約200名の方にご参加いただいた本イベントでは、ベネッセ、代々木ゼミナールといった大手教育企業で営業や教材作成を経験してきた、コンテンツチーム、カスタマーサクセスのメンバーが登壇。
前半では、「atama+ならではの強みやチャレンジ」「atama+をつくる上で大切にしていること」といったテーマでパネルディスカッションを行いました。後半では、視聴者からの質問を受け、具体的なプロダクト改善の方法や、組織が拡大するatama plusでのものづくりについてお話しました。
※2021年8月17日に行われたオンラインイベントの内容を編集し、再構成した記事です。
モデレーター:村田 洋佑(事業企画)神奈川県出身。新卒でMcKinsey & Companyに入社し、新規事業立案やオペレーション改善に従事。教育改革に真正面から取り組むatama plusのアプローチに強く惹かれ、2018年7月にatama plusへ入社。大手集団塾、個別指導塾向けのカスタマーサクセスなどを経験。現在はビジネスチーム全体の事業企画・営業企画を担当。
パネラー:森本 典生(カスタマーサクセス)長野県出身。新卒でベネッセコーポレーションに入社し、高校向け、大学向けの営業活動に従事。2020年4月にatama plusへ入社し、現在は大手集団塾に対する営業・カスタマーサクセスを担当。
パネラー:辻 康介(コンテンツエディター)兵庫県出身。新卒で大学受験予備校の代々木ゼミナールへ入社し、英語のテキスト・模擬試験の作成業務等に従事。2020年4月にatama plusへ入社し、現在はコンテンツエディターとしてAI教材atama+の教材開発を担当。
パネラー:横山 太一(コンテンツディレクター)北海道出身。新卒でベネッセコーポレーションに入社し、紙・デジタルの英語教材の制作やタブレット型教材のUX改善に従事。その後、リクルート住まいカンパニーで雑誌編集を担当。2020年7月にatama plusへ入社し、現在はコンテンツディレクターとしてAI教材atama+の教材開発を担当。
ベネッセ・代ゼミからatama plusへ転職した理由
村田:早速ですが、みなさんがatama plusへ転職した理由を聞きたいと思います。最初、のりさんからお願いしてもいいですか。ベネッセからatama plusへの転職ですね。
森本:はい。僕は前職である先生と話したとき、「教育業界はこれからもっと進化する」と思ったのがきっかけでした。テクノロジーが進化する時代で、僕自身も教育の進化に貢献したい、と思いatama plusに転職しました。
村田:教育の進化への貢献という意味では、前職のベネッセでも出来そうなイメージがあります。この点はいかがでしょうか?
森本:たしかにベネッセは、教育業界では大企業で、偉大な先輩たちが築いてこられた素晴らしい仕組みがあります。その仕組みを上手に活かして社会に貢献する仕事もすごく尊いのですが、僕は教育業界に「新しい進化をつくり、貢献すること」を人生の一つの山場にしたくて、atama plusに転職しました。
村田:ありがとうございます。では、同じくベネッセから転職をしているよこやんさん、いかがでしょう。
横山:僕は新卒でベネッセに入社した後、リクルートに転職して雑誌編集をしていました。就活生時代からの夢を追いかけたくて。ですが、実際働いてみると取材を終え、記事を書いたらその人との関係はおしまい、となるのがさみしいと感じたんですよね。一方で、教育って、生徒をずっと見守り続けられるやりがいや楽しさがあったことを思い出して。できる限り生徒のそばにいられる会社を探す中で、atama plusを見つけました。
村田:ありがとうございます。では最後、G1さんお願いします。
辻:はい。私は、教材編集に長く携わっていたので、そのスキルを活かしつつ教育に関わり続けたいと思って転職活動をしていました。atama plusの面接で、コンテンツチームの人たちや代表の稲田さんと話をして、純粋に生徒のことを考え、「Wow students.(生徒が熱狂する学びを。)」に向かってプロダクトを作っていることに驚いたんです。この人たちと一緒に、生徒を第一に考えて働きたいと思い、atama plusにジョインしました。
村田:「本当に生徒にいいものを届けたい」という想いの強い人がatama plusには多いですよね。
従来の学習と比べたatama+ならではの強み
村田:atama+はEdTech(エドテック、Education×Technology)教材と言われることもありますが、今回はEdTechならではのatama+の強みを聞いていこうと思います。ではまずのりさん。
森本:「1問1問アジャスト」
僕は、生徒目線で書いてみました。例えば、紙教材でも「あなたオリジナルの問題が届く」と謳うものがありますが、届くまでに2~3週間かかったり、問題の中に分からない問題や余裕で解ける問題が混じっていたりします。atama+だと、ちょうどいい問題や説明、講義が常に変わって、アジャストされる(最適化される)んですよね。これが僕はすごくいいなと。
