2期目の折り返しに考える、"文化が続く会社"の条件 | 合同会社aciass
スタートアップaciassが組織づくりで大切にしていることこんにちは、髙野です。10月1日で、aciassは2期目の折り返しを迎えました。この半年を振り返ると、本当に濃い時間でした。新しい仲間が...
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前回のブログでは「文化が続く会社とは何か」について書きました。
あの中で触れた「ワクワク」と「誠実さ」という2つの軸。
今回は、その2つを守るために、僕たちが“やらない”と決めていることを、改めて整理したいと思います。
以前の「aciassでの判断の軸」という記事の中で、こう書きました。
“aciassでは、何よりも『ワクワク』を大切にしています。”
“誠実という判断軸も同時に大切にしている。”
あれから時間が経ち、経験を重ねる中で感じているのは、判断軸を掲げるだけでは不十分だということ。
その軸を“どう守るか”を考えることこそが、次のステップだと気づきました。
だから今回は、「やらないこと」というカタチで、判断軸を実際に守るための姿勢を表しておきたいと思います。
正直、このテーマで書くのは少し迷いました。
「やらないこと」を書くことで、誰かの気分を害するかもしれないし、aciassだって完璧じゃない。
それでも書こうと思ったのは、aciassのひとつの考え方として、“ワクワク”って、誠実さの上にしか続かないと思ったからです。
そして、“ワクワク”を続けるには、その逆のものを、ちゃんと見極めて選ばない勇気も必要だと感じています。
くどいようですが、誰かを否定したいわけではありません。
あくまで、いくつかの出来事をaciassの視点で見たときの感想として読んでいただけたらうれしいです。
この業界には、本当にいろいろな会社があります。
それぞれの考え方ややり方があって、どれも一概に“良い悪い”とは言えません。
むしろ、その多様さこそが業界の面白さでもあります。
でも、ときどき思うんです。
「ワクワク」を掲げながら、人の不安を“安心できそうな数字”で包んでしまうことって、意外と多いなと。
価値観が違う会社を否定したいわけではありません。
ただ、数字が人を安心させるための“演出”になった瞬間に、誠実さは薄れていく。
だからaciassは、「どんな数字を出すか」よりも「どうやって信頼を積み上げるか」に目を向けたいと思ってます。
本気で雇用を生み出している会社は、本当に尊敬しています。
人を迎え入れるというのは、その生活や成長に責任を持つということ。
簡単なことじゃないし、覚悟のいる選択です。
その一方で、業務委託などの外注の方まで“従業員数”として数え、「人数が多い=すごい会社」という安易な構図をなぞる企業も少なくありません。
もちろん、パートナーと協力して事業を進めること自体は良いことだと思っています。
業務委託の方も、正社員も、関わる形が違うだけでどちらも大切な仲間です。
ただ、人の関わり方を誤魔化して“会社を大きく見せる”ことに意味はないと思っています。
「何人いるか」より、「どう関わっているか」の方がずっと大事だと思うんですよね。
雇用するいうことは、責任を持って生活を支えること。
一方で、誠実にパートナーとして協働することも、立派な責任の形です。
だからこそ、“従業員数などの数字を盛る”のはどちらにも失礼だと思っています。
数字がわかりやすい指標として意味があることも理解しています。
でも、その数字が“安心させるための飾り”になってしまったら、もう本質を外れている気がするんです。
数字だけが先に走ると、“人を集めること”が目的になってしまう。
その結果、「ワクワクをつくる仲間」ではなく、「枠を埋めるための人」が増えていく。
数字で語ること自体は悪くありません。
けれど、数字を曲解して演出した瞬間に、信頼は静かに壊れていく。
僕たちは、そんな“数字のマジック”に頼らないように運営しています。
そして、その先にこそ、数字では測れない“信頼”が生まれると思っています。
実は僕たちも、一度だけ“派手な数字”に期待したことがあります。
だれかを批判したいわけではないので、詳しい数字は伏せますが、
ある採用サービスの商談で、「1日に数十名のエンジニアが登録しています」と聞き、導入を決めました。
aciassは採用の数を追う会社ではありません。けれど、よりカルチャーの合う仲間と出会うためには、ある程度の母数がある媒体を使うことも必要です。 だからこそ、その数字に少し期待してしまったのだと思います。
採用サービスの導入後、ある程度の結果が出た段階で、KPI設計を進めるために登録者数の再確認をお願いしたところ、返ってきたのは当初聞いた登録者数から比べると35%から50%ほど少ない数字。
さらに「最初に説明した登録者数は再現性がない」と言われました。
戸惑いながらもう一度、当時の前提を含めて確認すると、
「最初に説明した登録者数は即時再現性はないが、再現可能な数値」という説明に変わっていました。
数字が揺れるだけなら、まだ理解できます。
しかし、その説明後に新規登録者数を確認すると、実際には商談時に伝えられた人数の半分も確認することができなかった。
その旨を伝えると、「登録した中で、さらに一部のユーザーしか表示されない仕様」と説明され、
さらに唐突に「解約という選択肢もあります」との提案。
怒りよりも、虚しさが残りました。
もちろん、商談をしてくれた営業さんを責めたいわけではありません。
ただ、誰も悪気がないのに、
“誤解させる設計”が少しずつ現場の信頼を削っていく。
この経験を通して、僕たちはひとつ大切なことを学びました。
「正しく伝わる仕組み」こそが、信頼を守る設計であるということです。
だからaciassは、
資料の見栄えより実感を優先したい。
数字を盛るより関係の厚みを積みたい。
作った仕組みが、誰かの信頼を削るなら、まだ完成ではないと思っています。
演出は、数字だけの話じゃありません。
「やってる感」を出す会議やブレストも、同じくらい危ういと思っています。
ブレストそのものは、文化を作っていくためにはとても良い方法だと思います。
ただ、形だけのブレストで満足してしまう姿を見ると、少し違和感を覚えます。
どこかで見た構図を、意味を理解しないままなぞっているケースも多く、そういうときほど“演出の匂い”が強くなる気がします。
たいてい、そういうブレストのテーマは「理想の組織とは」「会社に貢献するとは」など、“聞こえはいいけど中身がぼんやりしたもの”。
本来それを詰めるのがブレストですし、だからこそ言葉だけ見れば立派で、写真を撮れば真剣な議論に見えると思います。
さらにその写真をSNSに上げれば、なんとメンバーを採用ツールとしても使えてしまいます。
誰かが悪いわけじゃない。
ただ、個人の誠実さがブランドの演出に変換されていく構造が、少しずつ人の“善意で出来た素直な熱”を奪ってしまう気がします。
そもそも本来、現場のメンバーが向き合っているのは、もっと地に足のついた課題です。
「今のPJで詰まっていること」や「チーム内のすれ違い」など、日々の中で生まれる温度のある話こそ大切だと思います。
だからaciassは、こう決めています。
儀式的な学びはやらない。メンバーを演出に使わない。
Slackでもリアルでも、誰かが「これ困ってる」と言えば、そこから自然に会話が生まれる。
雑談の延長で制度が変わり、愚痴から次の企画が始まる。
文化は、おしゃれな壁に貼った付箋の数ではなく、日々の会話の中で育ちます。
だからaciassは、“見せる”より“感じてもらう” を選びます。
ここまで書いたことは、僕たちが“やらない”と決めていることです。
どれも派手ではないし、地味なことばかり。
でも、この地味な誠実さこそが、aciassの文化を支えていると思っています。
“演出されたワクワク”ではなく、“誠実さで続くワクワク”を。
そのために、これからも「やらないこと」を見極めていきたいと思います。