【阪田和典】なぜか惹かれる?「不器用さ」という最強の武器
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皆さん、こんにちは。フリーランスWebマーケターの阪田和典です。
突然ですが、採用やブランディングの世界で「優秀さ」や「完璧さ」ばかりをアピールしていませんか? もちろん、それは大切なことです。 でも、僕が多くの企業の採用マーケティングに関わってきた中で気づいたのは、本当に人を惹きつけるのは、時に「不器用さ」や「未完成さ」なのではないかということです。
今日は、マーケティングの視点から、この「不器用さ」が採用においていかに強力な武器になるかをお話ししたいと思います。
「完璧な企業」は、かえって応募を遠ざける
Wantedlyをはじめとする採用プラットフォームでは、多くの企業が自社の強みや成長性をアピールしています。 「平均年齢25歳、スピード感のある成長」「最高のメンバーと最先端の技術」「充実した福利厚生」 どれも素晴らしいアピールポイントです。
しかし、あまりにも完璧すぎる企業ストーリーは、かえって求職者を遠ざける可能性があります。 「こんなすごい人たちの中で、自分はついていけるだろうか?」 「入社したら、完璧なパフォーマンスを求められるのではないか?」 そうしたプレッシャーを感じ、応募をためらってしまう人が少なくありません。 特に、スタートアップやベンチャー企業を志望する層は、優秀さだけでなく、そこに集まる「人」や「カルチャー」に共感を求める傾向が強いです。
「不器用さ」が引き出す、3つの共感
では、どうすれば「完璧主義」の罠を避け、求職者の心を掴むことができるのでしょうか。 そこで鍵となるのが、あえて「不器用さ」をさらけ出すことです。
1. 共感を生む「試行錯誤の物語」
新しい事業を立ち上げたとき、最初は失敗ばかりだった、誰も見向きもしてくれなかった。それでも、諦めずにやり続けた。 完璧な成功事例だけを語るのではなく、その裏にある試行錯誤や失敗の物語を語ることで、読者は「ああ、こんなに苦労しているんだ」と共感し、親近感を抱きます。
2. 「未完成」が示す成長の余地
「私たちはまだ発展途上です。だからこそ、あなたの力が必要です」 「創業期でまだ整っていない部分も多いですが、一緒に最高のチームを作りませんか?」 こうしたメッセージは、「完成された組織の一員」になるのではなく、「これから組織を作っていく仲間」になることを求職者に示します。 自分の力で何かを成し遂げたい、組織づくりに関わりたい、と考える人にとって、これほど魅力的な誘い文句はありません。
3. 「人間らしさ」が伝える信頼
完璧な文章で飾られた採用ページよりも、代表が本音で語った、少し不器用なメッセージの方が、ずっと信頼できることがあります。 「ぶっちゃけ、こんな苦労もあって…」「正直、ここはまだ弱い部分なんです」 こうした「人間らしい」言葉は、企業の誠実さを伝え、求職者との間に強い信頼関係を築きます。
採用ブランディングを再考する
採用マーケティングにおいて、最も大切なのは「自分たちのありのままの姿」を伝えることです。 もちろん、嘘をつく必要はありません。 ただ、キラキラした成功の裏にある「不器用さ」や「泥臭さ」をあえて見せる勇気を持つ。 それが、本当に共感してくれる、最高の仲間と出会うための最強の武器になるのではないでしょうか。