村田:地図検索アプリと似ていますよね。行きたい目的地に向けた最短ルートを計算して、もし右に間違えて進んだ時はすぐ再計算、新しいルートを示してくれるみたいな。
森本:そうそう。この前、ある生徒さんについて、教室長の方がビデオレターを送ってくださったんです。すごく真面目な中学2年生の生徒さんなんですけど、勉強はあまり得意ではなくて。でも真面目だから、毎日遅くまで全ての宿題に取り組んでいたんです。それがatama+を使いだしてできない根本原因を解決していくと、勉強がどんどんできるようになって、それを本人も楽しんでいて。今では2時間も早く寝れるようになりました、という内容だったんです。
横山:2時間は大きいですね。
森本:その子にとって最適な問題がずっと出続ける、成長に合わせて一緒に変わっていく。そこがすごく優しい教材だなって思ってます。
村田:ありがとうございます。では、次にコンテンツチームのG1さんからお願いします。
辻:「ずっと改善し続ける」
僕からは、教材制作側の観点でお話できればと思います。苦労をしてつくった教材でも、生徒さんの役に立っていないといった声やデータが得られたら、教材の改修をためらわない。早ければリリースの2週間後には改善をして、どんどん教材をよくしていけるのは、EdTechならでは、atama+ならではの強みかなと思いますね。
横山:僕も現場見学を通じて教材の改善点を見つけ、問題の追加や、講義動画の撮り直しがすぐできるのはいいなって思います。
辻:前職での経験から、「教材は一度つくったらすぐには変えづらいもの」という感覚がありました。でもatama plusに来てその価値観が変わったというか、すこしでもよくできるのであれば、すぐに教材を改善できることに気づきました。
村田:ありがとうございます。では次よこやんさん、お願いします。
横山:「教材もアプリケーションも進化し続ける」
教材を進化させるだけでなく、それを載せるアプリケーションが、同じ勢いで進化し続けることも大事だなと思っていて。atama plusだと、教材制作メンバーとアプリケーション開発メンバーが一緒にプロダクトを進化させている。これが素晴らしいなと思います。
村田:プロダクトと一口に言っても、講義動画や演習問題といった教材コンテンツからアプリケーション側の使いやすさやアルゴリズムまで、色々な打ち手があるのは面白いな、と僕も思いました。
atama+ならではの課題・チャレンジ
村田:今度は逆に、EdTechならではのatama+の課題やチャレンジを聞いていこうと思います。ではまずG1さんからお願いしてもいいですか。
辻:「早くいいものを作り続けられる?」
世の中も、学校も、教科書も変わるし、塾や入試も変わる。変化の要素が多いので、常に教材は新しいものを、スピードも大事につくり続ける必要があると思ってます。さらに、チームやつくり方も変わらないといけない。より早く、より良いものをつくる方法を考えるのはやりがいもありますが、チャレンジでもありますね。
横山:ちなみにG1さん、結構涼しい顔してるんですけど、「この単元は問題1500問作ります」とか、すごい量を担当されてますからね。「大変だ」と言いながらも、サラッとつくられてますけど。
辻:「お祭りが始まったぞ!」みたいな感じですね。笑
村田:では続いて、よこやんさんお願いします。
横山:「セオリーってあったっけ?」
僕は「これまでの教え方って、本当に最適なのだっけ?」と考える機会が増えました。例えば、atama+の講義動画には先生が出てこない。これは、先生の顔や動きよりも学習する内容のほうが大事なので、必ずしも先生は登場しなくてもいいのでは、という考えからきています。こうすると、生徒さんも集中しやすく、制作側も少ない設備で多くの動画が作れる。生徒さんと作り手の双方にとってよい教材制作方法をいつも考えていますね。
村田:プロセスにこだわるというより、結果にコミットする。いまのやり方がよいかどうか考え検証し続けるのは、難しい部分ですかね。ありがとうございました。では次にのりさん。
森本:「まだまだ発展途上、人×AI」
僕からは、カスタマーサクセスの立場でお話してみたいと思います。例えば、教室長さんや塾の全体を統括されている方々から、atama+の塾への導入設計などを相談いただくことがあるんですけど、AIと人を組み合わせた授業って前例がなくて。前職の時は、過去の取り組み事例が多く参考にできたんですが、今は自分でどういう形が良いかどうか判断をしないといけない。これが難しいと感じています。
atama+をつくる上で大切にしていること
村田:atama+をつくる上でこだわっていること、大事にしていることについて聞いていきます。では、G1さんからお願いします。
辻:「余計なこだわりはさておき」
