竹川 深(Shin Takegawa):株式会社ビービット 執行役員 コンサルティング営業部 部長。東京大学文学部卒業後、2009年4月ビービットに新卒入社。UXコンサルタント、マネージャ、営業/マーケ部門の責任者等を経験。現在は営業部門をリードするとともに、多数の大手クライアントのUX/CX/デジタル変革を支援。新たに立ち上がった「UBS(UX & Business Strategy)」チームにおいて、市場の期待に応えるためのソリューション強化と組織づくりに奔走している。
――今日は「最近のビービットの仕事が、以前とは随分変わってきている」というお話を聞きに来ました。
竹川: はい。今日はぜひその話をさせてください。
まず前提として、私自身の経歴や「なぜビービットにいるのか」という根本的な想いについては、2018年に書いた記事があるので、ぜひそちらを読んでいただければと思います。そこから数年が経ち、いまビービットが対峙しているテーマは、当時とは比較にならないほど広がり、そして深くなっています。
2018年以降、私たちの仕事は大きく3つの方向に拡張してきました。
- 表面的なUI/UXの改善に留まらず、優れた顧客体験を提供するための事業戦略や組織のあり方そのものに踏み込むようになったこと
- AI時代の到来によってUXの概念が再定義され、テクノロジー活用がビジネスと体験デザインの中心テーマになったこと
- 戦略を描くだけでなく、実際の実行・運用フェーズでの成果創出まで一貫して担うようになったことです。
2.については取締役COOの藤井の記事に、3.については「UXグロース」というサービスを解説する別の記事で詳しく語っていますので、今日は私から「1. 事業・組織レベルへの踏み込み」について、現場のリアルな手応えをお話ししたいと思います。
――具体的には、どのような案件が増えているのでしょうか?
竹川: ビービットが昔から手掛けているような、いわゆる「ウェブサイトやアプリなどデジタル接点のUI/UXを使いやすくすることでビジネス成果を上げる」にとどまらない、より大きなプロジェクトが動くことが増えています。
たとえば、日本を代表する大手金融グループにおける「グループ内の複数事業会社横断でシナジーを生むための顧客体験設計」という案件。異なる複数の事業体が、顧客という軸でどう繋がり、どう新しい価値を生むべきかをクライアントとともに考え、実装まで支援しています。
あるいは、大手小売流通業における「街単位のUXの構想と、それを踏まえた各店舗でのデジタル×リアル体験設計」といった案件もあります。もはや1つのウェブサイトやアプリの問題ではなく、企業全体、都市全体、生活体験全体をどうデザインし、ビジネスとして成立させるかという話です。
正直に言って、とても面白いですよ。難易度は極めて高いですが、これこそが今、ビービットが社会に対して貢献できる仕事だと確信しています。
――なぜ、そこまで大きなテーマの相談がビービットに舞い込んでくるようになったのですか?
竹川: 最大の要因は、デジタルとリアルの融合が極限まで進んだことで、企業にとっての「顧客接点」が劇的に複雑化したからです。
かつては「店舗」や「ウェブサイト」、「DM」など、顧客接点は限られていて、繋がりも薄かった。でも今は違います。顧客はスマホを片手に店舗を歩き、SNSで情報を得て、アプリで決済する。この一連の流れにおいて、顧客は「これはA事業会社のサービス、これはB部門から来たメール」なんて意識しません。
そのため、事業単位やサービス単位の「縦割り」で最適化しても、顧客体験(UX)としてはバラバラになってしまう。企業全体として、一貫した顧客体験を提供できるかが、今やビジネスにおける最大の「競争優位のキモ」になっているんです。
――「縦割りの弊害」は、多くの企業が抱えている課題ですよね。
竹川: そうなんです。日本の大企業の多くは、組織構造もKPIの立て方も、どうしても縦割りになりがちです。もちろん、それゆえに高いパフォーマンスを発揮できる良い面もありますが、顧客視点では残念ながらネガティブに働いてしまうことも多い。
よくクライアントと話すのは、「顧客の側から自社を見る」ことの難しさで、私たちからは、「顧客が見えたら負け」という話をしています。顧客理解に努める企業は多いですが、本当は企業視点で顧客を見るのではなく、顧客視点で自分たちを見ることが大切です。
