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ChatGPTの登場で、AIは私たちの生活を一変させました。しかし、特定の専門領域、特に法律の世界でAIはどこまで活用できるのでしょうか?
弁護士ドットコムは、長年培ってきた法律データと最先端のAI技術を融合させ、法律AI基盤「Legal Brain」を開発しました。これは、単なる情報検索ツールではありません。法律のプロフェッショナルをサポートし、その先に誰もが法律の恩恵を受けられる社会の実現を目指す、壮大なプロジェクトです。
今回は、弁護士ドットコム執行役員の福田慎太郎が、Legal Brainの最前線で活躍するエンジニアたちと対談。このプロダクトの技術的課題やエンジニアとしての挑戦について迫ります。
PROFILE
開発本部 リーガルブレイン部 rasenganチーム 冨田 恭平(Tomita Kyohei)
Microsoft にて Windows や AI の開発に従事した後、創業直後の FLYWHEEL に入社し、検索、レコメンド、データ基盤、AIエージェントなどのゼロからの開発やデータ分析に携わる。2025年4月に弁護士ドットコムに入社し、データ本部でデータ分析基盤の開発やデータ分析、開発本部リーガルブレイン部で開発チームのエンジニアリングマネージャーをしている。
開発本部 リーガルブレイン部 rasenganチーム 西野 裕貴(Nishino Hiroki)
LINE株式会社(現LINEヤフー)にてソフトウェアエンジニアとして開発に従事したのち、2023年に弁護士ドットコムに入社。開発本部リーガルブレイン部でテックリードとして、プロトタイプ開発から設計、実装、運用を担当。2025年上半期MVP受賞。法務に関する素養として行政書士試験を勉強し合格している(行政書士会未登録)。
インタビュアー
執行役員 開発本部 副本部長 福田 慎太郎(Fukuda Shintaro)
ITコンサル会社にてソフトウェアエンジニアとしてシステム開発に従事した後、Web系ベンチャー企業にてマネージャー・開発・新規事業の立ち上げを経験。2018年12月弁護士ドットコムに入社し、2021年4月より弁護士ドットコム事業本部開発部長、2023年4月には執行役員に就任。2024年7月から現職。
社会を変革するAI基盤「Legal Brain」とは
福田: 今日は、弁護士ドットコムの執行役員として、そして一人のエンジニアとして、ぜひお二人に聞いてみたいことがたくさんあります。特に、法律という専門領域で、世の中をガラッと変えようとしている「Legal Brain」について教えてください。
まず、法律は専門的で、一般の人々にとっては 少し遠い存在に感じられるかもしれませんよね。弁護士や企業法務担当者の業務を支援するプロダクトと聞くと、多くの人にとっては身近ではないように思える。だからこそ、Legal Brainが私たちの生活にどう繋がっていくのか、その未来をぜひお二人の言葉で話していただけると嬉しいです。
まずは基本的なことからお聞きします。Legal Brainと、それを利用したプロダクト第一弾である「Legal Brainエージェント」は、具体的にどういったプロダクトですか?
冨田: まず、Legal Brainは、法律領域に特化したAI基盤です。法令や判例、専門書籍といった法律に関する大量のデータをAIが活用しやすい形に整理しています。そして、そのAI基盤を最大限に活用して作られたのが、「Legal Brainエージェント」です。このプロダクトは、弁護士や企業法務部といった法律の専門家を対象に、法律調査、いわゆる「リーガルリサーチ」を効率化することを目的としたAIエージェントです。
福田: なるほど。その弁護士や企業法務部が行うリーガルリサーチには、具体的にどういった課題があるんですか?
西野: 弁護士の業務は多岐にわたりますが、特に新人弁護士やパラリーガル(※)の方々は、依頼を受けた後のリサーチ業務に多くの時間を費やしています。判例集や法令、関連書籍などを1日かけて徹底的に調べ上げなければなりません。そもそも、何から調べればいいか分からないという点も大きな課題です。でもそこまで時間をかけるのは、このリサーチの良し悪しがその後の戦略を左右する、非常に重要なプロセスだからです。膨大な情報の中から論点を見つけ出し、関連する情報を集める作業は、非常に属人的で時間のかかるものなんです。
※弁護士の指示や監督のもとで法律に関する専門的な事務をサポートする「法律事務職員」のこと
福田: Legal Brainエージェントは、具体的にどうやってそのような課題を解決するんですか?
