クレドカードって知っていますか?
クレド(Credo)とは「信条」を意味するラテン語を起源とする言葉で、昨今では、企業の経営理念などをまとめた、「クレドカード」を指す言葉として定着しています。(一般社団法人 日本クレド経営協会)
海外だと リッツカールトン や Johnson & Johnson 、国内だと 楽天 や GREE などが有名です。薬局だと今伸びていると言われている きらり薬局(Hyuga Pharmacy) でも取りいれらているようです。経営理念やミッション、ビジョン、バリュー、行動指針などを、全社的に共有するための経営ツールとして使われています。
なぜ薬局でクレドカードなのか?
チームで目標に向かって何かをする場合、チーム全員の意識が同じ方向に揃っていた方が成果が出やすいと言われています。
当グループを例にすると、「親切であたたかい薬局にしよう」「良い医療をしよう!」と社長が言っても、「親切って何するの?」「あたたかいってどういうこと?」「良い医療ってなに?」とスタッフ間や経営陣⇔現場スタッフの間で認識が一致するとは限りません。特に数字ではなく、「あたたかさ」「親切」といった概念的な話になると、普段から一緒にいれば何となく分かるものも、距離が離れたり、人数が増えるとなかなか伝わりにくくなります。
当グループの場合は、そういった企業の求める「あたたかさ」「親切」といった抽象的な概念を統一し、薬局のスタッフとしてこうあって欲しいという姿を示すために、2004年~クレドカードを活用しています。社長と当時の若手スタッフが、一緒にうんうん考えて作ったようです。
上記は、2004年当初のクレドカードで、お手本にしたリッツカールトンの影響が濃く見られます。この初版から、スタッフ中心に文面や構成などの見直しを含む改訂を2回経て現在のクレドカードになっています。
現在の当グループのクレドカードは、「まごころ」「一貫性」「(肯定的な)影響力」というValueについて、具体的にどういったことか?を解説するような形式になっています(トップ画像)
どんなことをしているのか?
作るのは簡単、組織内でうまく活用するのは大変なクレドカードに対する当社の取り組みを紹介したいと思います。
Valueにマッチしていると評価される仕組み
当グループでは2つの表彰制度があります。短期・年度表彰制度とクレドスター表彰制度です。
短期・年度表彰は、いうなれば四半期MVP、年度MVPで、その期間で一番Valueにマッチした行動がとれているスタッフを表彰しています。特に短期表彰(プチ表彰と呼んでいます)は、がんばり度合 について評価するので、年次の浅い社員の方が表彰されやすいという点が特徴です。社長が受賞者の所属する薬局まで出向き、ねぎらいの言葉と共に副賞を贈っています。
クレドスター表彰制度は、Valueにマッチした行動ができる度合を評価し、職務能力とは別軸で手当が支給されます。★1~★5までの5段階あり、「一貫性」や「影響力」をValueとして大切にしている点を考慮し、スタッフ間の推薦で1次選考が行われることが特徴です。
クレドスターに認定されると、★数に応じたバッジと認定証が社長から送られます。
良いことは共有しよう! ~実践報告書~
Valueに沿った良い行動をどのように評価するのか?というのは難しい問題ですが、当グループでは「〇〇さんが、こんな良いことをしていたよ」形式の報告書を書いてもらっています。書かれた方は褒められるので嬉しいですし、書く方にもメリットが出るような仕組みになっています。
事例報告は、オンラインのワークフローで行っています。
クレドについてまじめに取り組むクレドチャージ
クレドに関する取組の検討や表彰などの推薦は、各薬局1名いる”クレドチャージ”という役割のスタッフが、3か月に1回ミーティングを行って検討しています。スタッフ自身がクレドについて考えて、自分たちで意思決定→実施するようになってから、企業のMissionやValueに対しみんなで一緒に取り組むという意識が芽生え、他人事ではなくなったように私は感じています。
各薬局でどのようにクレドに取り組むか?についても、クレドチャージが考えて実行しています。
クレドを使ってどうしたいのか?
当グループは薬局ですので、お薬を用意して、お話しを聞いて、説明して、患者さんに薬を飲んでいただくこと(いわゆる薬物治療の提供や質の向上)が仕事です。仕事の質を追求することは、医療に携わる者として当然だと思いますが、薬局は病院を受診した際の流れの一番最後になる場所なので、「ほっ」と心がくつろぐ様な関わり方を大切にしたいと当グループでは考えています。
また、薬局が病院と異なる点として、
・生活の中の一部としての薬の位置付け(薬が1番重要とは限らない)
・患者さんに話してもらわないと情報が少ない(カルテが見れない)
・いろいろな症状、複数か所の処方がくる(コンテクストの重要性)
などが挙げられ、患者さんとコミュニケーションを取ることがより重要です。日々業務していると患者さんから伺った何気ない一言で、適切な服薬指導ができたり、医師へ疑義照会に繋がることが多いです。
患者さんとの適切なコミュニケーションを取るというのは突き詰めると難しいことでもあるのですが、薬局の事務スタッフや薬剤師が「親切であたたかい」ということは、その解決の糸口になると私たちは信じています。話が最初に戻りますが、「親切で温かい質の高いサービスの提供」ということが当グループのミッションですので、クレドカードというツールを活用し、より良い薬局サービスを追求していきたいと思います。
不親切な薬局よりは、親切な薬局の方がきっと素敵ですよね?