「ものづくりの魅力を、もっと多くの人に知ってほしい──」そんな想いを胸に、創業100年超の老舗包丁メーカーの高橋楠はものづくり祭典「ファクトリズム(オープンファクトリー)」に二年連続で出展。
堺包丁づくりの現場を見せることで、高橋楠の技術や職人の魅力をありのまま知っていただける機会に、とその想いを語っていただきました。
ーーまずはオープンファクトリーについて詳しく教えてください。
オープンファクトリーとは、ものづくり祭典「ファクトリズム」のことで工場や作業現場を地域の方々に開放し、職人の技や製造プロセスを直接見たり体験したりできるイベントです。
裏方に回りがちなOEMメーカーや伝統工芸の現場を舞台に、製品が生まれる工程を「見て」「触れて」「学ぶ」ことで、ものづくりの楽しさや奥深さを発信。
例えば当社の場合は、包丁の研ぎ直しや、職人と一緒にする手彫り体験など親子で参加できる無料プログラムを通じて、技術や企業の魅力を発信しながら、企業ブランディングをして、引いては、未来の仲間(採用)との出会いなども生み出される場となることを目的としています。
ーー若手社員が大活躍 !?自分たちで考案したプログラムで魅せる職人の姿とは??
来場者の親子たちに包丁づくりの魅力をわかりやすく解説するため、若手社員たちが自ら自社のことや包丁のことを調べ上げながら、自分ごととして理解を深める機会にもなっています。
当日、現地のイベント会場で飛び交う質問にも自信を持って応答するなど、社員の姿に成長を感じることもしばしばありますね。
会場では、親子で楽しめる“職人体験コーナー”が毎年大人気の満員御礼イベントに。
・柄付けデモ
実際に火を使って煙があがる迫力に、子どもから大人まで「わぁ!」と歓声が上がるほど。
・名前彫り体験
ペンダントなどに手彫りで実際に刻印体験を。非利き手で挑む難しさが、特別な思い出を演出します。
・包丁の研ぎ直し
切れ味を失った包丁が職人の手で蘇り、親子で試し切り体験の機会も。「こんなにトマトが薄く切れる!」と大盛況でした。
包丁研ぎ体験では、ある男子学生が目を輝かせてこんなことを話してくれました。
「将来夢は料理人、高橋楠の包丁で料理を作りたいです!」
また、2023年は、実際に研いだ包丁でパンを薄くスライスしてもらうと、「わぁ!上手に切れた!」と誇らしげな人たちの姿も。職人技を実際に身近で体験できることで、ものづくりの世界をぐっと身近に感じられる瞬間でした。
実際に、子連れファミリーから料理人、給食センターの方々など、幅広い層の来場客が集い、即日満員の大人気イベントに。二年連続参加くださるリピーターもいます。
ーー今年の秋にも出展予定と聞きましたが??
はい、今秋にも出展予定で、新たなワークショップも考案中です。地域の方々や次世代に、“職人技の感動”を届けながら“高橋楠ブランド”をより多くの方に体験いただくことで未来の仲間が当社を選ぶ決め手にもなってくださればより嬉しいです。
今後も伝統と革新を体現する包丁づくりを伝えていくことで新たなご縁が生まれることを心から楽しみにしています。
――高橋代表、ありがとうございました。
ものづくり企業が自らの現場を開くとき、ブランドは人の心に刻まれ、確かな感動に変わる。包丁一本に宿る高橋楠の技と情熱が、今日も新たなご縁を結び続けます。