「人間の心理や行動特性を探求することで、真に役に立つ製品、サービス、またそれらを支える仕組みを創出し、豊かな社会の実現に貢献する」を理念に掲げるビービット。
UXグロースコンサルタントは、UXチームクラウド「USERGRAM」を活用しつつ、UXの改善・更新サポートを行っている。一過性の改善提案にとどまらず、お客さまが自らUXグロースを実現できるよう業務プロセスを整え、必要なスキルやマインドを定着させることがミッションだ。
今回は、若手UXグロースコンサルタントの新郷大輔さん(2017年新卒入社)と鐙屋光暁さん(2020年中途入社)をご紹介。実際の業務内容とやりがい、得られるスキルについて聞いた。
新郷 大輔(しんごう だいすけ)/ XDビジネスマネジメント / コンサルタント (表紙写真:右側)
2017年、京都大学法学部卒。2017年10月から新卒でビービットに入社し、現XDコンサルティングチームに配属。ウェブサイト・アプリの改善を支援。2021年4月よりUXグロースチームに参画し、UXグロースコンサルタントとしてチーム立ち上げ・運用業務に従事している。
鐙屋 光暁(あぶみや みつあき)/ XDビジネスマネジメント / コンサルタント (表紙写真:左側)
2016年3月、中央大学商学部卒。同年4月に人材サービスを提供している会社に入社し、営業やCS業務に従事。その後、2020年3月に株式会社ビービットに参画。2021年4月よりUXグロースコンサルタントとして複数の案件に携わる。
目次:
- 「ユーザ憑依力」で顧客視点になりきる。ミッションに偽りなし
- UXグロース業務が定着するまで、とことん伴走する
- クライアントに深くコミットし、提供価値を考え抜く
- 過去の経験は不問。大事なのは「正解がない中で考え続ける力」
「ユーザ憑依力」で顧客視点になりきる。ミッションに偽りなし
── まず、お二人のビービットへの入社経緯を教えてください。
新郷:就活では「人間一人ひとりをきちんと見ている企業」を探していました。というのも、大学で所属していた学生団体で活動が厳しいあまりメンタル面の不調をきたすメンバーが出てきてしまったという原体験があり、「組織は個人としっかり向き合って活動しなければならない」と思うようになったからです。
そこから、人間一人ひとりに着目してサービスを提供している企業に興味を持ち始めました。友人の紹介を通じてビービットを知り、「ユーザ視点から価値創出を追求する」というアプローチに惹かれて、ここで働いてみたいなと思いました。
鐙屋:ビービットに入る前は人材サービスを手掛けるIT企業で営業やカスタマーサクセスを担当していました。転職を考えたのは「自分の頭を使って稼ぐ能力を身に付けたい」と思ったからです。
前職では組織が拡大期から成熟期に入る頃で、社内にはさまざまな「仕組み」が導入されていきました。それはビジネスを効率的に運営する上では確かに有効なのですが、「このまま働き続けても同じ業務を繰り返すことになり、この作業には精通できても社会で通用する力は得られないのではないか」と感じていました。
ビービットを知ったのは、エージェントの紹介がきっかけです。選考を受けたのは、マーケティング領域にはもともと興味があったこと、それから、コンサルタント職ならちゃんと自分で考えて仕事をすることができるのではないかと思ったからです。選考インターンでは予想を上回る鋭い突っ込みをたくさん受けてしまい、「こんなに社員が優秀な会社なら自分も成長していけそうだ」と感じたのが入社の決め手になりました。
── 入社前に期待した点は想像通りでしたか? ギャップを感じたことがあれば教えてください。
鐙屋:社員の皆さんは本当に優秀でした。新郷さんもそうですが、社会人経験の長さにかかわらず仕事ができる方が多いです。
一緒に仕事をしたり、日々の業務で何気ない質問や相談をする中で、同僚や先輩の優秀さを強く感じます。価値を出すことに対して、皆さんとてもストイックですね。
