こんにちは、アンター株式会社です。
本記事では、西山がCOO - Chief Operation Officerとして直面したスタートアップ企業における組織のモチベーションコントロールの難しさと、解決したエピソードをご紹介します。
アンターに興味を持っていただいている方、スタートアップ企業のマネジメントや、COOというポジションに興味のある方などにおすすめの記事です。
COOの西山は、新卒でリクルートに入社し、デロイトトーマツに転職。そしてデロイト在職中に「スタートアップ企業をサポートする、支援担当者」という立場でアンター株式会社に出会いました。5ヶ月間の並走をきっかけに、アンターCEOの中山が西山をスカウト(!)、経営陣として参画しました。
◆リクルートでマネジメント職として活躍
「リクルートでマネジメント職だった頃は、メンバーとの1on1や毎日のコミュニケーションを通じて、メンバーのやりたいことや、メンバーそれぞれの『Will』をすごく探していました。」
◆マネジメントの中でメンバーのモチベーションを維持した方法
「『メンバーのモチベーションが上がるタイミングとはなにか?どこなのだろうか?』をを突き詰めました。仕事を通じてメンバーが幸福になる方法を考え、サポートしたかったからです。
見出したキーワードは3つ、『Will』『Can』『Must』です。この3つを円にして、重なるところが大きいほどその人の仕事は幸せだと言われています。
これは『Will Can Mustシート』と呼ばれ、リクルート社内で広く人材開発 - キャリア開発支援の一環として利用されていることなどから、ご存知の方も多いかもしれません(参考)」
リクルートは起業や独立精神を歓迎することでも有名な組織です。数ヶ月〜1年程度での転職も普通のこと。数年在籍しているとすぐに、「在籍期間の長い先輩」になります。
仕事を通して前に前に進み、他の企業様と比較しても、早い段階での独立望むような社員も多いと聞きます。
西山は、そんな企業でマネジメントを務めながら、メンバーとのコミュニケーションを重ねました。
「メンバーの話を聞いていくうちに気づいたのは、メンバーそれぞれの様々な『Will(これから何をしたいか、自分がどのような姿になりたいか、など)』がわかった一方で、やりたいことがある人ばかりではないということです。『Will』を突き詰めるとモチベーションが上がるかもしれませんが、そこが少ない/小さい人のことも尊重しすべきですよね。
そこで次に着目したのは、褒めることです。メンバーの『Will』を引き出しながら、『Will』が少ない/小さい人はできることを増やし、『Can』の円を大きくできればいいと考えました。
この両方を週次・月次・1on1と進めた結果、チームの業績は右肩上がりになりました。」
◆リクルートでのマネジメントの成功体験と、スタートアップ
アンター株式会社のCOOに就任後、リクルートでの経験を踏まえて同じ方法を試みたところ、うまくいかなかったと言います。
「なぜうまくいかなかったのか。結論から言うと『Must(するべきこと)』の円が大きすぎたのだと思います。
リクルートは、言わばすでに地図があり、線路があって、列車も出来上がっている状態です。目指すところに行くためには線路を伸ばしていけばよく、そこで私がおこなったことは、燃料を詰めて目的地に向けて列車を押し出し、メンバーと共に協力しながら安全に走ることでした。
しかし、スタートアップ企業にはまだ地図すらありません。何も行く手段のない状態で月を目指しているようなものです。あるのはただ月に行きたいというビジョンだけ。
そこに新しく入ってきた人たちが、『月にいきたくて入ったので、線路を作るために入ったのではない』というシーンがあると、チームのモチベーションが低下しますが、そうする間にも時間が刻々と過ぎていきます。
これに対し西山が実行したのは、ビジョンを何回も語ったり、依頼している仕事の意味づけやVISIONにどう関連するのか?を伝え続けました。
「日々の業務に追われるとなぜやっているのか?が薄れるため、薄れないように言い続ける人が必要です。」
◆アンターで試したこと
「ここで、前述の3つ『Will』『Can』『Must』に戻ります。
会社でビジョンを伝え続けると、全員が『Must』に対して真面目に真摯に取り組むようになります。ビジョンを忘れずにいると、日々の業務の意味がわかるからです。」
そして、このタイミングで「行動指針」を作りました。
「経営陣が唱え続ける構図を止めました。ビジョンのために全員が同じ指針を持って行動し、その行動にお互いが注目し、尊重したり感謝したりする構図を作ろうとしました。」
「行動指針を作ると、日報に変化が起きました。
- 行動指針の2をもとに、『今日は私の窮地に、Aさんが助けてくれました』。
- 行動指針の4をもとに、『開発中に機能を作りながら、医師が仕事で目指している幸せってなんだろう...と考えました』。
など、業務遂行や行動の振り返りに、自然と行動指針が使われるようになり始めました。」
日々の業務である「Must(するべきこと)」の中に、「Can(できること)」が染み込んで、「わたしのできることはなんだろう」と自分を見つめ直しながら業務を進めてくれることが増えたと言います。
また、毎週実施する全体ミーティングで、互いの仕事を知り、良いところを見つけ、褒める時間を設けました。
周囲からの感謝を受け取ると、自分も人や事業に貢献したい気持ちが増すと思っています。Antaaでは先生同士が互いにGiveしながら助け合っています。社内でも同じような循環を生みたいと思って実施しています。メンバーも、「Can(できること)」から「Could(できたこと)」、「Will(やりたいこと)」を考えるようになったようです。
アンターでは、行動指針を作り活用したことをきっかけに、現在もさまざまなことを試し続けています。
◆社内とサービスで広がる「相手のためのアクション」
アンターのサービスに、医師のQ&Aサービスがあります。ここで起きているのは医師の先生方の助け合いです。ある先生が質問をしたら、そのことが分かる先生方が回答してくださいます。つまりサービスの中で、先生同士がgiveし合っています。
「アンターは、会社として、ユーザーの皆様に先にgiveしていきたいと思っています。
なので、アンターのメンバーが、まずは社内でgiveし合う。組織の中でお互いにgiveをするために、相手の行動を見て、相手の行動や特性を知る。良いと思ったら称える。自分たちが実行する中で、その心地よさを体感していたら、サービスにも生かしたいと思ってもらえるのではないか?と思っています。」
終わりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次回以降の記事では、
- 行動指針について
- 「Must(するべきこと)」のための時間捻出方法
をご紹介予定です。アンター株式会社のストーリーを、ぜひまた読みにいらしてください。
※この記事はSHIPS様のイベントに登壇させていただいた際の登壇内容をもとに再編しています。
ヘルスケアSHIP10月のマンスリーイベント「組織内のモチベーションコントロール」
SHIPS様、貴重な機会をいただきありがとうございました。