サービスの運用とは何か?
サービス運用に前向きになって欲しい
大学時代、時給で仕事をしたくなかった僕は会社に入ったときにサービス運用という仕事を知って大変苦しみました。しかし、事前に知識をもって前向きに取り組んでいれば、10にも100にも成長の機会となる、まさにチャンスだと今は思います。成長の機会の利益率を存分に高めてほしいと思い、Beer and Techでインターンをする人だけでなく、多くのインターン生や新卒の方に向けて書くことにしました。
世の中の仕事の多くはサービス運用である
仕事の多くは短期的なプロジェクト形式ではなく、長期的にサービスが滞りなく消費者に提供されるため運用です。90%以上の仕事は運用と言っても過言ではないと思います。
サービスの運用とは何か?
わかりやすく言うと日々のルーティン業務のことです。
例えば、コンビニのレジ打ちや電車の運転業務、自動車工場の組み立てオペレーション等業種問わず様々です。お医者さんの診察や弁護士の相談も同様で、労働集約的な仕事は、専門性や資格問わずサービス運用になります。
そういったルーティンなる仕事を、多くの会社では新卒やインターン生の最初の仕事とします。
Beer and Tech が運営するHitoHana(ひとはな)でも、仕入れ・カスタマーサポート・受発注といった日々のオペレーションが存在しています。他人事ではありません。
サービス運用に苦しむ理由
サービス運用に苦しむ1つ目の理由は、「毎日同じ仕事ばかりで退屈である」ということです。本来は、細かく業務を分解していくと毎日行っていることに差があり、この差によって自分の仕事の価値を何十倍にも高めることができます。しかし、表面的にまず最初に感じるのは"退屈"の2文字でしょう。
サービス運用に苦しむ2つ目の理由は、終わりがないということです。サービス運用がなくなるのはサービス自体がなくなるタイミングなので、サービスが提供され続ける限りずっと、そう"ずっと"続きます。「誰か他にかわってくれる人が入ってこないかな」と末期症状になる前に、前向きに取り組む方法を知ってほしいです。そもそも、仕事を横に流しているだけなので、こういった考え方は弊社では推奨されません。
サービス運用に苦しむ3つ目の理由は、仕事に求める理想と現実のギャップが受け入れ難いことです。これが一番辛いです。
特に前のめりな新卒やインターン生の場合は、会社説明会やインターン募集などで、「これほどの事業機会が新卒やインターン生に与えられる会社です」や「2ヶ月間新規事業立ち上げインターン」といった内容の求人に応募する人が多いのではないでしょうか。しかし、いざ業務になるとルーティンばかりで「こんなことをやるために会社に入ったわけでもないのにな」とか「こんな仕事のために大学4年間勉強したわけではないのに」と感じることでしょう。
仕事に求める理想と実際の業務内容とのギャップが大きいためストレスをためやすい構造になっています。
自分が採用係の立場であれば、優秀な人材を引きつけるために、それが過去の稀なケースであったとしても引き合いに出した求人を使いたくなると思います。採用側にも問題がありますが、相手の立場になって企業や事業内容を分析してから、自分の中でGoサインをだしましょう。
これら3つの理由から派生して、様々な問題をストレスとして溜め込んでいきます。結果、耐えられずに辞めてしまう人も多くなかなかwin-winな構造になりません。
サービス運用の見方を変えて欲しい
この負に見える状態から脱却するために新卒やインターン生はどうすればいいのでしょうか。
「単純作業なので、新卒やインターン生にやらせておけばいい。俺はもっとクリエイティブなことに時間を使いたいんだよ」というマネージャーがいる会社は僕は失くなってほしい思います。"やらせる"という言い方が、メンバーに感謝をもって接しようとする弊社の考えに背くので、こういった言い方は好きではないです。
サービス運用を新卒やインターン生に任せる側も正しく理解しておく必要があると僕は考えています。そもそも会社はサービス運用を新卒やインターン生に仕事として最初に振るのは何を期待しているからなんでしょうか?