西野: Legal Brainエージェントは、ユーザーの質問に対して、関連する書籍、判例、法令、ガイドラインといった膨大なデータを網羅的に探索します。そして、LLM(大規模言語モデル)の力を使って、それらの情報を要約し、法的な論点を提示します。これにより、どこからリサーチを始めればいいのかが明確になり、大幅な時間短縮が実現できるんです。さらに、回答の根拠となった書籍や判例も示されるので、より深く調べたい場合もスムーズに次の行動に移せます。
福田: 汎用的なLLMではなく、Legal Brainだからこその強みは何ですか?
西野: 弁護士ドットコムが20年間かけて蓄積してきた独自の法律データや、グループにジョインしてくれたLICが持っている判例データ。また、現役の弁護士資格を持つドメイン専門家の知見を基に構築した検索ロジックやプロンプトが強みです。私たちだけの独自性はそこにあると思います。
福田: それは強力ですね。弁護士の皆さんがリサーチにかけていた時間を短縮できると、働き方はどのように変わっていくんですか?
西野: リサーチ業務が効率化されることで、弁護士の皆さんは、より本質的な業務に集中できるようになります。例えば、クライアントと対話する時間を増やし、彼らの悩みに深く寄り添うことができるようになります。これは、私たちがプロダクトを通して生み出したい、非常に重要な価値の一つです。
Legal Brainの技術と未来への挑戦
福田: Legal Brainは、今後どのように進化していく予定ですか?技術基盤としてのLegal Brainの未来のビジョンを聞かせてください。
冨田: Legal Brainの最終的な野望は、日本の法律に関する専門知識を、弁護士や企業だけでなく、日本に暮らすすべての人々にも分かりやすく提供することです。例えば、ECサイトの利用規約に潜む法的なリスクを警告したり、日常生活で法律トラブルに巻き込まれることを未然に防いだり。法律の専門知識が、個人のデバイスを通じて誰もがアクセスできるようになる。そんな世界を目指しています。
福田: まさに、法律をすべての人に身近なものにする、壮大なビジョンですね。それを実現するために、どんな技術を活用していますか?
西野: Legal Brainの技術的な特徴は「リーガルグラフ」です。これは、書籍や判例、法令といった法律コンテンツ間の引用関係や関連性をグラフとして表現したナレッジグラフです。このグラフを用いることで、ユーザーの質問に対して、多角的に関連情報を探索し、最も適切な答えを導き出すことができます。
福田: 今、特に力を入れて取り組んでいる技術課題は何ですか?
西野: 精度向上と横展開の二本柱で開発を進めています。Legal Brainエージェント自体の回答の精度を高めることはもちろん、この基盤を他の法律関連分野、例えば法規制が厳しい分野に応用していくことも視野に入れています。技術的な課題としては、開発の改善ループを確立するために、評価方法を完全に完成させること。これができていないと、どんなに良い施策を打っても、その効果を正しく測定できません。そして、今後開発していくサブプロダクトに必要な人材がまだ不足しているという課題もあります。
福田:改善ループ、評価方法を確立するのはとても難しいですよね。法律という専門領域では特に難しいと思います。
冨田: はい。この領域は、まだ確立された手法がありません。だからこそ、ゼロから考え、試行錯誤を繰り返す粘り強さが必要です。法律のドメイン知識を学び続けること、機械学習や評価に関する知見、その両方を持ち合わせた人材が求められます。
西野: ドメイン知識の点でいうと社内には弁護士資格を持つ方も多く、そういった専門家の人と、私たちエンジニアが連携しやすく、「どうすれば正しく評価できるか?」を一緒に考えられる環境は、大きな魅力だと思います。
福田:他にアプリケーション側の技術課題はどんなものがありますか?
