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柳井工業の仕上工はオールマイティーからスペシャリストへ転身しました

戦後から2000年初期まで、プラント業界の職人である「仕上工(しあげこう)」は、何でもそつなくこなせる「オールマイティ人材」が求められていました。

かつては柳井工業もオールマイティな仕上工を求めていましたが、2010年前後から、スペシャリストな仕上工を中心に採用をしています。

今回はその理由を、お伝えできればと思います。以下の流れにそって、柳井工業が選択した背景を説明していきますね。

・かつて求められた「仕上工」の仕事
・オールマイティからスペシャリストへ転身した理由

2010年前まで求められていた「仕上工」の仕事とは


まず前提として、ひと昔前の仕上工が求められていた仕事を、整理してみましょう。

・分解部品の計測
・駆動体と被駆動体のセンターリング
・図面を見ながらの分解と組立
・損傷部の簡単な補修
・分解するために必要なスペシャルツールを製作
・大型の機械を吊出し/吊込み
・機械を分解するために必要な足場を架設
・回転機周辺にある配管の取外し/取付け
・損傷部品の検査
・機械部品をホーニングにより清掃

改めて箇条書きしてみると、仕上工の仕事は多岐に渡りますね。

プラントで必要な作業はすべてできる「オールマイティーさ」が、極めて重要。

戦後〜2000年初期まではプラント業界の全盛期ということもあり、オールマイティ仕上工は数知れず。多くの人材が「手に職を!」と、目を輝かせていた時代でしたね。

ただ残念なことに、リーマンショックを経て2010年代から、すこしずつ業界の市場が右肩下がり。

さらに、プラント業界の闇も深まり、今まで大活躍していた仕上工や職人がプラント業界からどんどん離れていきます。(プラントの闇は下記のnoteで連載としてまとめています。興味のある方はぜひ!)

第1回:プラント業界のからくりと闇
第2回:下請け企業の劣悪環境
第3回:支店による二重取り構造

プラント業界では異例の人気がある「鳶職」と「製缶」


「このままプラント業界全体が、悪化していくだけなのかな...」と不安を抱いていましたが、意外にも職種の中には「拡大」している役割がありました。

結論からお伝えすると、「鳶職(とびしょく)」と「製缶(せいかん)」です。仕事内容と特徴をかんたんにお伝えします。

●鳶職
主に足場の架設を担当。プラントだけではなく、建築現場・リフォーム・道路の補修といった「公共工事全般」で活躍している。花形で人気があり、若手が多く活躍している。また、現場が多く、1年中コンスタントに仕事がもらえる。

また「重量鳶」と呼ばれる鳶職もあり、主に大型のタワー・モーター・発電機・タービンなどを据え付けている。専門性が高く、600T〜1000T級のクレーンを器用にこなす必要があるので、一人前になるまで時間がかかる。そのため、いろいろな現場で活躍している。

●製缶
主に缶を製造や鉄の加工など、プラント業界の「製作」を担っている。鳶職同様で、プラントだけではなく、大きな商業施設や病院の空調・ビルの鉄骨造り・電車のレール製作・船の溶接などに携わる。製缶も若者を中心にニーズが高く、若手〜中堅が育っている。

仕事内容がまったく違う鳶職と製缶ですが、「ものを造る」「プラント業界意外にも関わっている」という共通点があります。

どちらも世代を問わず人気な理由として、ものを造る仕事だからこそ、製造物という目に見えた成果が見え、達成感を味わえるからだと思います。

自分が手がけたものが商業施設やレジャー施設、新幹線に使われるって、やっぱりうれしいですよね。そして、それぞれの職人さんが自分たちの仕事に、誇りを持っています。

この「能動的な姿勢」をもっと尊重すべきではないかと、柳井工業は考えました。

柳井工業は「オールマイティ」から「スペシャリスト」へ


かつては、ぜんぶできるオールマイティ仕上工を柳井工業でも求めていました。ただ、ここ10年でその思考は手放し、「スペシャリスト仕上工で形成されたチーム作り」をしています。

鳶職は鳶職に、製缶は製缶に。他の仕事も専門家に任せています。

よくお客様には「柳井工業さんの方々は楽しそうに仕事をしている」とおしゃっていただけるのですが、自分の専門分野に特化できる環境だからではないかと考えています。

オールマイティはオールマイティでいいところはあります。また、スペシャリストならではの課題点もあるのは事実です。

ただ、オールマイティからスペシャリストへの転身。柳井工業の動員力の根源は、ここにあると考えています。

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