Cloutの経営方針は5つです。
・個人が成果に責任を持つ
・産業の中核を担える事業に挑む
・資本配分を重視する
・終わりから始める
・分権化
言葉だけなら、似たものはどの会社にもあります。ここでは、この5つが実際の仕事の決め方をどう変えているかを書きます。
■ 終わりから始める
責任者を採用するとき、募集を出す前に必ず書くものがあります。社内でScorecardと呼んでいる文章です。1ポジションにつき1本、いまは9本あります。「何を、いつまでに、どこまで達成してほしいか」が、数ページにわたって書いてあります。たとえば経理部長のものには、「入社90日以内に月次決算を翌月10日まで、180日以内に翌月7日までに確定する」「クローズ後の修正額合計を月商の0.3%以下にする」とあります。
「優秀な人」「即戦力」「幅広くお任せします」という言葉は、9本のどこにも入っていません。書いてあるのは、期限と、数値と、満たすべき能力だけです。採用に限った話ではありません。決算は締め日から逆算して動かします。店舗は開業後30日・90日・180日の検証方法まで決めてから投資判断をします。始める前に、終わりの状態を文章にする。
■ 個人が成果に責任を持つ
期限付きの成果を、入社前に相互合意します。曖昧な期待値のまま採用することはしません。そのかわり、未達の理由を環境に求めることもしません。経理部長のScorecardには「『担当者から情報が来ない』を未達理由にしない。期限前の回収、催促、会議設定、上位者へのエスカレーションまでがこのポジションの仕事」と書いてあります。評価は、努力量ではなく、合意した期限と数値の達成で行います。
■ 分権化
そのかわり、そこへ至る進め方は指示しません。承認済みの方針と予算の範囲内であれば、施策の継続・修正・停止はご自身で決めていただきます。細かく管理される環境ではありません。権限も文章で渡します。経理部長には、期限超過・証憑不備・未承認・在庫差異に対する差戻し、処理停止、エスカレーションの権限を明記して付与しています。責任だけ渡して権限を渡さない、という状態をつくらないためです。年齢や在籍年数でも仕事を決めていません。TikTok LIVE事業は18歳の事業責任者が引っ張っています。会社は23名、平均年齢23歳です。
■ 資本配分を重視する
店舗を例にします。出店の判断では、売上予測、粗利、賃料、初期投資、店舗貢献利益、投資回収期間、売上が計画の80%だった場合、最大撤退損失、契約期間、中途解約と違約金、原状回復費まで並べます。目的は出店数を増やすことではありません。企業価値を高める店舗を、継続的に作れる状態をつくることです。不採算になった場合も、感情ではなく、改善・賃料再交渉・運営方式変更・移転・撤退の選択肢で判断します。
■ 産業の中核を担える事業に挑む
短期の利益より、長期の信頼を優先します。複数のD2Cアパレルブランドを、EC・SNS・実店舗で展開しています。今期は10億円規模の売上を見込んでいます。2026年11月に原宿へ出店し、2027年には大阪、そして台湾へ広げます。ECだけ、SNSだけ、店舗だけを個別に伸ばすのではありません。一体で設計し、日本を代表するブランド企業をつくることを目指しています。
■ 会社側も、同じ基準で縛られます
Scorecardには、候補者への要求だけでなく、会社側が用意する前提条件も書いています。「入社初日から、会計・銀行・在庫・販売データへの必要なアクセスを付与する」「会計方針や重要な判断について、CEOまたはCFOが原則2営業日以内に回答する」「推薦された候補者との面接を原則3営業日以内に設定し、面接当日中に評価を返す」。成果を定義する以上、それを可能にする条件も会社が明文化して約束する。片方だけでは機能しません。
■ 面接でも、同じ基準を使います
印象や経歴の華やかさでは判断しません。過去に何を、どの立場で、どこまで達成したかを、数字と具体的な行動でうかがいます。責任者・経営ポジションでは、原則2名以上へのリファレンスチェックを実施します。そのかわり、こちらも事業の現状、任せたい範囲、期待する成果を具体的にお伝えします。面談では、Scorecardの実物をそのままお見せします。
2022年2月設立。代表の渡邉は青山学院大学在学中、19歳で創業し、現在24歳です。