株式会社アキュートの執行役員を務めている部田光一と申します。当社の事業戦略構築と企業アライアンスの統括を行なっています。
私が営業の世界に入り15年、経営者とプレイヤーの両側面から多くのアライアンス、営業のマネジメントに携わってきました。
営業がAIに取って代わられる論争について、営業マンとしての向き合い方を綴らせていただきます。
飛び抜ける営業マン、そうでない営業マンが存在するのは
いきなり結論ですが、社会の意思決定者は人間なので、人と人のコミュニケーションを望む感情がある限り営業は残り続けると考えています。後、事業でAIを活用するかの意思決定も人間が行なうわけですから、その意思決定を営業が取りに行くんじゃないですかね?笑
ただし影響のあるところは確実に出てくると思いますが。
という事で、代わられないを前提としつつも、全てではないと考えていますので、それについての営業としての向き合い方の話です。
手前味噌ではありますが、当社で行っているActbizというサービスは、正社員経験の無い若者がセールス領域でキャリアを作っていくための教育と実就業、そして就職までサポートするプロジェクトです。
営業や販売の世界でこれからやっていこうという若者を、現在進行形で数多く見て参りました。
ほとんどの営業未経験者が陥るのは、「仕事に必要な知識を得る」「仕事に慣れる」「メンタルコントロールをする」「トークを磨く」などの目の前の状況に対応するための思考の袋小路です。
それ自体はほとんど全ての人が陥るいたって普通の思考なのです。
こうした状態から、経験や思考の訓練で少しずつ視座を高め、営業としての能力開発やキャリアアップを実現していく人がほとんどです。
ですが、営業マンが大成していくイメージって、どんなものを持っていますか?
社長になった人や、最近だとビジネス系Youtuberなど、具体的なイメージを沸かせるサンプルも多く存在していますが、飛び抜けていく人ってごく一部な感じがしませんか?
スタート地点は同じでも、営業マンとしてキャリアが飛び抜けていく人、そうでない人で大きな差が出てしまうのはなぜなのでしょうか。
気づきのタイミングは人それぞれ違う
これはキャリアカウンセリングを行なう時にも話していることですが、
「自分で服を買い始めたのは何歳でしたか?」
言い換えるならば、
「モテようと思って身なりや言動に気を使い始めたのは何歳でしたか?」
という質問に対し、答えは小学6年生の人もいれば20歳の人もいます。
・・・ご安心ください。全く脱線しておりません。笑
つまり、『モテ』の領域について早期からキャリア意識を持つ人と、そうでない人がいるという事です。
そして、気づきがあり意識できた者から『モテそうな服を買う』という行動が起こるのです。
では、営業の世界では何が言えるかと言うと、
・営業の仕事をこなす(こなせるようになる)という普段の視点から
↓
・営業の仕事を自身にとって有益なキャリアに結びつけるという気づきの後の視点
に変わると、『いつまでに何をする(出来るようにする)』という行動が起こるのです。
日々の生活を漫然と過ごして『モテよう』という意識が無いまま10代を通り過ぎて行ってしまったように、漫然と営業の仕事をこなしている内に能力開発やキャリアアップの無いまま20代を通り過ぎて行ってしまいます。
仕事のセンスである程度の高みへいってしまう人も当然いますが、少なくともほとんどの営業マンは飛び抜けようと、気づき行動した者が飛び抜けていきます。
営業マンも自身のキャリアポートフォリオを持つべき
先ほどの話で、何が重要かと言うと行動を起こすための原動力についてではありません。
今回のテーマであるAIに取って代わられない営業という観点で重要なのは、『気づき』と『視点(視座)』です。
営業と言っても色々ありますからね。
営業は商品についての知識や流通、市場価値、競合、顧客ニーズなど幅広い情報を持ったフィールドマーケターです。網羅的な知識を有していることが職業としてのアドバンテージになります。これを活かして経営やマーケティングなどへの支援、もちろん営業としてのキャリアアップなども考えられます。
投資家がポートフォリオを持っているように、営業マンも自身の今後のキャリアをポートフォリオ化してみてほしいと思います。
ポートフォリオにするのは、年齢ごとに自身をどの会社のどのポストに置くかのポジションと、その時に必要なスキルの明文化です。固有名詞化出来ずとも、より具体性のある内容であるほど良いです。
AIが代わる業務として代表的にイメージされる、いわゆるこなし作業やスクリーニング作業などはキャリアポートフォリオにはあまり入ってこないんじゃないでしょうか。
例えば、営業リストを誰より早く作れる、リストへのメール配信が誰より早く行なえる、問い合わせに対して的確なメールバックとアポイント取得ができるなど、こういったスキルを伸ばしていく事はほとんどのキャリアアップにつながらない能力開発なので、こうしたスキルやポジションはポートフォリオに入れない事でしょう。
もちろん、スタートの段階はそういったポジションを取ることは大いにあり得るでしょうけど。
一からキャリア意識を付けていく事を重点化
結論としては、AIに代わられる営業のポジションはあるでしょう。
ただしそうでないポジションもあり、自身のキャリアパスとつなげるべき。
その為には気づきと視点
Actbizで支援を行なっている対象は、いわゆる正社員経験がない方、フリーター、就職活動中の既卒者などです。
セールスを1から学ぶ人も多いため、メンターにあたるTA(Teaching Assistant)がキャリア意識を喚起していき、将来Actbizを卒業する際にしっかりキャリアアップにつなげていくという自身の考えを育み、以後もキャリア形成をできる人材にして輩出していきます。
それでも、ほぼ全ての方は最初思考の袋小路に迷い込んでしまいます。
だからこそ第三者のサポートがある事で、平行または早期に一からキャリア意識を付けていく事に重点を置くことができる仕組みを取り入れています。
営業は素晴らしい仕事なので、AIや対面の減少などの情報に不安を抱くことなく、これから挑戦しようという人は是非トライしてほしいと思います。