会社によって様々あると思いますが、例として、Beer and Tech で期待されていることを書こうと思います。
仕事の進め方を繰り返し学ぶ機会である
1つ目は、社会人として仕事を進める上で必要な「重要思考」を効率よく身につけてもらうことを期待しています。
問題を分解して戦略を立てたり、仕事の優先順位を立てるときなど、常に重要思考が求められます。
例として、ひとはなでのインターン生との会話を出してみます。
ひとはなは植物のネット通販です。日々の業務にお客様から入った注文を生産者に発注する受発注業務があります。最初にインターン生が業務をスタートするとき、多くはこうなります。
僕 「今何やってる?」
インターン生 「お客さんへのお詫びメール書いています」
僕 「さっき注文入っていたけど、今日中に生産者に発注しなくても大丈夫?」
インターン生 「それもやります!」
(間髪入れずカスタマーサポートの電話がかかって来てインターン生が対応)
インターン生 「今お電話頂いたお客様から商品について詳しい説明をメールで送ってほしいと言われました」
僕 「なるほど」
インターン生 「(詳しい説明をメールで書き始める)」
僕 「今何やってる?」
インターン生 「お客様に送る説明文を書いてます!」
僕 「お詫びメールは送らなくても大丈夫?」
インターン生 「えっと...それもやります!」
インターン生は下記3つの業務を同時に抱えてしまいましたが、後から入ってきたものを最優先に片付けています。
1.お客さんへのお詫びメール
2.受発注業務
3.電話対応の処理
仕事の重みを考えず、優先順位を付けずに仕事を行おうとすると、重要なことは終わらずトラブルの種にもなります。
持っている仕事に対して、瞬間的に優先順位を付けて仕事をこなすスキルはスポーツの基礎体力のようなものです。スポーツでも音楽でも同じことを何度も繰り返すことで、基礎的なスキルは身につくものです。
サービス運用の中では、同じような業務が早いスピードで回るため、フィードバックサイクルが早く、効率よく「重要思考」を身につけてもらえると考えています。
まずは持っている仕事をリスト化して仕事が漏れない状態を習慣的に作るようにしましょう。面倒臭くてここでつまづく人が多いです。試行錯誤を重ねて、習慣となる自分なりのやり方を見つけて下さい。リスト化できたら、優先度をつけるようにしましょう。リスト化されていれば優先度づけするのは容易です。
問題の分解を繰り返し学べる機会である
2つ目は問題を分解して考えを伝えるスキルを身につけてもらうことを期待しています。
僕もそうでしたが、新卒やインターン生とのコミュニケーションは「こいつは結局何がいいたいんだ?」ということに陥ります。自分では丁寧に説明しているつもりですが、上手く伝わらないのです。
友達関係のコミュニケーションであれば、相手が理解してくれるものとして会話しても問題になりません。しかし、ビジネスの場だと、双方忙しく貴重な時間を削っているので、効率よく考えを伝えていかなければ信頼関係に影響します。
相手がわかってくれるものだろうと、タカをくくって話始めるようなことは原則NGです。
では、どのように伝えるのがいいのでしょうか?
結論から言うと、以下の順番で伝えるといいでしょう。
① 現状
② あるべき姿
③ 現状とあるべき姿のギャップ
④ ギャップを埋める解決策
どのビジネス書を読んでも書いてあるといっても過言ではないくらい重要です。
特に先輩に伝えるときには①②を十分に説明することが求められます。ちなみにいきなり④から伝えるのは最悪です笑
今回は一番重要な①にフォーカスを置いて説明していきます。
先ほどのお客様、対応を例に出してみましょう。
インターン生 「今お電話頂いたお客様から商品について詳しい説明をメールで送ってほしいと言われましたが、どんな情報を送ってあげればいいですか?」
僕 「お客様は何について悩んでいたの?」
インターン生 「観葉植物のお届け時間の指定ができるかどうかが知りたいみたいです」
僕 「観葉植物のサイズや品種については気にしてなかった?」
インターン生 「言われてみれば、お届け時間の指定ができるかどうかだけでした」
僕 「なるほど」
インターン生 「時間指定できますか?」
僕 「マニュアルに書いてあるけど調べた?」
インターン生 「聞いた方が早いと思ったので調べてないです」
僕 「なるほど。ちなみにメールの送り方はわかってる?」
インターン生 「とりあえず会社から頂いた、自分のメールアドレスから送ろうと思っています!」
最初にインターン生が入るとこういった会話が現場で行われます。会社としては、まず現状を正しく把握するところに時間を使ってもらいたいと考えています。今回の場合は、