一度つくった教材が決定版じゃなく、変わり続けるものであることを大切にしたいです。自分がいいものをつくった、ではなく、生徒にとっていいものができたかどうかを判断基準にする。ちょっとでもよくないなものはどんどん変えていくことを教材をつくる上で大切にしてます。
村田:同じくコンテンツチームのよこやんさん、今のも踏まえてどうですか。
横山:「してきたことが正解とは限らない」
これまで教育業界で色々チャレンジしてきたとは思っていますが、自分が考えてきたことや、やってきたことを正解だと思うことはおこがましいと感じていて。その都度、ここの場面で何が大事なんだろう、どうするのが一番なんだろう、と問い直すことをすごく丁寧にしています。
村田:ありがとうございます。カスタマーサクセスの観点から、のりさん、お願いします。
森本:「社内連携」
僕は立場上、先生や生徒さんとの接点が多いので、そこから得た学びや気付きをいかに社内に伝えていくかを大事にしています。事実、実際に言われたお言葉やその背景、先生の人柄、それらを踏まえて自分はどう考え、どうしたいのか。これらを整理して伝えることと、現場の温度感の両方を伝えることを大切にしていますね。
横山:制作とカスタマーサクセスがすぐ隣にいるので、同じ熱量で同じものごとを見れる。余計なストレスがなく仕事が進められるのが良いですよね。
森本:カスタマーサクセスから機能の改善要望を出すって、一般的に心理的なハードルがあるけどatama plusにはそれが全然ない。もちろん傷つけないように、正確に伝えるんだけど、それは普段から繋がってる感じがあるからですかね。
辻:のりさんの話を聞いてて思ったんですけど、こんなにカスタマーサクセスの人たちがつくり手の気持ちを理解してくれることが自分としては衝撃で。つくる側の気持ちも理解した上で、実際にプロダクトも触ってフィードバックをくれるカスタマーサクセスは他にいないなって思います。
Q&A:教材改善の具体的な方法を教えてください
村田:ここからは、視聴者からの質問に答えていこうと思います。この質問は、よこやんさん、お願いします。
横山:主に参照するのは、社員が現場を直接見に行った時に気づいた情報と、塾さんの使用率や講義動画の繰り返し再生数、問題のさかのぼり先などを収集したデータです。それらをもとに、具体的な教材改善の検討を、コンテンツチームのプランナーという役割の人が担当します。
その他に、カスタマーサクセスの方たちからいただく沢山の要望を精査して、対応の優先順位づけをしたり、生徒さんから「ここが分からないので教えてください」みたいな質問が多く寄せられたらその部分を改善したり。あの手この手で教材改善をしています。
Q&A:大手からの転職に不安はありませんでしたか?
村田:「ベネッセも代ゼミも大手企業ですが、atama plusに転職することの不安はなかったですか」という質問ですね。ではまずのりさん、どうぞ。
森本:嘘と思われるかもしれないですけど、不安は本当にありませんでした。客観的に自分を見た時に、スタートアップで働く経験はきっとプラスに働くと思っていて。ベネッセもすごくいい環境で色々な経験ができましたが、atama plusでもきっとすごくいい経験ができるだろうなと思っていたので、大丈夫だろうと判断しました。
横山:僕は正直不安でした。それでも入社した理由は、つくっているものや、つくろうとしている世界が純粋にいいなって思ったし、自分のつくりたいものとドンピシャだったから。「僕が入って、ちゃんとつくっていかなきゃ」みたいな気持ちになったんです。仕事をする上で、どれだけ大義を持てるかをすごく大事にしていますが、atama plusでなら人生をかけても後悔しないと思ったので入社を決めました。
辻:自分も不安はほとんどなくて。むしろ妻が、大手予備校からスタートアップに転職することに最初は不安を抱いていました。自分自身は不安よりも、環境を変えて、今まで自分が培った経験を活かしつつものづくりをしたい思いが強くて。最初は不安そうだった家族も、今では実際に働いている自分の姿を見て安心してくれています。
Q&A:組織が拡大すると、ものづくりの仕方も変わってしまうのでは?
村田:今後、人が増えて組織が大きくなったら、atama plusのものづくりって変わってしまうのでは、という観点について。この辺りはどんなふうに感じていますか。
横山:同じ想いを持った人だけが集まっているので、大事にしたいことや目指すミッションがぶれないなと思います。そして、大手企業から来る方も多く組織が大きくなることによる難しさを経験している。なので、「同じ轍を踏まないためにはどうしたらいいか」も踏まえながら、atama plusらしいものづくりのカルチャーを磨いていけるんじゃないかな。
森本:よこやん、その通りだね。
横山:組織が拡大していく中で出てくる課題に全員で向き合いながら、「Wow students.」を追求していきたいと思っています。