2025年10月、2つの組織が統合し「クラウドサインProduct Engineering部(PE部)」が新たに誕生しました。これまでのクラウドサイン開発組織は、プロダクト開発を担うPE(Product Engineering)部と運用・信頼性向上を担うRE(Reliability Engineering)部に分かれていたところからの体制変更となります。社会のインフラを目指すプロダクトの未来を支えるため、開発組織はどうあるべきか。執行役員 開発本部副本部長の福田がインタビュアーとなり、クラウドサインProduct Engineering部部長の高橋、そして部長代理の田辺に、組織統合の背景から未来の展望までを伺いました。
PROFILE
クラウドサインProduct Engineering部 部長 高橋 広樹(Takahashi Hiroki)
2022年10月入社。入社して3ヶ月でチームマネージャーを任され、翌2023年10月からはReliability Engineering部(以下、RE部)の部長を務める。RE部では、プロダクトの信頼性向上やCI/CD基盤の構築など、開発プロセス全体を支える役割を担当。2025年10月よりクラウドサインProduct Engineering部(以下、PE部)部長に就任。
クラウドサインProduct Engineering部 部長代理 田辺 憲行(Tanabe Noriyuki)
プライム上場バックオフィス系SaaS系企業などを経験し、2025年7月弁護士ドットコムに入社。入社後、プロダクト開発チームを経て、クラウドサインProduct Engineering部(以下、PE部)部長代理に就任。豊富な開発経験と組織マネジメントの知見を活かし、新生PE部の開発者体験向上と組織連携を推進している。
インタビュアー
執行役員 開発本部 副本部長 福田 慎太郎(Fukuda Shintaro)
ITコンサル会社にてソフトウェアエンジニアとしてシステム開発に従事した後、Web系ベンチャー企業にてマネージャー・開発・新規事業の立ち上げを経験。2018年12月弁護士ドットコムに入社し、2021年4月より弁護士ドットコム事業本部開発部長、2023年4月には執行役員に就任。2024年7月から現職。
ふたりの開発責任者が語る、組織統合の背景
福田: まずは今回の対談のメインテーマである組織統合について伺いたいのですが、この統合の背景について高橋さんから説明いただけますか?
高橋: 端的に言えば、「分ける意味がなくなった」 というのが一番の理由です。元々、クラウドサインのプロダクト開発を担う部署は1つでした。しかし、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPへの対応が求められた際に、開発と運用を切り分ける方針が強まり、組織が機能開発を担うPE部と運用・信頼性向上を担うRE部と2つの部署に分かれたのです。
しかし、実態としては、運用業務の主体はPE部が担っており、RE部はその支援に回ることが多かった。また、組織が分かれていると、どうしても機能軸での目線合わせやコミュニケーションにコストが発生し、「価値をユーザーに届ける」というワンチームとしてのフロー効率を追求しにくくなるという課題もありました。そうした背景から、「一緒にした方が、同じ価値基準を持ち、より効率的に良いプロダクトを作れるのでは」という結論に至りました。
福田: 分かれていたことによる良かった点もあったのでしょうか?
高橋: 小規模なRE部では、組織のスコープが限定されるため、意思決定が非常にスピーディーでした。30人ほどの組織なので、「こういう組織にしていこう」というビジョンも浸透させやすかったのはメリットだったと言えますね。
組織統合で何が変わる?未来の組織像
福田: 確かに、スピード感を出すためには組織の規模を小さくした方が良いこともありますよね。ただ、色々な課題感や一つにした方が良いメリットも見えてきたということかと思いますが、組織統合によって、具体的にどのようなことを実現していきたいですか?
高橋: クラウドサインは、社会的なインフラになることを目指しています。そのためには、新機能の開発速度とプロダクトの品質、両方のバランスが非常に重要です。これまでは組織が分かれていたために、品質と開発速度のどちらかに目標が偏りがちでしたが、これからは「バリューストリーム」と呼ばれる、ユーザーに価値を届けるまでの全体的な流れを最適化し、品質とスピードを両立できる体制を作っていきたいと考えています。
福田: 入社間もない田辺さんから見て、今回の統合でどんな課題を解決できると感じていますか?
田辺: 入社して感じたのは、開発組織間のコミュニケーションが不足しているという課題です。組織の設計に起因すると思うのですが、実務レベルではコミュニケーションがあっても組織をこえた共通のゴールに向かうための議論が不足していたように思います。組織が1つになることで、各チームの垣根を越えた連携が生まれフロー効率の高い組織にしていけることを期待しています。
福田: 統合後の組織では、お二人はどのような役割分担をされるのでしょうか?
