統合失調症患者がデータアナリストになるまで
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このストーリーは、私のキャリアの中にある、約5年の空白期間(2017年春の株式会社ヘルメチック退社後から2022年年始のSportMeme株式会社との業務委託契約締結まで)を説明するためのものです。結論として、私はこの期間中、統合失調症のリハビリと就職活動をしておりました。
目次
統合失調症の発症(2017年春)
障害者雇用での就職(2018年秋〜2019年秋)
活躍の場を求めて(2019年秋〜2021年秋)
転機:SNSでデータ分析が注目される(2021年秋)
統合失調症の発症(2017年春)
首都大学東京大学院の修士課程修了後、私は株式会社ヘルメチックに営業職として新卒入社しました。ヘルメチックは業務用の高性能接着剤などを製造販売するメーカーです。大学院で学んだ「専門的な内容を、非専門家にわかりやすく伝えるスキル」が活かせるという意味で良い巡り合わせだったと、振り返った今も思います。
異変が起きたのは、ちょうどゴールデンウィーク明けだったと記憶しています。一日中頭が冴えた感覚、あるいは良いアイディアを閃いた感覚を感じるようになりました。実際に私が何をしていたのかは、朧げにしか覚えていません。しかし、この状態から精神科病院のお世話になるまで、時間はかかりませんでした。
この後、統合失調症の診断を確定させるための検査や、薬の調整、リハビリなどで一年があっという間に過ぎます。幸運にも私と相性の良い薬はすぐに見つかり、体調が回復。障害者雇用枠で、生まれ育った石川県での就職が決まりました。
障害者雇用での就職(2018年秋〜2019年秋)
しかし、障害者雇用枠での就職は、私を満足させるものではありませんでした。二度と参照されない伝票の整理などの業務を与えられ、自分の専門性が発揮できない環境に置かれました。何よりも苦しかったのは、誰も私に期待していなかったことです。思わぬ形で自分のキャリア志向:専門家として期待に応えたいを自覚し、一年間の勤務の末、この職場を離れました。
活躍の場を求めて(2019年秋〜2021年秋)
専門家として期待されたいというキャリア志向に基づいて、システムエンジニアとしての就職を目指し、準備や行動を始めたのがこの期間でした。ドラッグストアでのアルバイトでテキストの購入費を稼ぎつつ、ウェブアプリの開発を進めておりました。また、2017年から取り組んでいた、バスケットボールのデータ分析もPythonのコーディングの練習として本格化させました。
統合失調症を伏せての就職活動は振いませんでした。元々、面接が得意でない私は「書類上、新卒入社した会社を2ヶ月で早期退職した」という事実への説明を見つけられませんでした。
しかし、自分のキャリアは終わったと覚悟し始めた時期に、思わぬ場所から、思わぬ形で光明が差します。
転機:SNSでデータ分析が注目される(2021年秋)
それが、SNSで公開していた「バスケットボールのデータ分析」でした。当時フォロワーは300名程度・分析記事に付くいいね数も10程度で、趣味だと割り切っていたデータ分析を通じて、関係者からweb面談のお誘いをいただくようになりました。こうした注目から、フリーランスのスポーツデータアナリストとして、生計を立てるチャンスを得て、再びキャリアを歩むことになりました。
フリーランスのデータアナリストとしての活躍は、ぜひ職歴欄をご覧ください。この活動を通じて、幼少期からの夢だった、学術論文の公刊を達成できたのは、人生を振り返った時に、キャリアのハイライトとして輝くのだろうと思っています。
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以上が、私のキャリアの中にある、約5年の空白期間の説明です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。