はじめに
はじめまして。燈株式会社 執行役員 CHO(Chief Human Officer)の岩澤達樹と申します。
僕は大学では画像処理を中心としたAI技術を学び、キャリアとしてはデータサイエンティスト、コンサルタント、会社経営と、縁に導かれるままに経験してきました。
かつて恩師から「興味の総和が大きい」と言ってもらったことがあり、いろいろな領域に関心を持てること自体を、自分でも楽しんでいると思います。
そんな僕にとって、"人" に専念するのは、燈が初めてです。 けれど、いまの自分には、"人" 以外の道が考えられませんでした。
昔の自分は、好きと言えるものこそ多くないけれど、周りの空気が読めて、そこそこいろんなことができる。 そんな"器用貧乏"を、自分のオリジナリティとして誇りに捉えていました。 働きすぎてメンタルを潰しかけたこともありましたが、それでも、自分のスタイルを疑いませんでした。
転機は、2024年ごろからのAIの進化でした。 意思を持たない存在の前で、僕の"器用貧乏"がコモディティに成り下がる現実は、目を逸らすことのできないものとなっていきました。
誰にも求められなくなった世界で、自分は何をするのだろうか。 これまで、ただ自然とやっていたことは、なんだっただろうか。
そんな答えのない問いの先に、話を聴くこと、がありました。 週末に友人の話を10時間聴く、こういったことをなぜか毎月のようにやっていたのです。
人との対話は、自分にさまざまな気づきを与えてくれます。 賢い友人たちが、なぜか、論理的に正しい選択が見えているのにずっと悩んでいる。そして一見非合理な選択をする。 今はわかります。これこそが意思決定だと。
それまでの僕は、求められることを"器用"にこなしているだけで、自分の意思では決めていなかったのかもしれません。人の葛藤を通して、なんとか自分の感性を養っていた、そんな気がします。
そこからは、自分の判断基準をひとつひとつ確かめる時間が続いています。
AIの時代だからこそ、"人" を探求したい。
社会人になって初めて、自分の内から湧いてくるものと、今やっている仕事が、まっすぐ一本につながっている感覚があります。
一人の「ファン」が仲間になるまで
実は、燈のことは立ち上げ期から知っていました。
初めて野呂に出会ったのは、2021年5月。大学の後輩を通じて知り合いました。
当時、僕はコンサルティング会社に勤めていたのもあって、事業の壁打ちという形で、定期的にご飯に行かせてもらっていました。
当時から野呂の話は、どれも面白いものばかりでした。
それぞれの業界に1万通ずつメールを送ってみて、"無名の東大発AIスタートアップ" にいちばん高い返信率を返してくれたのが、建設業界だったこと。 Googleマップで近くの建設現場をすべてピン留めし、自転車で一軒一軒回ってニーズを聞いて回ったこと。 そうして集めた声に合わせてつくったプロダクトは、しっかり使われるものになったこと。
戦略的に頭を使いながら、同時に、圧倒的な行動量とスピードで前に進んでいく。その姿に、僕はすっかりファンになっていました。
本郷の築古のオフィスに遊びに行ったり、友人を紹介したり、春日に移転した直後のガラガラのオフィスに深夜に潜り込ませてもらったり、気づけば最前列で追いかけていました。
2025年3月、1年ぶりくらいだったでしょうか、久しぶりに食事に誘ってもらいました。
そこで野呂から、新しい事業展開のアイデアができたから一緒にやってくれないか、と声をかけられました。 ただ、その時すでに僕は"人"への関心が高まってしまっている状態だったので、つらつらと自分が勉強したことやそれを通して感じたことを話していると、
「じゃあ、人事で!」
そして、こう続けました。
「これから燈が爆速で日本一、世界一になっていく中で、人の領域で越えなければいけない壁はたくさんある。仮に100個あるとして、経験者がすでに経験しているのは、せいぜい10個とかだと思う。残り90個もあるのだから誤差みたいなもの。むしろ、未経験だからこその、定石に囚われない壁の越え方をしてほしい」
僕の意思決定のスタイルは「直観」です。
最初から論理できれいに説明できてしまう決断は、不思議と、あまり記憶に残っていません。
まず直観が「良い」と言っている。 そして確かめてみると、自分の持ち合わせるどの論理にも整合する。 でもなぜか言語化しきれない。
そういう選択肢はとても充実したものになってきました。
このときも、まさにそうでした。 ただ素直に、素敵なお誘いだな、と感じて、心が躍りました。
そこから、まずは業務委託というかたちで携わり、正式に入社し、この度、執行役員を拝命しました。
外から応援していたところから立場が変わったいまも、燈という物語に、そして野呂侑希の物語に、心を惹かれ続けています。
名前に込めた想い

人は"リソース"なのでしょうか。
"リソース"と聞くと、僕はなんとなく、規格が定まっていて、いつでも代替が利くもの、という印象を抱きます。もちろん、経営という観点に立てば、仕組み化された、安定的なインプットとアウトプットを担保することは、とても重要です。
ただ、それ以前に人はそれぞれ、固有の物語を抱えています。表面上は同じ決断をしたように見えても、その内側にある味わいは、一人ひとり、まったく違う。僕はそう信じています。 あるいはこれは、自分自身のことをそう思っていたい、という願いなのかもしれません。
そして、画一化できるものは、これからAIがいくらでも生み出していくようになります。これはもう変わらない現実です。 だからこそ、一人ひとりの「こだわり」のなかにこそ、本質的な価値が宿る。企業としての競争力も、そこに立脚していくのだと思っています。
だから"リソース"という言葉は使いませんでした。一人の"人"として向き合う、その意志をChief Human Officer という名前に込めています。
チームは「タレントサクセスグループ」と命名しました。
仲間が増えることは、もちろん嬉しい。でも、それはゴールではない。在籍している間、いきいきと働けること。仮に卒業していくとしても、「最高の会社だった」と言えること。そして、また戻りたいと思えること。
出会いがあれば、別れがあるように、入社があれば、退社もあり、昇進があれば、降格もある。それらから目を背けるのではなく、自然な変化として、どう受け止め、どう自分たちの血肉にしていくか。
ただ理想として語るのではなく、資本主義という現実の中でどう折り合いをつけていくのか。 そういった選択を通して、自分と向き合い、深めていける、そんな場所を目指していきます。
ただ一歩ずつ
燈のメンバーとは、"正義" の質感が近いと感じています。
経済合理性があるから、ただ求められるから、といった理由でやるのではなく、「こうあってほしい」という願いがまずある。その中で、世間にもきちんと受け入れてもらえるところを、一つずつ全力で形にしていく。
芯の通ったみんなが好きです。
これから、未だ見ぬ組織を、みんなでつくっていきます。 革命のような大それたものではありません。自分たちの中にある大切な想いを、一歩ずつ形にしていく。ただ、それだけです。
僕はもはや、「できる」自分というアイデンティティは持ち合わせていません。 けれど、肩肘を張らなくなった今だからこそ、質実剛健に、そして柔軟に、歩いていけると思っています。
時価総額1000億円までのフェーズ1は外から応援していただけでした。1兆円に向けたフェーズ2からは自分も一緒に歩んでいきます。皆さんもぜひご一緒に。