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CEO常盤インタビュー:波乱万丈な人生と創業ストーリー

Photo by Nathan Dumlao on Unsplash

須永:

ユニクシィは、2020年に常盤さんと吉田さんのお二人で設立されました。そんなお二人はプライベートでもパートナー。創業までの道のりや、「公私協働」についての考えをお聞きしていきます。 まずは、常盤さんの経歴についてですが、美容師からITベンチャーのCEOってめずらしい経歴だと思うのですが、全く別の業界でやっていこうと思ったきっかけは何かありましたか?

常盤:

いきなり美容師からITへっていう感じでもないんです。実はこれまでに3回離婚していて、1回目の離婚後はまだ美容師をやるつもりでいたんです。そこから再婚して、2回目の離婚の時、その時点で子どもが2人いたので、養育費とか先々のことを考えた時に、普通の会社員をやっていたら絶対無理だなと感じました。だったらもう、自分で事業をやるしかないっていう結論に至ったんです。

ちょうどその頃、タイミング的に個人で映像系の仕事をしていたんですね。クラブで流す映像を繋げるVJっていう仕事があるんですけど、そんなのがあるよっていうのを教えてもらって、そこからちょくちょくVJの仕事もさせてもらうようになりました。その時に「あ、意外と映像イケるかもな」という感触があって(笑)そこからイベントで映像の演出をするお仕事が段々増えてきて、個人事業が走り出すっていうタイミングでした。

その頃、3回目の結婚をして、子どもが生まれるというタイミングで、当時の奥さんがほぼ寝たきりになってしまったんです。それをきっかけに「外に働きに行ってる場合じゃない」という状況になりました。じゃあどうやって生計を立てていけばいいんだろうと色々考えていて、オンラインスクールでプログラミングが学べるっていうのを知りました。「これはもう行くしかない!」となりましたね。スクールで学んだことがそのまま使えるというわけでもなかったので、独学で勉強もしながらある程度できるようになってきた所で、自分で営業してお客さんをどんどん増やしていきました。

これが、最終的に今の道に続いているという感じですね。前もって目的が決まってたというより、生活の危機に晒されて、その時に目の前にある機会やチャンスを掴んでいったらITに辿り着きました。

須永:

なるほど、その時々の状況に合わせて、仕事の仕方を変えていったということですね。たしか、プログラミングの仕事を始めた頃は5人のお子さんの子育てもしながらでしたよね?特に大変だったことはありますか?

常盤:

そうですね、「常にイレギュラーが起きる」っていうのが一番大変だったかもしれません。何も思った通りに進まないので(笑)2年間の中で、スケジュール通りに行った試しはほとんどなくて、保育所に送っていくのも1時間遅れちゃったり、ご飯を作るのも、合間にいろんな出来事が起きて全然進まないとか(笑)そんな状態で仕事をしていたので全然集中して作業できない状況でしたね。

でも、おかげでマルチタスク力は鍛えられました。当時は16時間くらい仕事をしていて、それ以外の時間は家庭のことを、という感じだったので睡眠時間が2~3時間という生活でした。そんな生活を2年近くしていたら、心身ともに崩壊しました…。

須永:

それはかなりハードでしたね…。その後、中心性漿液性脈絡網膜症という目の病気を発症したんでしたよね。どんな症状だったんでしょうか?

常盤:

視界に大きな黒い丸が出てくるんですよ。酷くなってくると、黒い丸の範囲がどんどん広がっていって、一番酷い時は左目が全然見えなくなりました。

その時は「あれ、これちょっとまずいぞ」と思って病院に行きました。手術をしても治るとも限らないと言われ、「他に何かないですか?」と聞いたら「ストレスを無くすしかないです」と言われました。いやそれ生きてる限りむりじゃないすか?と思いましたね(笑)

須永:

視界がどんどん狭まっていくということですよね、すごく怖いですね…。確かに、生きてる限り何らかのストレスは感じますもんね。この症状が出ている間はお仕事もできなかったということですよね?

常盤:

そうですね、そのあたりは3ヶ月ほぼ丸っと仕事ができませんでした。でも、段々症状が落ち着いてきて、そろそろ仕事を再開しようかというタイミングで、今度は家族全員がインフルエンザに罹るというまさかの事態になってしまって…。

家族の看病をしているか自分がダウンしてるかという状態で、結果的に4ヶ月近く仕事ができませんでした。その時は、本当に家計もぎりぎりでやってたので、ここに来て綺麗にとどめを刺されたという感じでした。家計がぎりぎりというのも、借金をしながらぎりぎり回そうとしていた感じです。

これから仕事の単価も上げていこうというタイミングだったので、単価が上がりさえすれば借金も全部返せるっていう目論見だったんですが全部崩壊しました(笑)

須永:

それはすごい危機的状況ですね!タイミング悪くいろんなことが重なってしまったんですね。そんなピンチをどんなふうに乗り越えたんですか?

