北海道大学生命科学院 / 生命科学部 生命科学科 医薬学科専攻
肺の血管への標的分子を修飾するナノ粒子の分布についての論文
α-ヘリカル型のGALAペプチド(WEAALAEALAEALAEHLAEALAEALEALAA)は、pH依存的なエンドソーム脱出誘導剤としてのと、肺内皮を標的とするリガンドとしての機能を持つこととが報告されました。本研究では、GALAの柔軟性を向上させ、肺標的活性を向上させるために、ポリエチレングリコールリンカー(PEG)を使用してGALAの末端に修飾しました。まず、GALAがリン脂質(コレステロール:GALA/Chol)またはリン脂質のPEG誘導体(PEG2000: GALA/PEG2000)に直接共役され、GALA修飾リポソームの取り込みを評価しました。GALA/PEG2000で修飾されたリポソーム(GALA/PEG2000-LPs)は、GALA/Cholで修飾されたリポソーム(GALA/Chol-LPs)と比較し、より高いレベルでヒト肺内皮細胞(HMVEC-L)に取り込まれました。 pH活性化脂質(ssPalmE)から形成したsiRNA封入のナノキャリア(MEND-SSPalmE)は、GALA/PEG2000に修飾され (GALA/PEG2000-MEND-ssPalmE)、肺内皮マーカーであるCD31に対する遺伝子サイレンシングの活性が評価されました。未修飾のMEND-ssPalmEと比較して、GALA/PEG2000-MEND-ssPalmEは肺でより高いサイレンシング活性を示唆されました。GALA/PEG2000-MEND-ssPalmEの最適化により、肺でのED50値が0.21 mg/kgとなり、肝臓での非特異的な遺伝子サイレンシングはほとんど見られませんでした。 総じて、PEG化されたGALAは肺を標的とするための有望なナノキャリアであることを期待されます。