高橋: 私がインフラ系、田辺さんがプロダクト開発寄りのエンジニア出身なので、お互いの得意分野を補完し合いながら、一緒に組織を作っていくイメージですね。立場は部長と部長代理ですが、役割に固執せず、状況に応じて柔軟に動いていきたいです。
ユーザー価値と開発者体験を追求する
福田: 短期的、そして中長期的に、どのような組織を目指しているか教えてください。
高橋: 短期的にも中長期的にも、エンジニアが設計段階から開発をリードできるような組織を作っていきたいです。チーム内で意思決定が完結し、スピーディーに動ける自律性の高い組織にしていきたいですね。もう少しユーザーストーリーのアウトカムを出せる速度を上げていける体制を作っていけると良いと思っています。
田辺: ユーザーに良いものを届けるために、最適な組織を目指しています。また、開発者が「やってて楽しい」と思えるような開発者体験も重要視しています。
福田: 開発者体験とユーザーへの価値提供、それぞれについてもう少し具体的に伺えますか?
高橋: 開発者体験に関しては、ISMAPのような統制基準を満たした上で、統制を意識しすぎず開発ができるような環境を整えたいです。そのためには、これまで手動で行っていた統制活動を自動化していく必要があると考えています。
田辺: ユーザーへの価値提供という意味では、スピードが最も重要だと考えています。ユーザーの要望は、作り手側からは判断できません。だからこそ、いち早くプロダクトをリリースし、ユーザーからのフィードバックを得て、改善していくサイクルを高速で回すことが最も重要だと思います。
福田: 田辺さんは、開発者体験を上げるためには、組織として何が重要だと考えていますか?
田辺: 私は「情報の透明性」が最も重要だと考えています。組織内の情報共有が滞ると、同じことが起きたとしても物事の受け取り方が変わり、メンバーの体験は低下してしまいます。組織内に情報が浸透し誰もが、主体的に動ける状態を目指したいですね。
高橋: そのために今回組織を統合し、横の連携をより密にしていこうとしています。同じ部署になることで、視野が広がり、心理的安全性も高まることで、活発な議論が生まれることを期待しています。
社会を変革する挑戦を、私たちと共に
福田: 事業としてのクラウドサインの展望と、それに合わせて開発組織をどのように進化していきたいか教えてください。
高橋: これまでのクラウドサインは、日本の「ハンコ文化」を変えることに注力してきました。しかし、それはあくまで入口です。これからは、「取引をもっとシンプルに。ビジネスをもっとスマートに。」 という大きなミッションを掲げ、取引全体のDX化を推進していきます。
これに合わせて、開発組織も事業が期待するスピード感で開発できる体制へと進化していく必要があります。複数のプロダクトが生まれる可能性も視野に入れ、自律性の高いチームを増やし、事業の成長を支えるより強い基盤を作っていきたいと考えています。
田辺: 私も高橋さんと同じ意見です。加えて、別の観点で言いますと、より会社として事業をグロースさせるためには、プロダクトを跨いだ組織間の連携もより強固にし、強靭な基盤を構築する必要があります。新しいプロダクトをコンスタントに生み出せるよう、全社的な連携を強化し成長に耐えうる組織へと変革していきたいと考えています。
福田: 最後に、これからクラウドサインに加わることを検討しているエンジニアの方々に、どのようなメッセージを伝えたいですか?
高橋: まず、今のクラウドサインには、電子契約サービスの先頭を走ってきたプロダクトであるという面白さと、今後さらに「取引の周辺プロセス」に拡げていけるという面白さがあると思います。「新たなプロダクト開発」「技術的負債の解消」そして「組織作り」と多様な挑戦の機会を提供できます。どれか一つでも興味を持っていただけるなら、ぜひ一度話をさせてほしいです!
また、弁護士ドットコムにある行動指針に共感していただける方とはぜひお話ししたいですね。行動指針はいくつかあるのですが、その中でもチームや他部門をリスペクトし、密に連携できる方。そして、新しいプロダクトをリードしたいという気概をお持ちの方にきて頂きたいです。
田辺: 私はポジティブでチャレンジ精神、そしてオーナーシップを持った方と働きたいです。先ほどもお話しましたが、私たちはチーム内で意思決定が完結しスピーディーに動ける自律性の高い組織を目指しています。なので、当事者意識を持って自ら提案し、変革を推進できる人には、大きな裁量権をお渡しできる環境だと思います。
また「AI大航海時代」 と言われる今、新しいプロダクトをゼロからAIトリブン開発できる組織は少ないと思います。クラウドサインは、新しい挑戦に満ちた変革期を迎えており、このエキサイティングなフェーズを私たちと共に創っていける方と出会えることを楽しみにしています。