常盤:

結局そのピンチを乗り越えられなくて、家計が全部破綻した結果、離婚に至りました。最終的にその時は、借金と手持ちのお金が少しという感じで。売れそうな物は手あたり次第売りました。その頃、山奥に住んでいたんですけど、そこを出るともう浦島太郎みたいな状態になっていて(笑)

付き合いのあった取引先や友人が一斉にいなくなるというか、もう縁が切れてる状態で。どこを当たっても仕事になりませんでした。頼れる所がどこにもなくて、その時「地元に居場所はないんだな」というのがわかりました。その時、2週間くらいは結構酷い生活をしていました。車中泊とか(笑)

ワンボックスカーに毛布とか積み込んで、なんとか生活してるという感じでした。その時に、「最後に東京に行って、もう一回だけ挑戦しようかな」と思ったんですよね。一応、手持ちのお金でシェアハウスを借りて、それでなんとか2~3ヶ月くらいはいけそうだっていうことがわかりました。バックパックとスーツケースを1個ずつ持って、そこに仕事道具と服を詰め込んで東京に来ました。まあ2~3ヶ月やってみて、ダメだったらもうそこで終わらせよう、いろんなものを(笑)くらいの感じで、地元を離れました。

場所を変えたというのはひとつのきっかけでしたね。それまではクラウドソーシングで仕事を主な収入源にしていたんですがパタっと辞めて、コワーキングスペースだったり、あらゆるWebサービス系の勉強会に顔出したりして、いろんな所を回って歩きました。そこから2ヶ月くらい経って、自分の中でなんとなく仕事にはなりそうだなというのが見えてきました。

ちょうどその頃に共同経営者である吉田さんに出会いました。このピンチから立ち直るのに一番大きなきっかけになったのは「吉田さんと出会ったこと」ですね。多分、一人だったら野垂死んでたと思います(笑)常日頃言ってますが、一人で生きられないんですよ、自分のタイプ的に。そんな中で吉田さんに出会って、拾ってもらった感が自分の中ではあります(笑)その頃から、なんとか仕事も軌道に乗り始めました。

須永:

上京する直前はそんな壮絶な状況だったんですね。常盤さんの「人の痛みに寄り添える」所を尊敬していましたが、その理由が分かった気がします。 弊社では「公私協働」をテーマにしていますが、吉田さんと出会いそこから一緒に会社をやろうとなるまでのお話を聞かせてください。

常盤:当時、吉田さんは薬剤師をしていたんですが、ヨガのインストラクターを持っていたり、趣味で占星術もやっていました。最初はお互い別々に仕事をしていたのですが、段々私の仕事が忙しくなってきました。新しい取引先も増やしていけるように動きたかったので、吉田さんに手伝ってもらえるとありがたいんだけど、という話をしました。

そこから、データ入力や議事録を取ってもらったり、というような仕事をお願いするようになりました。その中で、吉田さんがやっているヨガや占星術を仕事にすることはできないか、と考えるようになりました。私自身もパートナーシップの課題をこれまで抱えてきたし、IT業界を見てもメンタルを病んでしまう人が多いという現状があったので、吉田さんがやろうとしていることを個人向けで終わらせるのはもったいないなと思ったんです。

最初はウェルネスという方向で考えていたのですが、目指したいのは健康だけでなく、人が満足して心豊かに暮らしていける社会であると思い、それが経済的、キャリア、コミュニティ、健康をバランスよくやっていこうというウェルビーイングの考え方につながりました。そんな経緯で最終的にウェルビーイングに着地し、じゃあそれをもうプロダクトにしようということになりました。

吉田さんには、プロダクトの構想をやってもらい、私はそれをデジタル面で一緒につくっていく。その中で自分に業務を集中させ過ぎると仕事が回らくなるという問題もあったので、共同経営という形になりました。会社としても、自社事業を作りたかったというのもありますし、私自身、自分たちで社会問題を解決していきたいという気持ちも強かったです。

また、こういったプロダクトを作っていく中で、自分の抱えている問題の解決にも繋がるんじゃないかと思いました。そんな思いがあって、一緒にやろうということになりました。

須永:

なるほど、そんな経緯だったんですね。吉田さんの占星術は弊社の組織づくりにおいてもとても役立っていますよね。素朴な疑問なんですが、いつも同じ空間で生活して仕事も一緒にしていると、揉めたりしませんか?(笑)

