1
/
5

【3分ストーリー】高校の文化祭とビジネス。

※流し読みでも読めるストーリーです。

===

今日は待ちに待った、
高校最後の文化祭当日。


僕たち3年10組は、
ドーナッツを販売することにした。


本当は、お化け屋敷をやりたかったんだが
(お化け屋敷はどの高校の文化祭でも
 1番人気で「稼げる」出し物だった)


抽選で負けてしまい、その権利は
別のクラスにわたってしまった。


そして僕らは、第二候補だった
ドーナッツ屋をやることになった。


僕たちのドーナッツは、
有名ドーナッツ店の
冷凍の商品を、油で揚げて売る。


なので味は確かだし、
さらにカラフルなチョコチップをふんだんにかけ
見た目もよくしている。


まさにインスタ映えしそうなドーナッツだ。

なによりも、
あのドーナッツ屋のドーナッツが素材なので
知名度も抜群だ。


「○○ドーナッツを3年10組でアレンジ!販売中」


こんな感じでチラシでもまけば
多くの人が僕らのクラスに来店するだろう。


クラス全員、確実にこの”ビジネス”は成功すると
確信をしていた。

(ほぼ転売みたいなものだし…笑)


「お化け屋敷より、こっちの方が稼げそうじゃね!?
 そしたら打ち上げは、サイゼじゃなくて焼肉だな!」


そんなことを
サッカー部に所属する、
クラスで1番のお調子者の
リクが言っている。


リクはよほど楽しみらしく、
すでに廊下にでて


ドーナッツの宣伝が印字されている
クラスTシャツを着て、
窓から中庭の様子をみている。





10時の開門と同時に多くの
人が中庭に集まり出した。


僕の広告は都内で
文化祭が豪華な高校として
有名なため、毎年多くの人が訪れる。


公立の中学生だろうか?
廊下にもエアコンがある私立の高校に
驚いている。


僕たちは、
開門と同時に
ドーナッツを作り出した。


教室で油は使えないため
家庭科室を借り、
女子がスタンバイしている。


「ミキ~こっちむいて!」
彼女たちは、ドーナッツの売上より
インスタ映えするドーナッツを作る
自分たちの姿をスマホで撮ることに夢中らしい。


僕は、お客さんの呼び込みが担当だ。

親友のマサユキはオーダーが入ったら、
家庭科室と教室との伝令役だ。


僕もマサユキも、
クラスTシャツの袖口を肩までめくりあげ
気合十分だ。


マサユキの腕には、
油性ペンでイタズラ書きがされているが、
何が書かれているのかよく分からない。


「今日の牛角って食べ放題だよね?」

マサユキはもう、
このビジネスが大成功して
焼肉を食べることが
決まっているかのような口ぶりで
僕に質問してきた。


という僕も、
「あっ、俺が予約担当なんだけど
 売上次第で食べ放題か
 もっと安いコースかで決めるらしいよ。」


いずれにせよ、
僕もこのビジネスが
大成功すると思い込んでいた。





すぐに僕らは異変を感じた。


いつまでたってもお客さんが
僕たちのクラスにやってこない。


開店から1時間で、来店したのは、
リクの後輩のサッカー部員だけ。


呼び込み担当の僕がサボっていたのか?

いや、
僕は必死に教室の前で声をかけている。


なんなら、開店から1時間経過してからは
中庭に降りて行き、声を張り上げている。


呼び込み担当は、
僕以外にも8人いる。
それぞれ2人1組となり学校中で
呼び込みをしている。


僕の相棒はリュウノスケ。
ハンドボール部のエースで運動神経抜群。


リュウノスケも、
クラスTシャツの袖をめくっているが
僕とは比較にならないくらい太い鍛え上げられた
上腕二頭筋があらわになっている。


「”みんな、わかりました~”って言ってくれるけど
誰も買いに行ってる感じじゃないね・・・。」

リュウノスケが僕にボソっと、腕組みをしながら言う。


(腕組むだけでこんなに筋肉が目立つのか~!)
僕は「そうだね~」といいながら
全然別のことを考えている。


僕たちは他のクラスの様子を
見に行くことにした。

(俺たちのドーナッツが売れないなら
 他も売れていないに違いない)


歩いていると廊下に長蛇の列が。


3年7組の教室だ。
実は7組もお化け屋敷の抽選に漏れたクラスだ。


何を売っているのか見てみると、
『トッポギ』を売っていた。


確かにここ最近空前の韓流ブームではある。
でも、こんなに繁盛しているとは・・・。


「お~!リュウノスケ!」
7組の呼び込み部隊として
廊下で呼び込みをしていた
ハンドボール部の清水が声をかけてきた。


清水は、お手製の段ボールで作った看板を
首からさげやってきた。


清水は、Tシャツだけではなく
ズボンの裾まで短くおり
「The高校生」のような格好で立っていた。


「めちゃくちゃ繁盛してるじゃん!」
リュウノスケが清水の肩に手をかけながら話す。


「まぁ~な!女の子に人気でさ。わ!あの子可愛くね!?」


7組は、もはや女子校と思えるくらい
女性客であふれていた。


これはすごいな…と完全なる敗北を味わった僕らは
もう一度自分たちのクラスに戻ることにした。


階段を登りながら、何か売れる策はないか
考えまくったが出てこない。


SNSでの告知は禁止されているし
(とは言っても、学校が管理できるわけもなく
 SNSにはうちの文化祭の情報があふれている)


