クルージングヨット教室物語173
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「お昼にしましょうか」
隆の髪や服についている塗料を落とし終わって、麻美子は皆に言った。
「これから何か作るのも大変だし、ローゼン行ってなんかお弁当でも買ってくるか」
隆は、麻美子に聞いた。
「ラッコに食材が入っているんだけど」
「来週でも良くないか」
「野菜とか生物は悪くなってしまうわよ」
麻美子が答えた。
「鍋にすれば簡単にできるから鍋にしましょうよ」
ラッコのメンバーに、中村さんも加わり、ラッコのキャビンへと移動した。
「来週は、アクエリアスにも乗ってもらえるんだろう」
お昼の鍋を煮込まれるのを待ちながら、中村さんが隆に言った。
「ええ、そのつもりですが」
隆は答えた。
いつもは、横浜のマリーナのオーナー連中とラッコのメンバーで、お昼はパイロットハウスとダイニングのサロンで別れて食べているのが、今日は皆一緒にパイロットハウスのサロンで食べていた。
「誰が乗ってくれるの?」
「どうしましょうか、来週集まってからでも良いんじゃないですか」
隆は言った。
「隆さんと私じゃないの?」
陽子が、隆に聞いた。
「別に、それでも良いけど」
「え、隆はこっちに乗らないの?」
麻美子が隆に聞いた。
「うん。香代がいて瑠璃子とかいて、後は麻美子が全体を見れば十分だろう」
「まあ、香代ちゃんいれば安心かもしれないけど・・」
麻美子は、隆に答えた。
「俺がいると、麻美子が成長しなくなるから、麻美子が自分で考えてやってよ」
隆は、麻美子に言った。
「そろそろ、お肉も日が通ったんじゃないの」
麻美子に言われて、瑠璃子はお鍋の蓋を開けた。
「すき焼き?」
「そうね、すき焼き用の肉じゃないんだけど、鍋にしちゃおうってことで、すき焼き風」
麻美子は答えた。
「はい、卵を割って」
麻美子は、両隣の隆と香代の小皿に卵を割ってあげていた。
「いただきまーす」
鍋から小皿に装うと、皆は少し遅めのお昼の食事になった。
「香織ちゃんは?」
まだ卵を割ってない香織の小皿を取ると、卵を割っていた麻美子だった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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