常盤:めっちゃ揉めてますよ(笑)実は会議の後にヒートアップして大喧嘩に発展してる、なんて裏話はもう山ほどあります。最近はようやくお互いの勘所がわかってきたので、そういうのもなくなりましたね。常日頃仲良しこよしでやっているわけでもないですが、だからこそ一緒にタッグを組んでやれているというのはあるかもしれません。

一緒に仕事をする中で、パートナーシップをより良い方向に向かわせたいという会社の目的も達成できるかなと思っていて。その目的を達成するために一緒に切磋琢磨している所です。

須永:

いつも優しくて穏やかなお二人が大喧嘩している所、全然想像できないです(笑)

でも、お互いぶつかり合いながらも、公私協働やより良いパートナーシップの実現という目標を一緒に目指しているということなんですね。 そんなお二人が立ち上げたユニクシィ、これからどんな会社にしていきたいですか?

常盤:

時間単価での評価というのを極力脱していきたいという思いがあります。その月のゴールを前月に決めておいて、その達成度に応じて報酬額が決まっていくという形にすれば時間に縛られなくて済むじゃないですか。やることが早く終われば、その分他のことに自由に時間を使えますよね。

弊社にも子育て中の方がいるんですけど、「今週は家のことで忙しくなりそうです」って言ってもらえれば、じゃあその週の前でも後でも、できるところでやってもらえれば全然大丈夫ですよーっていう感じで仕事をしてもらっています。

人によっては、夜中に仕事をしたい人もいますよね。それを許容する場合、「その分昼は休んでね」という考え方です。夜頑張るんだったら、昼は寝てもいいじゃないと思っています(笑)

あとは、多重請負の問題を解決していきたいです。今、ITでは当たり前になっていますが、ちょっとおかしいよねと思うことことがたくさんあります。例えば、プログラミングの仕事。一生懸命やってもなかなか真っ当なお金がもらえないという不満がある方も多いのではないでしょうか。

これは、会社側から依頼者に向けての業務範囲や評価の見える化ができていないため、仕事に対しての報酬が搾取されているように感じるということだと思います。さらに、地方を理由にして単価が低いという問題もありますよね。そんな地域格差の解消や、子育て世帯の働き方の水準自体を上げていけるような貢献をしていきたいですね。

「公私協働」がうちのキーワードなので、仕事と私生活の境目なく協力し合える働き方というのを目指しています。これは馴れ合いとは違って、もちろんそれぞれきちんと仕事はやりつつ、一つの塊として目標に向かっていく会社にしていきたいなと思っています。

ただ、みんなの目標ってやっぱりそれぞれ違うと思うんです。結婚したい人・したくない人、仕事をし続けたい人・遊ぶための仕事をしたい人もいる。それも含めてお互いの目標に背中を押せるような会社にしていきたいですね。

須永:

たしかに、時間の縛りがないといすごく働きやすいです。ダブルワークや子育て中でもストレスなく働ける環境は弊社の魅力ですね。 あとは、会議もかなり少ないですよね?

常盤:

そうそう。ミーティングは極力入れないようにしていて、週一でお茶会みたいな定例ができればメリハリになっていいかなと思ってやっています。会議の形も工夫していけば、孤独にならない仕事のしかたができると思っています。

須永:

弊社はフルリモートですが、リモートお茶会やSlackでの雑談など、かなりコミュニケーションは盛んですよね。働いていて孤独を感じたことはありません(笑) そんなユニクシィで新しい仲間をお迎えするにあたって、どんな方に入社して欲しいですか?

常盤:

そうですね、今の働いている環境に爆発しそうな不満を抱えていたりとか、理不尽な上司に振り回されて苦労している人とか、そんな方に入社して欲しいです(笑)「押さえつけられている感覚を自分たちで変えていきたい」という人たちで集まってやっていきたいなという気持ちがあります。

実際に今弊社には、そんな思いを持っている人しかいないんです。エンジニアさんとかはその傾向が強い方が多いかなと思っています。いろいろな働きづらさを感じていて、それを自分で変えていきたいという思いの方は是非入社して欲しいですね。逆に、会社員として働いていて、それほど大きな不満はないというタイプの方だと、うちには合わないかもしれません。

先ほど須永さんも言っていましたが、弊社は社内でのコミュニケーションを大切にしています。Slack上では仕事とは関係のない雑談で盛り上がることもしばしば。嬉しかったことも苦労したことも、なんでも吐き出して欲しいんです。

それを吐き出しても誰も攻撃したり批判したりする人はいません。みんなが安心して自由にコミュニケーションを取っています。なので、そういうのも楽しめる人だといいのかなと思っています。

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