援や現地出張アレンジなど、これからアフリカに進出したい日本企業のサポートを様々やらせていただきました。資金が必要な方には補助金の取得・運営もサポートさせていただいています。
また研修プログラムもスタートし、日本の高校や大学と協業し、開始から1年で約60名以上の方にケニアへお越しいただきました。
同時に企業だけでなく、アフリカに挑戦したい個人も応援すべく、コミュニティハウス「JENGA」をケニアの首都ナイロビにオープンしました。このお陰で、ケニアへの出張者や旅行者の方に立ち寄っていただいており、少しでもケニア挑戦や滞在のお役に立ててることを嬉しく思っています。
直面してきた課題や苦悩はありますか?
アフリカならではの苦悩は日々あります。どれだけ長くアフリカでのビジネスに携わっていても、想定外の事態は全然起こりうるのがアフリカです(笑)
それでもチャレンジングなことがあるからこそ、日々情熱を持って取り組めている部分があります。
物事がうまく進まない、時間がかかるのはよくあることです。その環境の中でもどの様に進めていくのか、日々考えています。
また大きなことを成すためにはいかに良いチームを作るのかが大事になると思います。まだ3年目のベンチャーではありますが、いいチームを作れるように社内環境や研修も含め日々挑戦しています。
アフリカの諺で「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」がありますが、私はまさにこれが重要だと思っています。
これはケニアスタッフに留まらず、日本人にも言えることですが、同じビジョンを持ち、同じ熱量を持つチームを国境を超えて作り上げることは簡単なことではありません。だからこそ、私は常にメンバーと向き合い、大きなビジョンに向けて共に挑戦したいと思っています。
どんなにアフリカの社会課題を解決したいと豪語しても、まずは目の前のケニア人1人と向き合い、お互いが幸せな状態を作ることが一歩だと思っています。
これからやっていきたいことはありますか?
これからやってきたいことはたくさんあります(笑)
まずはケニア拠点に多くのアフリカにおける事業開発のサポートをしていきたいと思っています。私たちは既存プロジェクトの実施に全集中してきたので、マーケティングがまだまだ弱い状況にあります。なので、発信も増やしてより多くの日本企業と協業できれば嬉しいと思っています。
またアフリカ現地のネットワークや関係性もより強化しています。この半年でアフリカ15カ国の現地パートナーと提携しました。今後、彼ら彼女らとも協業し、現地でのプロジェクトを共創していきたいと考えています。
さらに新規事業も少しずつですが準備を進めています。
私たちの最終的な目標はアフリカと日本がより近くになり、社会課題解決型ビジネスを共創するエコシステムを生み出すことです。
ですが、私たちはまだまだ小さなベンチャーなので、一歩ずつ前に進んでいる感じです。
やるべきこと、やりたいことも多い中で全然人手が足りていないので、私たちと一緒に情熱を持ってアフリカの未来に貢献いただける方はぜひ一緒に活動できれば嬉しいと思っています。
ありがとうございました!次回は創業までの横山さんのキャリアストーリーについてお伺いしたいと思います。