< CEOとしてMiletosを率いている髙橋に、前職のコンサル時代の話やMiletosにジョインした経緯、Miletosでのコンサルのやり甲斐などを聞いてみました。>
代表取締役社長 兼 CEO 髙橋 康文
横浜国立大学卒・同大学院修了。新卒でアクセンチュアに入社しハイテク、メディア、製造業を中心としたクライアントへのコンサルティングに従事。シニアマネージャーを経てMiletos株式会社に参画。財務/経理領域を中心としたプロジェクトを多数支援し、AI活用・プロセス改革を含めたDXを得意とする。 公認不正検査士。横浜国立大学非常勤講師。SaaS to AI SaaS / SaaS to SaaS Evangelist。
人は色んな人との関わりの中で成長していく
コンサルタントとしての髙橋さんを形作ったのは、もちろん前職の外資系コンサルティングファームでのご経験だと思いますが、就職活動もコンサルに絞られていたのですか?
髙橋:そうですね。私は経営学部の大学院まで進みましたので、学んだ知識が役に立つ職種はコンサルなのではないかと。また、ゼミの教授に「色んな世界を見てみたら」と勧められたのもコンサルでした。 当時は自分の中で明確にやりたいこともなく、華々しい世界にも見えたのでコンサルを受けました。その採用の過程で実際のコンサルタントが面接をしてくれたのですが、その人たちがすごく優秀で、一緒に働きたいなという想いがあってコンサルに決めました。
実際にコンサルタントとして働いてみて、やり甲斐はどんなところでしたか?
髙橋:例えばある会社にコンサルティングで携わったとして、その会社に入社した方が同じことをやろうと思ったら、5年・10年と時間をかけて課長や係長、部長になってからじゃないとその問題に関与することはできません。コンサル側は、入社3年目や4年目でそういう人たちと討議して問題を解決していけるという事にもすごくやり甲斐を感じていました。
また今後、終身雇用が一般的ではなくなっていくと、コンサルのようにプロジェクト単位で活動するという働き方が主流になる可能性もあると思っています。
他にはどんな点がやり甲斐でしたか?
髙橋:コンサルは今でも人気職種ランキングで上位にきていますし、優秀で地頭が良い人が多いと思っていて、そういう人たちと一緒に働けるのは楽しかったです。人は色んな人との関わりの中で成長していくものと考えると、コンサルは恵まれた環境だと思いました。同期も先輩も後輩も優秀でアグレッシブな人が多いので刺激になっていました。
他には、お客様からいただく金額が高いので、必然的に解く問題も難しいですね。そういった難しい問題を解いたり困っている人を助けられる部分もやり甲斐でした。
人間は質問されないと考えない。難しい質問をされることで成長する。
髙橋さんは頻繁に「困っている人を助ける」という言葉を出されますが、そういう志向が強いのですか?
髙橋:そうかもしれません。おせっかい焼きの方がコンサルは向いていると思いますよ。
コンサル時代で印象に残っている思い出などはありますか?
髙橋:お客様のマネジメント層から個別にご連絡を頂き、仕事と関係のないところで相談を受けたのは記憶に残っていますね。会社や組織の根幹に関わるような大きな問いでした。普通に生きていたら直面することのない難しい問いを相談されたときは、嬉しかったですね。やっぱり人間って、質問されないと考えないですよね。難しい質問をされることで成長するんだと思います。
そういった際、髙橋さんは自分なりに筋道立ててお答えするんですか?
髙橋:コンサルタントには2タイプいると思っていて。1つ目は、ロジックで殴り倒すタイプの人です。「これが正しい!それ以外認めん!お前の考えなんか知らない!」って殴り倒すタイプ(笑)もうひとつは、「その人だったらどう考えるだろう?」という視点から問いに向かうタイプです。 例えば「会社をどこに売るのが良いだろうか?」という相談をされたときに、一番高く買ってくれそうなところを探すのがロジカルに言えば一番正しいのかもしれない。でも、売りたいと言ってる人が3代目社長で子供がいなくて小さい時から会社の隣に住んでいて、という背景まで考慮して、社員を大切にしてくれる会社はどこかで選ぶこともできる。 問題に直面している人によって解くべき答えが変わると思っていて、臨機応変に最適なものを組み合わせて出せるスキルというのが、コンサルだと鍛えられるのではないでしょうか。物を売っているわけではないので、何が最適かをその時その時考えて出していきますから。(受け売りですが・・)
やりたい領域を選ぶのか、それとも自分が成長していくことを選ぶのかは、考えるべき
コンサルティングファームでの気付きって何かありますか?