意外だったのは、ユーザを見る思想が想像以上に浸透していたこと。ミッションやビジョンが単なるお題目になっておらず、ユーザ視点に立つことをメンバー同士のコミュニケーションレベルでも求められることには、かなり驚きました。
新郷:自分も鐙屋さんと同じで、ものすごいレベルでユーザ理解をしようとしている人たちだなと関心しました。ビービットではどのプロジェクトでも、かなり細かくユーザの行動を抽出するんです。それに社内には「ユーザ憑依力」という言葉があるんですが、本気でユーザの立場になりきることが当たり前というカルチャーが浸透しています。
予想外だったことがあるとすれば、入社直後は未整備の部分が多く、どうしても帰宅が夜遅くなることもありました。しかしこの4年間で研修や制度が整備され、今ではプライベートのバランスをしっかり取りながら働けるようになりました。社員一人ひとりの働きやすさに向き合ってくれる会社だと感じています。
UXグロース業務が定着するまで、とことん伴走する
── 今お二人が注力しているプロジェクトの内容と、ご自身の役割について教えてください。
新郷:UXグロースコンサルタントとして、通信業界のクライアントが開発したアプリの「UXグロース業務」を担当しています。
UXグロース業務とは、顧客体験の継続的な改善によって成果を高める活動のこと。「USERGRAM」を活用し、クライアント自身が「課題発見→施策の検討・実行」というUX改善プロセスを自力で回せるよう支援を行っています。
例えばアプリ内のある機能が使われていない場合は、ユーザのアプリ内における行動データを分析し、実際に解決策を提示する。こうしたPDCAを何度も回していきます。
また、クライアントが自分たちでUXグロース業務を確実に遂行できるようにするための「業務設計」も、UXグロースコンサルタントの仕事です。
仮にクライアント用の報告書のフォーマットを作ったとすると、使用後の感想をヒアリングしてさらに良いものに変更します。そしてそのフォーマットを使ったクライアントの社内報告がうまくいかなかったときは、私自身がクライアントの社内ミーティングに参加することもあります。UXグロース業務と同じで、「一度設計したら終わり」ではなく、継続的な改善を行いますし、「UXグロース業務の定着に必要なことはなんでもやる」という感じですね。
── クライアントのサービスや業務などについて深く知る必要がありそうですね。
新郷:そうですね。大変ではありますが、クライアントと一つのチームになり、一緒にゴールを目指していけるのはこの仕事の醍醐味です。クライアントがUX改善に真摯に向き合ってくださっているので、強いやりがいを感じています。
── 鐙屋さんも、UXグロースコンサルタントとして新郷さんと同じ役割を担当しているのでしょうか?
鐙屋:新郷さんとは担当しているクライアントのプランが異なるので、業務内容は少し異なります。
新郷:ビービットが提供するプランはクライアントの希望によって大きく3つに分かれます。
一つ目は「将来は自分たちでUXグロース業務を回していくことを前提に、グロースチームを立ち上げたい」というクライアント用のプラン。チームの立ち上げから施策のリリースまでの包括的なサポートを行うもので、今私が説明したクライアントもこのプランです。
二つ目は「現時点ではUXグロース業務にリソースを割くのは難しいので、まずは必要なスキルを知りたい」というクライアント向けのプラン。「スキル支援」に特化しているのが特徴で、鐙屋さんは今このプランのクライアントを担当しています。
そして三つ目は、「リソースは一切割けないけれどもUXグロースはしたい」というクライアント向けに、ビービットが全てのUXグロース業務を行う“お任せプラン”です。
── 鐙屋さんが担当している「スキル支援」とは、どのようなプランなのですか?
