IT×コーヒーでネパールの未来を耕す「Himalayan Coffee」
■事業概要と運営母体 「Himalayan Coffee(ヒマラヤンコーヒー)」は、東京都千代田区麹町に本社を置くIT企業、株式会社要(KANAME)が展開するネパール産スペシャルティコーヒーのブランドです。
2018年に開始されたこの事業は、単なるコーヒー豆の販売にとどまらず、ネパールの貧困解決、教育支援、女性の自立支援を目的としたソーシャルビジネスとして運営されています。
■創業のストーリー:ITエンジニアの想いから始まる 本事業のきっかけは、当社で働くネパール人エンジニア、パールザパチ君の「日本とネパールをつなぎ、貧しい母国を豊かにしたい」という強い想いでした。
ネパールはアジアの中でも経済的に厳しく、多くの男性が出稼ぎに出る一方で、残された女性や子供たちの生活環境や教育格差が課題となっています。私たちは、ネパールの気候や地形がコーヒー栽培に適していることに着目し、IT企業の強みを活かした持続可能な農業支援モデルを構築を目指しています。
■扱うプロダクト:ヒマラヤが育む最高品質 ネパールの「Greenland Organic Farm」と提携し、農薬や化学肥料を使わない栽培を行っています。標高1,000m〜2,000mの高地で手摘みされた豆は、米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA)基準で88.75点という高スコアを獲得。「スペシャルティコーヒー」として認定される世界水準の品質を誇ります。
また、近年ではワインの醸造技術を応用した「カーボニックマセレーション(嫌気性発酵)」を取り入れた「アーユルヴェーディックスペシャルティコーヒー」の開発など、品質向上への挑戦を続けています。コーヒー以外にも、イラム地方の紅茶(ネパリティー)や、希少なチウリ・ライチのハチミツも取り扱っています。
■独自のビジネスモデル:共感で繋がるエコシステム 私たちは単に豆を輸入・販売するだけでなく、消費者と生産者をダイレクトにつなぐユニークな仕組みを展開しています。
• Naming Rights(命名権プロジェクト): コーヒーの木にオーナーとして名前を付けられる権利を販売。オーナーには現地から成長記録やメッセージが届き、物理的な距離を超えた「心のつながり」を創出しています。
• Coffee Farm Share: 日本のコーヒー店等が、ネパールの農園を「自家農園」として小口契約できるシェアサービス。ITを活用して農園管理を可視化し、日本の店舗と現地の雇用を結びつけています。
■ソーシャルインパクト:寄付ではなく「ビジネス」で循環させる 事業収益の一部は、現地の学校への文房具や防寒着の寄付、給食支援などに還元されています。 特筆すべきは「ジェンダー平等」への取り組みです。家父長制の名残が強いネパールにおいて、報酬を世帯主の男性ではなく、実際に労働を担う女性へ直接手渡す仕組みを採用し、女性の経済的自立を後押ししています。
私たちのミッションは、美味しいコーヒーを届けることを通じて、生産者が誇りを持って働き、子供たちが十分な教育を受けられる「豊かな未来」を創ることです。