髙橋:人ぞれぞれ身に着けたいスキルってあると思うんですよ。あとは、こういうことをやりたいという望みもありますよね。そうなると、「こんなことやりたかったわけじゃない」と途中で辞めていく人がいます。例えばマーケティングがやりたかったのにデータ整備しかできないから辞める、のように。 僕にしてみたら、やりたいことができないなんて当たり前だろ、と思うんですよね。やりたくないけど自分ができる領域だったら、高いレベルのことができるはずです。一方で自分がやりたいことは、やったことがないことだから、できるレベルは一番下のところだと思っていて。 まずは自分にできることをやりながら、その先にやりたことができる世界があるのであって、やりたい領域を選ぶのか、それとも自分が成長していくことを選ぶのかは、ちゃんと考えた方がいいなと思いますね。
それは経験を通して思われたことですか?
髙橋:そうですね。僕は明確にやりたいことがなかったんですが、「これがやりたい」と言って会社に入り、「思っていたのと違う。俺がやりたいのはもっとこういうレベルで、資料を書いたりデータを集めたりすることじゃない」と言って辞めていく人はごまんといたと思います。でもそれって僕の感覚だと、自己中心的な考え方だとも思うんです。お客様は個人に対してオーダーしているんじゃなくて、会社に対してオーダーしているし、アウトプットをチームとして担保していればいいんだから、自分ができることで頑張るしかないんじゃないかと思ったんですよね。
本当に何か成し遂げたいと思うなら、成功の確度を上げるために見せ方も考えるべき
他に、コンサルタントとしての経験が今に活かされている点ってありますか?
髙橋:こちら側がきちんと頑張っているとアピールすることは意識してやっていましたね。コンサルでの仕事はプロジェクト単位なので、立ち上がりがとても大切なんです。だから3か月あるとしたら最初の2週間は死ぬ気でやります。お客様も、「あいつ動きいまいちだよね」と思っている相手から物を言われるのと、すごく頑張っている相手から言われるのだったら、人間って後者を取りますよね。だから見せ方って大切で。いやいや結果でしょうとはもちろん思うんですけど、人間ってロジカルな生き物じゃないので、やり方とかやり様とかプロセス含めて結果なんですよね。 なので本当に何か成し遂げたいと思うんだったら、成功の確度を上げるために見せ方も考えるべきだと思いますね。本質じゃないんですけどね。
それは今、Miletosでも意識されているんですね。
髙橋:そうですね。例えばオンラインミーティングであれば誰よりも先に「こんにちは」って言うように意識はしています。暗く入ってもしょうがないし、こいつ元気でいい奴だなって思われた方が関係性にとって絶対プラスだし、温度感がちゃんと伝わるように気をつけていますね。デジタルの世界って味気ないんで、どうやってチャーミングさを出すかが大事だと思うんですよね。僕の場合は、寝技なんで(笑)立ち技じゃないんですよ。立ち技って、ロジック一本でバーンとぶん回して、「これが正しいじゃないですか!」とバチーンと決めるみたいな。それがよっぽど切れ味(権威)あるパンチだったら効くんですけど、こんな小僧に言われても全然納得感ないんですよね。だったら結果を前に進めるために寝技を駆使するしかない。本質じゃないけど本質を進めるために必要なことですね。
解決できるかどうかはどこまでいっても分からないけれど、取り組むことはできる
ざくっとしてますが、人生観についてお聞かせください。
髙橋:僕はどこまでいっても楽観的なんですよね。『為せば成る』っていう上杉鷹山の言葉があるんです。この言葉って、『為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり』って続くんです。『成らぬは人の為さぬなりけり』っていうのは、『出来なかったのはやらなかっただけ』っていう意味が入っていると解釈していて、僕はけっこうそれが好きで。別に色んなことがあったとしても悲観すべきことってあんまりないし、やればできるんだからやろうぜって思うんです。 解決できるかどうかはどこまでいっても分からないけど、取り組むことはできますよね。取り組まないでできないって言うのは違うし、取り組んでみたら見える世界があるだろうし。そういう意味で今Miletosが提供しているサービスだって、始めとはどんどん違う方向に広がっていってますけど、それってやってみて初めて分かる世界なんですよね。
そうですね。取り組んだから見えてくる世界がありますよね。
髙橋:高松さんという尊敬する師匠がお勧めしてくれた『ライト、ついてますか』という本があるんですが、課題を一個取り除くと新しい課題が出てくるということが書かれていて。課題の解決方法って必ず課題を生むんです。どこまでも再現なく続く世界をどうやって考えていくかっていう。だから悲観的になりすぎてもいけないですよね。あまり悲観的すぎるとビジネスサイドはやっていけないですし。お先真っ暗だぜっていう人が新しいビジネス作ってはいけないんで(笑)
プロダクトと会社の可能性を感じながら外に出ていけるのはスタートアップならでは
楽観的というのも理由のひとつかと思いますが、髙橋さんはなぜコンサルティングファームを辞めてスタートアップを選んだのですか?珍しい選択だと思うんですが。
髙橋:そうですね。シニアマネージャーになってから売上ほぼ0円のスタートアップに行く人ってそんなにいないと思いますね(笑)
いつかはスタートアップに行きたいという想いが以前からあったんですか?