冨田:さまざまなドキュメントタイプのデータソースを統一的に扱う基盤の整備も不十分であり、将来的に新しいデータソースの追加やサブプロダクトの展開を見据えた基盤の設計・改善も必要だと考えています。
西野:そうですね。コンテンツの扱い、データスキーマの扱い、そしてそれらをどのように統一させるかが直近の大きな課題です。加えて、リーガルブレインを基盤として動かすためのAPI設計や利用側とのインターフェース設計も非常に重要です。最後に、基盤としてアクセス数が増加することを見込んでいるため、信頼性の確保やデータ更新が周囲に影響を与えずにできる仕組み作りも進めていかなければいけないと思っています。
福田:なるほど。単なるAIプロダクトの開発というだけではなく、大きなビジョンの実現を目指していく上での技術課題がよくわかりました。一人でやるのは大変ですが、チームで取り組むのはすごくやりがいがありそうですね。
福田: 弁護士ドットコム内の他プロダクトとの連携についてはどのように考えていますか?
冨田: クラウドサインなど他事業部のプロダクトでもAIを活用したいというニーズはあります。将来的に、私たちの基盤を共通の技術プラットフォームとして提供し、事業部を横断して連携していきたいと考えています。
西野:LLMを使ったプロダクト開発は当社のさまざまな事業部で行われ始めており、リーガルブレイン部では技術的知見などの面から牽引していく存在でありたいと考えています。 Legal Brainは当社がもつ多くの法律データが入っています。そのデータ基盤があることで、弁護士ドットコムやクラウドサイン、それぞれの事業部の間の橋渡し役として存在できるのではないかと思います。
冨田:また、社内のプロダクトとの連携のみではなく、他AIエージェントとの連携も目指しています。目指しているのは、皆さんが利用しているAIエージェントの裏側でLegal Brainが法律の専門家として機能している状態です。このエージェント間連携の技術は、まだ日本において業務での活用事例が少ない領域ですが、試行錯誤していきたいと考えています。(https://www.bengo4.com/corporate/news/article/p1camk6e_ak/)
「まだない」を創る、エンジニアの挑戦とやりがい
福田: 最後に、そんなLegal Brainで働くことの面白さや、やりがいについて教えてください。
冨田: 2025年は「AIエージェント元年」とも言われていますが、Legal Brainはまさにその最先端領域にいます。そして、他社が簡単にアクセスできない、出版社や著者が権利を持つ書籍、判例といったクローズドな法律データを活用できる点が大きな強みです。この唯一無二のデータを使って、誰も成し遂げたことのない技術に挑戦できるのは、非常にワクワクする経験です。
西野: 私は、プロトタイプを作ってはユーザーの元へ持っていき、「これ、いつリリースされるの?」「早く使いたい!」といった、ポジティブなフィードバックを直接もらいながら開発できるのが楽しいです。自分たちが作ったものが、弁護士の皆さんの業務を本当に効率化している。その手応えを感じながら開発できるのは、大きなやりがいですね。
福田: いやー、素晴らしいですね。エンジニアにとって、ユーザーの反応をダイレクトに感じられるのは何よりのモチベーションになりますからね。
福田: 働く環境として、エンジニアがユーザーの声を直接聞く機会はありますか?
西野: はい。プロダクトチームがユーザーからのフィードバックをスピーディーに開発に反映させていますし、希望すればエンジニア自身もユーザーヒアリングに同席できる環境です。顧客に寄り添った開発をしたい人には最適だと思います。
福田: 最後に今後、Legal Brainの成長を加速していく上で、どんな人材を求めていますか?
西野: Legal Brainは、まだリリースされたばかりのプロダクトです。ですから、与えられた仕事をこなすだけでなく、ビジネス的な視点から課題を見つけ、自らプロトタイプを作り、解決策を提案できるような、自発的な人材が活躍できると思います。
冨田: 私たちが今最も求めているのは、中長期的な視点からアプリケーション基盤を設計・改善できる役割を担える方です。今はまだ、法令や判例など多岐にわたるドキュメントタイプのデータを統一的に扱う基盤整備が道半ばです。今後の他ドメインへの横展開やサブプロダクトの追加を考えた時、高いスケーラビリティと拡張性を持つAPI設計が必要です。この壮大なビジョンを実現するために、複雑な技術課題を構造化し、解決に導ける設計能力を持った方と、ぜひ一緒に基盤を築き上げたいですね。