慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス / Keio SFC / 総合政策学部
トラストサービス制度の日米欧間比較と日本の課題分析
情報ネットワーク法学会第21回研究大会 にて個別発表 卒業論文に向けて研究中のテーマを外部研究会にて発表 [要旨] Society5.0やDFFTなど、デジタルデータの利活用が国内だけでなく国際的にも活発になる中、データ流通基盤となるトラストサービスの重要性も高まっている。国際的データ利用に際しトラストサービスの枠組みも国際水準に準じる必要があるが、2014年のeIDAS成立以降も一切更新されていない国内現行制度では未整備な点が多く国際的効力に不安がある。このため国際的なデータの取引の中で日本のトラストサービス利用者が不利益を被る懸念がある。対応として現行制度を改革するには国際的な承認要件を分析し、これを満たす必要がある。先行する国際規格であるEUのeIDASやUNCITRALのA/CN.9/WG.IV/WP.167を比較し国際的な枠組みの必要要件を分析し、円滑な日本のトラストサービスの国際相互運用に向け、国際的に同等と承認されるための制度的・体制的・技術的課題点を検討した。その上で国内現行制度の改善点として監督・監査制度の拡充や機械判読可能なトラストサービスの認定基盤の整備を定める必要性を提示すると共に、国内ワーキングチームの制度改革案についても評価・分析を行った。日本の現行制度には不足点があるものの、ワーキングチームの改革案の立法化によって課題は解決されるとみられた。但し日本のトラストサービス市場の進展も考慮して実施していくべきであろう。