髙橋:まったく無かったですね。辞めますって言ったとき、上司も周りも「髙橋は自分からは辞めないと思っていた」と。僕自身も辞めるとは、Miletosに出会う前は思ってませんでしたから。
転職については凄く悩まれましたか?
髙橋:そこまで悩まなかったですね。辞めてスタートアップでうまくいけばそれでいいし、仮にダメだったらまた戻ればいいやって。そこはコンサルでスキルを身に着けておいてよかったなとは思いますけどね。そんなやましい考えなわけじゃないけど、一定心理的安全を持ちながらパフォーマンスを出すっていうのは大切なのかなと思いますね。
おじさんにはおじさんの戦い方があるんですよ。若者は自分の時間と未来自体が資産なんでそれをかけてスタートアップに突撃するっていうのは全然悪いことじゃないし、時間はまだまだあるからそこで失敗してもリカバリーできます。でも35歳になったときに戦い方は一緒じゃないなと思っていて。
いつでも戻れるスキルと場所があるというのは、辞めやすかった理由だとは思いますが、スタートアップに心惹かれた理由は何ですか?
髙橋:Miletosの持つ技術力と、SAPPHIREというプロダクトに可能性を感じましたね。それに、社長がやりたいことをやらせてくれたっていうのはあります。AIテクノロジーを活用した改革に正面から取り組んでみたかったんです。あとはスタートアップならではの意思決定の速さが面白いなと。入社前後は、銀行口座に数千円お金があるかないかのようなギリギリの状態で、そんな中で推進していた事業をやめて新しい事業に注力しますと判断できる、スピード感が全然違う世界でした。
スリリングですね…。
髙橋:他にも、スタートアップにはお祭り感がありますよね。大きい会社では「すごい成長しています」と言っても、売上が倍になるとかそんな経験できないですよね。でも今のMiletosは歳を重ねる毎に売り上げが100倍、1000倍と増えていく。プロダクトと会社の可能性を感じながら外に出ていけるっていうのはスタートアップならではの良いところだと思いますね。まあ、ほぼプロダクト売上が無かったからなんですけどね(笑)
今の成りで明日を考えるのではなく、遠い未来から考えて明日を創りたい
ではスタートアップならではの苦労は?
髙橋:まだまだ無名なので、認知されていない状態で戦わなければいけないところだと思いますね。他にあるかなぁ…。
髙橋さんは苦労を苦労と思わないタイプなんですね。じゃあスタートアップだから工夫している点ってありますか?
髙橋:コンサルのときは「背中を見て覚えろ」的な部分がありました。最近反省しているのは、スタートアップではちゃんとマネージメントするとかモニタリングするとかフィードバックするとか、人の中長期的な成長に経営者としてコミットしなければといけないという点です。
でもコンサル時代も部下の方はいらっしゃいましたよね?
髙橋:そうですね。多いプロジェクトだと20人位はいましたね。なので悪い言い方ですが、替えのメンバーはいくらでもいましたね。ある人が合わなくなったらその人には違うプロジェクトに異動してもらっても、すぐに同じように優秀な人間が入ってきてくれます。でもスタートアップは人的リソースが限られているので同じようなことは再現できない。そこは確かに苦労であり、工夫しなければいけない点です。
では最後になりますが、これからの会社としての展望をお聞かせください。
髙橋:僕が明確に思っているのは、人がやらなくていいプロセスはなくしたいんですよね。プロセスを効率化するっていうのはどこまでいっても物事を小さくするという話ですが、小さくとかじゃなくて、プロセスそのものをなくしたいんですよ。今の成りで明日を考えるのではなく、遠い未来から考えて明日を創りたいですね。
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最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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