鐙屋:私たちコンサルタントが「USERGRAM」を実際に使ってUXグロース活動の一部を手掛けながら、ユーザ視点で業務改善を進めていく方法や考え方をお伝えしています。
UXグロース業務に必要なスキルは「ユーザ憑依力」「メカニズム分析力」など複数存在します。例えば「ユーザ憑依力」とは、その名の通りユーザになりきった目線でサービスを作るスキルです。これがないとサービスを作る際に、「ユーザにとって望ましいかどうか」という視点が抜け落ちやすくなります。
新郷:鐙屋さんが言うように、普通に業務をしているとユーザの行動を見るプロセスは漏れてしまいがちです。ところが「USERGRAM」には「使い始めると業務プロセスの中で強制的にユーザを見る行動を取らざるを得ないようになる」という特徴があります。つまり「USERGRAM」を使うことが、自然とユーザと向き合うことにつながるのです。
そうした「USERGRAM」のメリットを活用しつつ、クライアントの自立に向けた支援を行うのがUXグロースコンサルタントの役割です。
クライアントに深くコミットし、提供価値を考え抜く
── ビービットに入ってから、ご自身の成長を感じたことを教えてください。
新郷:UXグロースコンサルタントになるまでは、「ユーザ行動観察調査」でユーザのインサイトを得て、アプリに限らず適切な体験を設計する業務に携わっていました。
当時はクライアントに直接提案していたものの、リリースまで関わっていなかったので、考えた施策が思い通りに実装されないこともありました。
でも今はクライアントに深くコミットするようになったので、そういうことがあっても「クライアントが社内で戦った結果こうなったんだ」と思えます。視野が広がり、クライアントの開発負担を踏まえた提案や、Aプランが通らなかった場合のBプランまで準備して提案できるようになりました。
鐙屋:前職では、プロダクトありきの価値提供しかできませんでしたが、コンサルタントは自分の頭で考えたアウトプットがそのまま価値になります。対価に見合ったアウトプットを生み出す力を、今まさに鍛えている最中ですね。
また、ビービットで圧倒的に身についたのはUXの専門性です。「自分たちのサービスはお客様に届いているだろうか?」と感じたとき、それをより良い状況に改善していく上でユーザ視点でUXを考えるスキルは欠かせません。今後どの分野に進んでも活かせると感じています。
── ビービットの選考に応募してくださる方から「UXグロースコンサルタントで得られるスキルには汎用性がありますか?」という質問をよく受けます。お二人はどう考えますか。
鐙屋:むしろ汎用性しかないのではないでしょうか。コンサルタントというジョブを通じて得られる力と、UXの専門性。そのどちらも幅広い仕事で必要とされる能力です。しかも習得が簡単ではない分、一度身につければ希少な存在になれる。「どの会社でも通用するスキルがほしい」と思っている人にはぴったりな職業だと、人材業界出身者として自信を持ってお勧めしたいです。
新郷:私も汎用性はかなり高いと思っています。我々の仕事は言い換えると、「ゴールを描き、現状を捉え、その間を導くシナリオを設計をする」ということ。これって全ての業務において必要とされる力ですよね? ビービットではその訓練を徹底的にできるので、他の会社に移っても役立つのは間違いないと思います。
過去の経験は不問。大事なのは「正解がない中で考え続ける力」
── どんなスキルや経験のある人が、UXグロースコンサルタントに向いているでしょうか?
新郷:論理的思考力はもちろん必要です。でも、私がUXグロースコンサルタントに一番大事だと思うのは、心から「クライアントを成功させたい」と思っていること。少しでも相手を見下す気持ちがあると、決してクライアントと一つのチームにはなれないと思います。
また、プロジェクトを進めていくためには人を巻き込む力が重要です。いろんな人の協力を得ながら前に進んでいくのが得意なタイプの人も、この仕事に向いているのではないでしょうか。
鐙屋:過去にどんな職種を経験してきたかは、あまり関係ないと思います。大切なのは「正解がない中で考え続ける力」。それさえあれば、あとは根性があれば大丈夫です(笑)
新郷:確かに、「正解がない中で考え続ける力」は一番大切ですね。上司や同僚に相談はできますが、その人たちが答えを持っているわけではない。だからこそ、UXグロースコンサルタントはクライアントが成功するためにはどうすれば良いかを全力で考える必要があります。
鐙屋:ちなみに、コンサルタントという職種に対してドライなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ビービットは決してそんな社風ではありません。皆さん本当に面倒見が良くて、相談すれば喜んで時間を割いてくれるので、そこはご安心ください。
── それでは最後に、お二人の今後の展望についてお聞かせください。
新郷:今の業務をかなり気に入っているので、すぐに他の会社に移ることは考えていません。ただ冒頭で少しお話しした通り、「苦しんで働く人を減らしたい」という想いが根底にあるので、いつかは教育系、医療系、メンタルケア系のサービスに携わりたいです。進むべき方向性を見出し、十分なスキルを身につけるまでは、ビービットで経験を重ねていきたいと思います。
鐙屋:一生働いていくことを前提に、ちゃんと自分の頭で考えて稼げる力を身に付けたいです。その上で、エンドユーザが幸せになるビジネスに関わっていたい。UXグロースコンサルタントはその両方を実現できる仕事だと思っています。将来的にどんな道に進むのかはまだわかりませんが、ここで得られる経験を糧に、将来のキャリアを切り開いていきたいなと思います。
取材・執筆:一本麻衣 / 編集:石川香苗子 / 撮影:種石光