引継ぎ・申し送り・社員教育の違い
仕事をしていると、担当者交代の際に引継ぎがおこなわれます。
しかし実際には、
引継ぎ。
申し送り。
社員教育。
この3つが混ざってしまっている場面をよく見かけます。
私は、この違いを整理するだけでも、現場の負担は大きく減ると考えています。
引継ぎとは
引継ぎとは、担当者が変わっても仕事が止まらない状態をつくることです。
担当者が異動する。
退職する。
産休・育休に入る。
長期休暇を取得する。
こうした場面では、誰かが業務を引き継ぐ必要があります。
その際に必要なのは、
・担当業務の一覧
・業務の手順
・使用するツールやアカウント
・関係者
・判断基準
・注意点
などを後任へ渡すことです。
引継ぎのゴールは、
「前任者へ聞かなくても仕事ができる状態」
をつくることだと私は考えています。
申し送りとは
一方で、申し送りとは、現在進行している案件や状況を共有することです。
例えば、
「○○様から返信待ちです。」
「来週納品予定です。」
「この案件は保留中です。」
こうした内容は、担当者が変わる・変わらないに関係なく共有する必要があります。
つまり申し送りは、
今の仕事を止めないための情報共有です。
業務そのものを教えることとは目的が異なります。
社員教育とは
社員教育とは、仕事のやり方や考え方を身につけてもらうことです。
会社の理念。
業務フロー。
判断基準。
システムの操作方法。
接客や電話対応。
これらは、新しく担当になった人だけではなく、組織全体で継続して行うものです。
社員教育が整っていれば、担当者が変わるたびに同じ説明を繰り返す必要も少なくなります。
この3つが混ざると、前任者が卒業できません
現場では、
引継ぎのつもりが社員教育になっていたり、
申し送りのつもりが会社のルール説明になっていたりすることがあります。
すると、
「これも教えてください。」
「前任者なら分かりますよね。」
という問い合わせが続いてしまいます。
もちろん、引継ぎ直後に確認事項が出ることは自然なことです。
新しい担当者が実際に業務を始めて初めて見えてくる疑問もあります。
しかし、数か月経っても前任者への問い合わせが続くのであれば、一度立ち止まって考える必要があります。
それは前任者が悪いのでも、後任者が悪いのでもありません。
引継ぎ後の運用や教育の仕組みを、会社として見直すタイミングなのかもしれません。
引継ぎは終わりではなく、運用の始まりです
引継ぎは、資料を渡したら終わりではありません。
後任者が実際に運用できるようになること。
必要に応じて教育を行うこと。
判断基準を共有すること。
そして、前任者へ頼らなくても仕事が回る状態をつくること。
ここまで整って初めて、引継ぎは完了したと言えるのではないでしょうか。
前任者には、業務を引き継ぐ役割があります。
一方で、引継ぎ後に組織として運用していく役割は会社にあります。
この役割が曖昧になると、前任者は異動や退職をした後も、いつまでも「聞かれる人」であり続けてしまいます。
私が構造を見る理由
私は、人を責めたいわけではありません。
引継ぎが大変なのも、
申し送りが漏れてしまうのも、
教育に時間がかかるのも、
多くの場合は、それぞれの役割が曖昧になっているからです。
だから私は、
引継ぎは業務を渡すこと。
申し送りは現在の状況を共有すること。
社員教育は仕事を覚えてもらうこと。
この違いを整理することを大切にしています。
担当者が変わることは、どの会社でも起こります。
だからこそ、人に頼る組織ではなく、役割が整理され、担当者が変わっても仕事が止まらない組織をつくること。
それが、私の考える「構造設計」です。