数分で心が夢中になるショートドラマレーベルHA-LU。
青春1.0を乗り越えたHA-LUが作り上げる青春2.0の世界観とはどんなものなのか。メンバー紹介を通じて迫ります。
Vol.8 佐藤 優(Yu Sato)
HA-LUの取締役CFO(最高財務責任者)であり、メンバー最年長の佐藤さんです。社会人経験も豊富な佐藤さんが若い人たちばかりの組織にどんな期待を寄せるのか。思いを聞きました。
目次
Vol.8 佐藤 優(Yu Sato)
自己紹介
過去の経験
現在の活動内容
HA-LUメンバーの印象
目指すスター像
自己紹介
――若い人が多いHA-LUの中で、佐藤さんは最年長者ですね。
僕は今は36歳。この会社の平均年齢は24、25歳ですから、図抜けて年配ってことになりますね(笑)。
出身は宇都宮で、地元の高校を卒業した後、大学の数学科に進学しました。ただ、ゆくゆくは父親が経営する土建会社を継ぐだろうと思っていたので、そのために何を身につけたらいいか、父親に聞いたんです。そしたら「会計士になれ」と。
それで資格試験の勉強を始め、大学卒業後に公認会計士の資格が取れたので父親に報告したら、今度は「じゃあお前はもう一人で生きていけるな」って言われて(笑)。会社も弟が継ぐことになったんです(笑)。
仕方がないので就職することにし、「4大監査法人」の一つ、トーマツに入りました。まだ、HA-LUの役員になる数年前のことです。
――お父さん、ユニークな方ですね(笑)。厳しい方なのですか。
厳しいですね。というか、変わってるかな(笑)。
例えばこんな「教え」があります。「世の中理不尽なことが多いから、理不尽なことに耐えられるようになれ」とか、「どれだけ稼いだかが人の価値だ」とか(笑)。
極端に聞こえますが、人の価値、つまり世の中にどれだけ認められているかというのは結局は貨幣で測るしかない、どれだけ稼いだかがその人の価値を決めるっていう考えなんですね。
父親は自分の会社を一代で築き上げたバチバチの経営者で、そういう経験から得た教訓なんでしょう。特に仕事に対する姿勢は厳しいものがありました。僕たちが小さいころ、父親はとにかく仕事の邪魔をされない環境をつくることに厳しく、家で仕事の電話をしているときは食事をするなと言われることもありました。父親と遊んだという記憶もあまりありません。
――反発心はなかったのですか。
不思議とありませんでしたね。僕は3人兄弟の長男で、すぐ下の弟はめちゃくちゃ反発していましたけど、僕は思考回路が父親と似ているのか、そんなことはなかった。むしろ目標とする人です。ただ、それが思ったより遠くて全然追いつかないですけど(笑)。
だから父親が会社を弟に継がせると決めたときも、なんか納得したんですよね。僕は話し方や行動があまりに父親と似ていて、父親の会社の従業員たちも僕がしゃべると身構えちゃうぐらい。
一方、弟は父親に刃向かうし、父親ほどの苛烈な性格でもない。考え方のロジックも違う。会社の将来を考えたとき、同じタイプの経営者が継いでも1次関数的にしか成長しないけど、違うタイプの弟が継いだ方が、いい意味でのケミストリー(化学反応)が生まれると、父親は判断したと思うんです。
過去の経験
――監査法人時代はどんなことをやっていたのですか。
最初に配属されたのは企業のIPO(新規上場)をお手伝いする部署でした。上場に必要な書類を作成したり、指導したり。
その後、仲のいい先輩と一緒に新しい部署をつくったんです。新規事業にチャレンジする企業を支援するような部署です。
1年後ぐらいし、ベンチャーキャピタルに転職しました。
トーマツは大企業だし、監査業務も好きなんですけど、やっぱりこの仕事って、企業の決算などの書類の間違いを探しては指摘することなんです。企業は直したくないし、自分の上司からも「面倒くさいことを見つけやがって、手続き増えるだろう」みたいに思われて。誰もそんなに喜ばない(笑)。もちろん、株主のためにやらなくちゃいけないことではあるんですけどね。そんなこともあって、違う仕事にチャレンジしてみたいなと思ったんです。
――どんなベンチャーキャピタルだったのですか。
「クレストスキルパートナーズ」という会社です。転職というか、設立から関わっているので、本当に一からご一緒させていただいたという感じですね。
僕はキャピタリストではないので、入出金業務や契約書の作成をしたり、投資先のベンチャー企業と一緒に事業を考えたりしていました。
そんな中で、起業に興味がある若者を集めたイベントがあり、そこに参加していたのが弊社代表のはるぼー(岡春翔)だったんです。
イベントには東大や早稲田、慶応といった賢げな学生たちがたくさんいました。はるぼーは完全に浮いていました。でも僕は妙に気が合いました。
そのあと、はるぼーは自ら縦型ショートドラマを作るようになって。それが「ハル学園」のアカウントです。元々彼自身、インフルエンサーだったので、すごく視聴されるようになっていて。
