コンサル出身のクセで、つい数字から入ります。原価率、人時生産性、翌日の喫食予測。現場に着いて開口一番それを聞くと、たまに空気が固くなるのが分かります。数字の人が来た、と。その感覚はよく分かります。僕自身、最初のキャリアはテーマパークの現場で、数字で詰められる側にいました。
ただ、経営の実務をやるほど逆だと思うようになりました。数字がないと、いちばん損をするのは現場です。根拠がないと「もっと頑張ろう」しか言えない。人を増やしてくださいも、この価格では厳しいですも、材料がなければ通らない。気合で乗り切った話は美談になるけれど、来月もう一度は再現できないんですよね。
だから僕の仕事は、現場の実感を数字に翻訳して、経営やクライアントと交渉できる形にすることだと思っています。逆向きも同じくらい大事で、数字だけ見て現場を知らないと、削ってはいけないところを削ってしまう。人の配置とか、下ごしらえの時間とか。表の上では同じ1時間でも、現場では意味がまったく違う。ここは実際に立ってみないと分からない。
白状すると、数字を出すこと自体が目的になっていた時期もあります。きれいな管理表を作って、色まで揃えて、満足していた。で、誰も見ていなかった。作って満足の典型です。数字は、それを見た誰かの明日の動きが少しでも変わって、はじめて意味を持つ。冷たく見える道具ほど、いちばん人を守れると思っています。