その禁じ手を使って、
先生に怒られるのも嫌だなと思っていた。


「なす術なし!」
有名なCMのフレーズを
リュウノスケが口にした時、
ある光景が僕の目に映った。


お化け屋敷を行っているクラスだ。


お化け屋敷をできるクラスは2つある。
そのうちの1つの3年3組の廊下の様子が、
目に飛び込んできた。


ものすごい行列だ。
その行列は、3つ隣の教室の
2年生の教室の廊下にまで
続いている。


「やっぱり、お化け屋敷すげ~な」


リュウノスケはその様子を
スマホで撮影している。


僕らは気付いたら3組の教室前まで来ていた。
リュウノスケはその繁盛ぶりを
どうやら動画で撮っているようだ。


僕は並んでいる、
中2くらいの女の子に
どれくらい並んでいるのか聞いてみた。


「えっ、たぶん30分は並んでます~。」
女の子はスマホをいじりながら、
一緒に来ている友人とニコニコした笑顔で
答えてくれた。



========

僕をひらめいた。

========


僕「ねーねー!ドーナッツ好き?」


女の子たち「大好きです!」


僕「ちなみに、(スマホで写真を見せながら)
  こんなドーナッツなんだけど買わない?」


女の子たち「えっ、かわいい!!買いたいです。でも、いまこの状態なので・・・。」


僕「OK。おれが今ここに持ってくるよ!


女の子たち「嬉しいです!ありがとうございます!」


リュウノスケはその様子をみて、
階段を一気にかけのぼった。


さすがハンド部エース、
すぐに2つドーナッツを持ってきた。


女の子たち「えっ!かわいい!アミこれ持って~!」


早速女の子たちはSNSに投稿したようだ。


すると、


「あの~私たちも欲しいです」
その女の子の後ろに並んでいた別の女の子から
嬉しい言葉をかけられた。


またリュウノスケは走っていく。
戻ってきた時には、箱に
ドーナッツを20個ほど入れて戻ってきた。


そしてその後ろの子、また後ろの子、
延々と声をかけられた。




そう、
何も教室で売らなきゃいけないなんてルールはない。


30分以上もただ廊下でやることなく
スマホで時間をつぶしている人たちに
SNSで映えるドーナッツは最高の「ネタ」だった。


そして味もうまい。(ほぼ転売なので笑)


その様子を知った
僕たちのクラスの他の呼び込み組は
もう一つのお化け屋敷に直行。


同じように、ドーナッツが飛ぶように売れていく。


おそらく伝令係のマサユキは
ヘトヘトだっただろう笑


「長蛇ができているところに売りに行けばいい!!」


と思ったのか、
トッポギを売っている
7組にも行った呼び込み組もいたが

・・・そこではさすがに売れなかった笑


さらに、
「お化け屋敷に並んでる人が食べてるあのドーナッツ何!?」
と、話題になり僕らの教室にも人が押し寄せた。


午後には、ドーナッツの在庫がなくなり
伝令係のマサユキが
近くのスーパーに追加で在庫を買いに行った。


とにかく、僕らのビジネスは大成功。
打ち上げは、焼肉で食べ放題だけではなく飲み放題までつけ、
さらに2次会でカラオケまでいけた。


その時にみんなで撮った写真は、僕の宝物だ。
お調子者のリクが、
Tシャツを脱いではしゃいでいる。


お読み頂きありがとうございます。
Buying豊泉です。


今週で仕事納めとなるため、
少しテイストを変えて投稿しました。

じつはこの物語の「僕」はわたくし豊泉です。

もちろん多少脚色はしていますが
90%本当のことです。

実は最近あることを経験し
この文化祭の出来事を思い出したんです。


『いい商品を作れば売れるというのは、
 間違いです。

 売り方が9割、商品は1割。
 それくらいの気持ちでいてください。』


これは、マーケ業界で超有名な
ダイレクト出版の小川社長が
話されていた言葉です。


私自身、
起業してから6年間
自社のサービスの質を改善することだけに
集中してきました。

契約は直接営業に行けば
受注できる。


そう思っていました。


しかし、
2020年コロナにより全てが変わりました。

直接営業ができなくなり、
いわゆる「現場で培った技」を
一切発揮できません。


そこで、私は「売り方を」変えることにしました。

(売り方が大切なことは、高校時代に経験していたのに・・・。
 思い出すのが少し遅かったです笑)


その結果、
4月・5月は本当に厳しい状況でしたが
今期の営業利益は黒字で迎えることができそうです。


その売り方については、
また年明けにゆっくりお伝えいたします。

本日は

「売り方9割」

という考え方をみなさんにお伝えしました。
このストーリーを含めなにかお役にたれば幸いです。

本年もありがとうございました!
それでは良いお年を!

株式会社砺's job postings

Weekly ranking

Show other rankings
Like 宮崎 美妃's Story
Let 宮崎 美妃's company know you're interested in their content