①お客様は観葉植物のお届け時間の指定について知りたいが、自分も分からない
②詳しい情報をメールで送ることになっているが、正しい送り方を知らない
整理するとこの2つになります。ここで多くの場合はいきなり先輩に質問してしまいますが、マニュアル等が存在するのであれば一度調べてから質問することがマナーです。なぜなら、自分の問題解決のために、仲間の時間を使うことで、仲間がやれるはずだった仕事ができなくなっているというところまで理解しておく必要があります。
また、調べることなくいきなり自分のメールアドレスで送るといった解決策に走ってしまうと、通常とは異なる流れになり、メンバーがフォロー出来なくなってしまいます。
まずは現状を正しく把握して、徹底的に調べた状態で先輩に質問する習慣を身につけるといいでしょう。
実際の仕事は、調べることから始まることが多く、自分で情報を引っ張ってくる力が求められます。マニュアルを調べれば分かるといった簡単な状況から訓練を積んでいくことで、効率よく調べる習慣を身につけられます。
もちろん先輩に聞いた方が早いという気持ちもわかります。僕も最初はそうでした。まずは15分調べてから質問する等自分なりのルールを決めて仕事に取り組むといいでしょう。
先輩に伝えるときには、
✕「今お電話頂いたお客様から商品について詳しい説明をメールで送ってほしいと言われましたが、どんな情報を送ってあげればいいですか?」
◯「お客様に観葉植物のお届け時間指定できるかどうかメールで送りたいです。時間指定についてはこのマニュアルに書いてあったのですが、どのメールアドレスで送るべきかはわからなかったので教えていただけますか?」
といったような内容だったといいですね。
事業の全体観を効率よく学べる機会である
3つ目は事業の全体観を把握できることです。
ビジネスにはそのマーケット特有のルールが存在します。日々マーケットのルールは変化していて、いち早く理解したプレイヤーが新しい打ち手を実践し利益へとつなげることが出来ます。逆に言うと、現在お客様が受け取っているサービスは現状のマーケットのルールに(ある程度)最適化された状態で提供されています。
そのため、現在提供されているサービスには理由があります。サービス運用をしていく中で、
1つ1つのサービスに対してなぜこうなっているのか?
を理解することでマーケットや自分たちが提供している事業の全体観が見えてきます。多くのインターン生や新卒の人は、様々なサービスの提案をしてくれるので大変ありがたいのですが、より確度が高くインパクトの大きな提案は、マーケットのルールを抑えた上での提案であるべきでしょう。そのため、新しい施策を提案する戦力になってもらうべく、いち早く事業全体の構造を把握してもらいたいと考えています。
日々のサービス運用の中でここまでの視点をもって取り組むのは実際難しいところです。なぜなら、目の前の仕事をこなすだけでも精一杯で気付いたら夜になっているということが頻繁に起こるからです。しかしながら、トヨタのようなカイゼンで事業を伸ばしてきた会社は、運用において高い水準の視座が求められて実践しています。詳しくはトヨタ生産方式やインテル経営の秘密を読んでみてほしいです。弊社のようなECからプラットフォームを狙うような会社の場合でも、ロジスティクスや受発注といった日々のサービス運用業務であるオペレーションが競争力になるため、高い水準の視座が求められるし、弊社のインターン生にも同様の視点を求めています。
運用の中で自らが提供するサービスに対して「why」を問う習慣を見につけてもらうことで、事業の全体観をいち早く掴み、鋭い提案ができることを期待しています。
サービス運用に前向きになって欲しい
サービス運用をしていると、「なんで毎日同じことばかりを」と感じてしまうものです。一度立ち止まって、
① 仕事の進め方で良い習慣は作れているか?
② 問題の分解の仕方が実践出来るレベルで身についているか?
③ ビジネスモデルに踏み込んで事業全体を把握しているか?
を見直してみてください。下積み期間は必ずしもある必要はないと思いますが、環境を変えたところで仕事に取り組む姿勢を変えない限りは同じような苦しみを別の環境で感じることになります。
会社に期待されていることややるべきことが分かれば、自分の中で良かったのか悪かったのかフィードバックができるようになります。いまの状態に対して不満を言うのではなく、現時点での機会の利益率を最大にするために、前向きに取り組んでもらいたいと思います。
最後に、弊社の働き方に共感して実践でトレーニングしたいインターン生を募集しています。僕とお話するだけでも大丈夫です。ご応募お待ちしています。
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