賃上げ率だけでは見えない~人件費構造から考えるベースアップと一時金~
ベースアップの議論が進んでおり、賃上げ傾向が今年も継続しそうです。しかし、その議論が「賃上げ率」にとどまり、賃金構造全体の設計まで踏み込めているでしょうか。
最近は賃金構造そのものの歪みも顕在化しています。初任給の大幅な引き上げが続き、若手と30代前半の賃金差が縮小しました。その結果、「若手の給与は上がる一方で、ミドル層が相対的に報われにくい」という構造が表面化している企業も少なくありません。
だからこそ、昇給の根拠を整理することが重要になります。年次だけに依存するのではなく、「スキル」「役割」「成果」といった複数の軸で昇給の考え方を整理していく。そうした設計がなければ、賃上げが進むほど賃金構造の歪みは広がってしまいます。
また、ベースアップの議論とあわせて、一時金の配分も含めた総額人件費の議論も求められます。もっとも、一時金を柔軟に動かせない企業も少なくありません。業績連動の幅が小さい、労使での取り決めがある、評価制度が“役割”や“スキル”の違いを十分に反映できていない──こうした状況では、一時金の配分調整も簡単ではないのが実情です。
「今年の賃上げ率はいくらにするか」ではなく、
「自社の人件費構造をどう捉え、処遇への反映をどう設計するのか」。
賃上げの議論は、いま改めてその視点から見直されるべきなのかもしれません。