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「日本が工芸を失うのは惜しい。日本文化を残したい!」

青野洋介
商品部 商品一課


大学で建築とプロダクトデザインを学び、2018年に新卒で中川政七商店に入社。
以来、商品部でデザイナーとしてバッグを中心に、素材や製品のジャンルを問わず幅広い商品の開発に携わっています。


小さなころの夢は農家か大工でした。農家である田舎の祖父の存在が身近だったこともあり、暮らしに必要なものを自分の手で作ることに憧れがあったのだと思います。

その後も漠然と「何かものを作る人になりたい」と思い続け、建築とデザインが学べる大学に進学しました。授業で工業デザインを中心に学びながら、様々な出会いを通して工芸や手仕事の領域に興味を深めていきました。

そのなかでも印象的だったのが、ゼミの活動で訪れた民藝の陶芸家・河井寛次郎の記念館。

かつての住居兼仕事場であるその空間からは、地に足のついた実直な暮らしと仕事から、自然と美しさが生まれる光景が見て取れて、心に深く響きました。

土地の素材と人の手から生まれるもの、その土台にある連綿と続いてきた豊かな文化風習。

これを失ってしまうには惜しい。日本のものづくりや文化を残したいという思いを強くした瞬間です。そんな時に出会ったのが中川政七商店。幅広い暮らしの道具を作り、ものづくりを通して工芸や文化を守り育てていこうと取り組む姿勢に共感しました。

そうして入社してからは、陶磁器のうつわやガラスのコップ、木の掃除道具、帆布や革のバッグに小物、テキスタイル、ハンカチや香水など、幅広いものづくりに取り組んで来ました。

なかでもやりがいを感じているのが、暮らしに近い道具を作ること。

工芸の道具を使うには時にコツや手間も必要ですが、人とものの関わりのなかに生まれる喜びや愛着を伝えていきたいと思っています。

できるだけ手に取りやすいデザインに落とし込み、入口のハードルは下げながら、先にある楽しさや価値を感じてもらえるようにものづくりに取り組んでいます。

デザイナーとして最も大切にしているのは、作り手である前に一番の使い手であること。

生活のなかでものを使い、経験する物事をよく観察しよく知ること、とも言えます。

暮らしの道具を作るうえで、作り手自らの生活の実感から生まれるアイデアや課題意識、「こんなものが欲しい」という素朴な欲求が、何よりも大切で共感を生むと考えているからです。

二つ目は、ものを深く理解すること。ご一緒する作り手さんたちの産地や現場に、どんな素材や設備、技術、経験があり、どんな人がどんな思いで作るのか。また素材や加工の特性に加え、その“もの”にはどんな歴史や文化があるのか。ものづくりは知れば知るほど面白く、無理のない自然な設計をすることがクオリティに繋がります。

そして人と関わり、生活の背景にある社会で起こる出来事をよく知り考えること。購入は投票だとたびたび言われますが、作ることもまた強い投票です。複雑な社会のなかで、明るい未来に繋がる選択ができるように心がけています。

仕事をするなかで楽しいのは、ものづくりがドライブするのを感じる瞬間。

達成すべき要素や制約について、どうすればうまく繋がるのかを模索していくのですが、考えあぐねた末に奇跡の1ピースを見つける瞬間があります。

メーカーさんの得意不得意に合わせてデザインを調整したり、逆にこちらの意図を汲んで新しい提案をしてくださったり。アイデアが人との関わりを通してよりよいものになっていく。ぐるんぐるんとエンジンが回り始めた時はたまりません。

時には意図したものとちょっと違うな‥‥というサンプルが上がってくることもあるのですが、それをうまく活かしていくのも、人と一緒にものを作る面白さの一つ。

ひたすら合理的にデザインしてコントロールするのではなく、対話しながら両者のいい落としどころを探っていく。人の至らなさや弱さも含めた人間らしさを包括したところに、美しさや愛らしさが生まれると思っています。

そして苦労して作った商品が人に届き、喜んでもらえた時の喜びはひとしおです。目の前の人はもちろん、いつか、何十年後か古道具屋に出ても、人の手を渡りながらどこかで誰かの暮らしを豊かに彩るものを作りたいと励んでいます。

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