【満足度92%】200人の1on1分析と11人の教授陣を巻き込んだ学部改革。代表として挑んだEMCカンファレンス
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(EMC)3年の西村直希です。
私は今、「世界一創造的なインキュベーターになる」という目標を掲げ、組織/ウェルビーイング領域での事業創造に挑んでいます。
今回は、私が代表を務め、先日大成功を収めた「EMCカンファレンス2025」の裏側を公開します。
急拡大する「学部」という組織が直面した「成長痛(組織の分断)」に対し、徹底的な定性・定量調査に基づき、学部長を含む上位レイヤーを戦略的に巻き込んで解決した、半年間の組織変革プロジェクトです。
1. 直面した課題:急拡大による「組織の分断」
私が所属するEMC(アントレプレナーシップ学部)は、設立4年で学生数が60名から240名へと急拡大しました。
組織が大きくなるにつれ、初期の熱狂は薄れ、以下のような課題が顕在化していました。
・NPS(ネット・プロモーター・スコア)の低下: 推奨者よりも批判者が上回る状態(スコア -4.17%)。
・エンゲージメントの格差: 一部の「意識高い層」と、置いてけぼりを感じる「受動的な層」の分断。
・心理的安全性の欠如: 「起業してないやつはすごくない」という無言の圧力。
「どうせ何も変わらない」という諦めムードが漂う中、私は「対話と共創」をテーマに、学部全員(学生・教員・職員)を巻き込むカンファレンスの代表に就任しました。
2. 徹底的なリサーチ:200人の深層心理を解剖する
「とりあえず集まって話そう」では組織は変わりません。私はまず、現状をデータで把握することから始めました。
実施したリサーチと分析
- 全学年200名以上の学生と1on1を実施
一人ひとりの本音を聞き出し、彼らが学部に対して何を求めているのかを徹底的にヒアリングしました。200人という数は、学部のほぼ全学生に近い規模です。泥臭く足を使って「生の声」を集め切りました。 - 「目的」×「価値基準」の2軸分析
集めた定性データを分析し、学生を4つのアーキタイプに分類しました。
・起業・スキル獲得型(35%):実利と成果を求める
・コミュニティ重視型(30%):仲間との繋がりを求める
・自己探求型(20%):内面的な成長を求める
・資格・経験獲得型(15%):大卒資格や安定を求める
この分析により、「起業一辺倒の施策では、65%の学生を取りこぼす」という構造的な欠陥を特定。これが、施策立案の根拠となりました。
3. 戦略:学部長・教授陣11名を「機能」として配置する
分析結果を元に、全9つの分科会(ルーム)を設計しました。
ここでの最大のポイントは、「教員をただのゲストとして呼ばず、解決すべき課題の『オーナー』として配置したこと」です。
学生の不満の矛先や、解決に必要なリソースを持つ教員を、各ルームの責任者としてアサインしました。
ルームテーマ
ターゲット学生層
アサインした教員と役割
① 行動指針(カルチャー): 学部の空気にモヤモヤする層
伊藤羊一 学部長
トップダウンではなく、学生と共に「行動指針」を再定義し、その場でコミットする役割。
② カリキュラム改善 :実利・スキル重視型(35%)
津吹達也 教授(カリキュラム設計担当)
「授業の質」への不満を直接ぶつけ、制度レベルでの改善案を即決する役割。
③ プロジェクト制度改革 挑戦に壁を感じている
村上茂久 教授
評価制度への不満に対し、評価者である教員視点を共有しつつ、新制度を共創する役割。
④ 事業スケールアップ
ガチ起業層
岩佐大輝 教授・井上浄 教授
既に起業している学生に対し、資金調達や組織論など、実践的な壁打ち相手となる役割。
他、キャリア支援、アルムナイ(卒業生)連携など、全方位のニーズに対応。
教員には「学生と対話し共創してほしいです」とオーダーし、徹底して「共創」の場を作り上げました。
4. 実行と成果:批判者が「共創者」に変わった日
迎えた当日。
事前の緻密な設計により、「ガス抜き」ではなく「建設的な議論」が各所で議論が起こりました。
教員が学生の生の声に耳を傾け、その場でさまざまなと検討がなされていく。
その結果、以下の数値を叩き出しました。
・総合満足度:高評価率 92.45%(回答212名中196名がポジティブ評価)
・10点満点評価:57名
・低評価率:わずか1.89%
そして何よりの成果は、定性的な変化です。
「どうせ変わらない(他人事)」が「自分たちで作る(当事者意識)」に変わった瞬間でした。
5. これからの展望
今回のプロジェクトで証明したのは、「想いとデータ、そして適切なステークホルダーの巻き込みがあれば、組織は変えられる」ということです。
私は、この経験を糧に、次はビジネスの世界で「世界一創造的なインキュベーター」を目指します。
組織のポテンシャルを最大化し、誰もが自分の色を響かせられる社会を作る。
そのために、まずは自分自身が結果を出し続けます。