はるぼーがそのうち「佐藤さん、会社作りたいんですけど」と言ってきたので、僕も「じゃあ、作るか」って言って、実際に作っちゃいました(笑)。
――岡さんと気が合うからといって、起業の難しさをわかっている佐藤さんがよく賛同しましたね。
はるぼーが何かやるというだけだったら僕はジョインしなかったと思います。彼がやると言っているのがショートドラマだったというのが大きいですね。
この業界はいずれ来るだろうと自分でも感じていましたし、すでにインフルエンサーになっていたはるぼーは、この事業をやるのにふさわしいと思ったからです。起業する人の才能と市況が合致したというイメージですかね。
あと、弊社は今、はるぼーの目標として、上場を目指して頑張っているわけですが、僕自身は元々、上場を目指さない派なんです。もちろん上場したら社会的信用が得られたり、キャッシュ(資金)がより集まったりするメリットはあるんですが、一方で、当然のことながら株主の手前、企業価値を上げるための動き、一方で確度の低い新規事業はやりづらいなど、ある意味の「窮屈さ」というのもあると思うんです。うちのような会社であれば、自分たちの作りたい作品をつくっても、それがヒットしなければ株主からは厳しく問われて、自分たちのクリエイティブの赴くまま自由に作るということが結構厳しくなりますよね。あとはやっぱり父親が未上場の中小企業の経営者なので、上場しないことのメリットもわかるというか。
だからはるぼーには当初、いったん上場を目指すのは止めようと言ったんです。ところが彼はやっぱり上場にこだわっていて。
――こだわる理由は何だったのですか。
どうしても「偉人になりたい」と。一見、上場理由としては弱く思えるかもしれません。でもビジネスでよく「将来のことはロジックで考え、意思決定は心で決める」と言われると思うのですが、まさにそれに従ってみようと思ったんです。
実際、上場を果たした企業をたくさん見てきた経験からわかったのは、どんなに努力して準備万端にしたとしても、最後は心に従った決断でなければ結局「崩壊」するんですよね。
上場できる、できないというのは、意外と最後は運だったり、気合だったりで決まるなというのが僕の印象なんですよね。いくらロジカルにきれいごとを並べても、上場できないところはできません。
その点、はるぼーには明確な「心」があると思ったんです。「偉人になる」という強い思い。もう、「偉人になりたいんです」と言われれば、こちらもそれ以上は逆に何も言えません。ある意味、上場を目指すのであれば最強の理由じゃないかなと思うようになりました。
正直、上場を目指す理由なんてどうでもよくて、思いが強いかどうかが重要です。ここに迷いがあったり、言語化できなかったりすれば無理です。
まあ、本人は自覚していないと思うんですけど、僕から見たら、はるぼーは十分成功者ですよ。子どものころはサッカーのユースチームに所属し、のちにインフルエンサーになって何十万人もフォロワーがいる。それでも彼は満足していない。「日本一、あるいは世界一になってないじゃないか」と思っているんでしょう。これまでは割とはるぼー一人の力で成し遂げたことが多いんですが、それでも達成できないんだったら、今度は仲間と一緒に実現してやろう、ということなんじゃないですかね。
現在の活動内容
――HA-LUでは取締役CFOですが、具体的にどんなことをやっているのですか。
取締役なので、会社を運営するために必要なこと全てをやっている感じですね。例えば商品の価格設定や人件費の管理、クライアントへの納品スケジュールとか。あとは社員が気持ちよく働けるような環境を整えることとか。
CFOという肩書は、社長以下、若い人たちがメンバーの会社において、僕みたいな年齢と経歴の人間がいれば、対外的には安心してもらえるだろうと思って名乗っています。
HA-LUメンバーの印象
――HA-LUはどんな人たちの集まりだと思っていますか。
若いし、初めてのことも多くてたくさん失敗もするんだけど、ちゃんと制作や作品に向き合って、つらくても逃げ出さない、やり切る!クライアントから大ギレされたことは一度もありません。
この業界、いきなり「飛ぶ(突如連絡がつかなくなる)」のはよくあることだと聞ききます。それに対してうちの社員は、自分のことを優先する人はいなくて、クライアントのため、会社のためという意識が強いと思いますね。成長も早いです。
目指すスター像
僕はずっとサッカーをやってきたので、サッカーの世界で言うと、イングランド元代表のデビッド・ベッカムやフランス元代表のジネディーヌ・ジダンとかですね。
僕自身、ポジションはサイドハーフが好きで、シュートを決める派ではなく、センタリングを上げる派。ゴールを決めたいというよりはゴールが生まれるパスを出したいっていう。
なので、話がもどっちゃうんですけど、父親は確かに経営者としても尊敬しているんですが、今となっては自分は経営をしたいというより、経営者がやりたいことを好きにやれる環境を作る存在になりたいんです。そういう意味でもCFOは性に合ってます。