また、組織の中にいると、どうしても「自分の部署の数字」や「社内の論理」が優先されてしまい、顧客の姿が見えなくなってしまいます。そうした状況で「顧客接点を横断的に考えよう」とすると、どうなるか。 「サービスAを使っているお客さんに、メールでサービスBのプロモーションを打とう」とか、「とりあえずアプリを作ってポイントを付与して囲い込もう」といった、企業都合の施策に陥ってしまいがちです。
メールやポイント施策を打つのは良いとして、「それによって、顧客体験(喜びや便益など)はどう良くなるのか?」という視点が抜け落ちてしまう。
もちろん、クライアントの皆さんも決して手をこまねいているわけではありません。非常に真剣に、今のままではいけないと危機感を持たれています。だからこそ、真に顧客の役に立つ企業へと変わるための「変革」を、私たちと一緒にやろうという声がかかるようになったんです。
――ビービットが考えてきたこと、実践してきたことがより広く求められるようになっているのですね。
竹川: まさにその通りです。ビービットが創業以来ずっと言い続けてきた「企業活動は顧客体験を起点に考えるべき」という主張が、単なる「UI/UXデザイン」の話ではなく、経営そのもの、事業そのものであると考える方が増えてきています。今は本当に面白いフェーズにいます。
しかし、そうした期待に応えるためには、ビービット自身も変わらなければなりません。ずっと培ってきたUXコンサルティングの技術は、企業の戦略や組織構造を変革するためにも本質的に使えます。しかし、それだけでは不十分。
そこで立ち上げたのが、「UBS(UX & Business Strategy)」という新領域の開拓を担うチームです。
――「UBS」とは、どのようなチームなのでしょうか?
竹川: UXを軸としつつ、企業全体を変革していくために(現状のビービットは持っていない)ソリューションを新たに開発、提供し、最終的には全社に展開していくことをミッションとするチームです。
従来からビービットが持っているUX設計の技術や、組織を横断して変革を促すコンサルティング能力はもちろん、AIなどの先端技術の知見、実装・開発の領域、そしてクライアント企業の中の人材育成の領域まで。関わる範囲は非常に広いです。これらをすべて「顧客体験」という軸で繋ぎ、企業変革を支援することを目指しています。
ただ、当然ながらそこにはまだビービットにとって未踏の領域も多い。だからこそ今、私たちは「Experience Lab(エクスペリエンスラボ)」という仕組みを導入し、「UX×◯◯」という形の特定領域で、ソリューションの徹底的な強化に取り組んでいます。
既にプレスリリースとして出しているものだけでも以下の3つがあり、それぞれUBSメンバーがリードしています。
・AI Experience ラボ
・UX組織強化ラボ
・UX Realization ラボ
――自ら「武器」を作りながら、戦場を広げているわけですね。
竹川: その通りです。クライアントのニーズに応えるコンサルティングサービスを提供することは重要ですが、私たちはそれにとどまらない。市場の期待のさらに一歩先を行き、「最新の領域で、優れた顧客体験を提供するために必要な活動」を定義し、それを社会に実装していきたい。
そのためには、新しいメソッドやソリューションを開発し、牽引していく強力な仲間が必要です。
現在、UBSでは大きく2つの職種を募集しています。
- 事業開発マネージャ:
特定の領域でExperience Labの中核メンバーとなり、新規ソリューションの企画・開発を通じて、ビービットの提供価値を拡張する役割 - 企業変革コンサルタント:
大手企業の組織・事業変革をUX視点でリードし、実行・成果創出まで伴走するコンサルティングサービスの提案と実行をする役割
――最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。
竹川: 今のビービットには、UXや顧客体験に対して想いを持っていただける方なら、他では絶対に経験できない知的に刺激のある社会的意義のある仕事が溢れていると感じています。
これからのビジネスの主戦場は、単にテクノロジーをどう使うかではなく、「最新の技術を生活や業務に溶け込ませ、いかに人々の体験を優れたものにするか」だと考えています。私たちはその最前線に立っています。この最前線で、クライアントと共に、市場の期待に応え、社会をより良く変えていくパートナーでありたいです。
この変化の激しい、熱い領域で、自分の力を試したい。企業の変革を先頭に立って導きたい。そんな志を持った方と一緒に働けることを、心から楽しみにしています!