2026年6月28日、日本科学未来館で開催された「きのこカンファレンス2026」のLTに登壇させて頂きました。テーマは、ゲームプログラマーだった私が起業し、会社を立ち上げ、拡大し、最終的に会社を畳むまでに経験した一連の出来事についてです。
タイトルとしては、
「ゲームプログラマーが起業と事業撤退を経て再起した、その生存指針」
という内容でお話ししました。
ただ、正直に言うと、5分ではまったく収まりませんでした。実は内容がかなりセンシティブなので、余計なことを話しすぎないように、あえて5分枠のLTでプロポーザルに応募しました。とはいえ、さすがに5分では短かったというのが正直なところです。
直前まで内容を削り、スライドもかなり圧縮したのですが、それでも話したいことが多すぎました。時間が来たため、最後はかなり駆け足で、少し無理やり終える形になってしまいました。
それでも、本当にお伝えしたかったことは、滑り込みでお伝え出来ました。
守るべき順番を間違えないこと
守るべきものと言えば多数あります。今回は「心身の健康」「 家族との生活」 「 信用」「 仕事」の4つに整理しました。
私の中では、順番はこうです。
心身の健康 → 家族との生活 → 信用 → 仕事
仕事も、信用も、家族との生活も、当然大切です。
ただ、その前提として、まず自分の心身が健康であることが必要です。
自分が元気でなければ、家族を支えることもできません。
判断力も落ちます。立て直す気力も、次に進む気力も削られていきます。
仕事を頑張ること自体は悪いことではありません。ただ、仕事を守るために健康を削り、家族との生活を削り、信用まで毀損してしまうと、最終的に戻る場所がなくなってしまいます。
これをクリーンアーキテクチャの図に例えるなら、中心にあるのは「心身の健康」です。その外側に「家族との生活」があり、さらに外側に「信用」があり、一番外側に「仕事」がある。
仕事は大切ですが、一番外側の円です。
中心が壊れると、外側の円も維持できません。
今回、自分の経験を振り返って、あらためてこの順番は間違えてはいけないと感じました。
生き残っている人は、健康を軽視していない
また、カンファレンス全体を通じて印象的だったのは、「生き残る」ための話の中で、健康に触れている方が多かったことです。
技術力、キャリア、転職、組織、働き方。
もちろん、どれも大切です。
ただ、長く働き続ける、長く作り続ける、長く関わり続けるためには、最終的に健康の話に戻ってくるのだと思います。
若い頃は、多少無理をしても何とかなります。徹夜しても、気合いで乗り切れることがあります。責任感で踏ん張れてしまう場面もあります。
しかし、長く生き残ってきた方々の話を聞いていると、どこかで「無理をし続ける働き方」から距離を取っているように感じました。
やはり、生き残っている方は、健康を重視しているのだと思います。
懇親会で声をかけていただいた
また、懇親会では「Xを見ています」と声をかけていただきました。
いつもご覧いただき、本当にありがとうございます。
普段はXで、ゲーム開発、ITエンジニア、採用、組織づくり、業務システムなどについて書いています。発信していると、画面の向こうに誰がいるのか分からなくなることもあります。
それでも、実際にお会いした場で「見ています」と言っていただけると、やはり嬉しいものです。
発信を続けていてよかったなと思いました。
印象に残ったセッション
セッションはどれも素晴らしいものでした。
その中でも、特に印象に残ったものをいくつか挙げます。
引き際は、明るい方がいい 〜きのこ2025のその後のご報告〜
@jnkykns 様
実は昨年もセッションを聞きたいと思っていたのですが、所用により、きのこカンファレンス自体に参加できませんでした。
今年は「その後の1年間」について、特に心理的な変化を含めてお話しされていました。
私自身は、引退まではもう少し時間があると思っています。
ただ、いつかは誰にでも、働き方を変えるタイミングや、第一線から引くタイミングが来ます。
その時に、暗く終わるのではなく、明るく引く。
これはとても大切な視点だと感じました。
私自身も、会社の撤退を経験したからこそ、「終わり方」や「引き際」については強く考えさせられます。
エンジニアとしてこの先生きのこるためには――四半世紀の迷走を生きのこりの知恵に変える
ゆきお 様
氷河期世代のエンジニアとしてのご経歴についてのセッションでした。
就職期から現在まで、時系列でかなり生々しいお話を聞かせていただきました。
その中で特に印象に残ったのは、オープンソースへの情熱を一貫して持ち続けておられたことです。
キャリアは必ずしも一直線ではありません。
時代の影響も受けます。
会社や業界の変化にも巻き込まれます。
それでも、自分が関心を持ち続けられるものがあることは、長くエンジニアとして生き残るうえで大きな支えになるのだと感じました。
元サポセンオペレーター、まだ生きてます。 ~だいぶ低視座からの生存戦略~
@hit9272844 様
こちらも、ご自身のこれまでの経歴についてのお話でした。
コールセンターのオフショア化、インフラのクラウドリフト、RPA導入時の話など、私自身もリアルタイムで同じ時期を歩いてきただけに、かなり身につまされる内容でした。
技術や業務の変化は、現場にいる人の働き方を大きく変えます。
当時の空気を知っている人にとっては、「あったなあ」と思う話でも、若い方にとっては、今の環境がどのように作られてきたのかを追体験できる内容だったと思います。
こういう話は、単なる昔話ではありません。
今いる場所が、いつまでも同じとは限らない。
その中で、自分がどう動くかを考える材料になります。
数十年分の知見が、短い時間に凝縮されていた
他にも書ききれないほど、印象に残るセッションがありました。
それぞれの登壇者が、エンジニア人生の中で経験してきたこと、迷ったこと、失敗したこと、続けてきたことを、5分から20分のセッションに凝縮して話されていました。
これは、かなり濃い時間だったと思います。
技術の話だけではなく、キャリアの話でもあり、生活の話でもあり、健康の話でもあり、引き際の話でもありました。
私自身は、今回のカンファレンスに「自分がこれからも生き残るためのヒントを得たい」と思って参加しました。
実際に得られたものは、それだけではありませんでした。
もう少し頑張ってもいいかもしれない。
まだ自分の経験を言語化する意味はあるかもしれない。
そう思えるような、勇気をもらえる場でした。
登壇の5分では話しきれなかったことも多くあります。
ただ、今回あらためて感じたのは、失敗や撤退の経験も、言葉にすれば誰かの役に立つかもしれないということです。
会社や肩書を失っても、経験そのものは残ります。
それをどう整理し、どう次に生かすか。
これからも、そのことを少しずつ言葉にしていきたいと思います。
おわりに
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