株式会社wevnal ‐HQ‐導入事例
生産性・開発力向上のためには投資を惜しまない。採用良化・リテンションにも繋がった、「エンジニア福利厚生」 【株式会社wevnal 】
https://hq-hq.co.jp/casestudy/wevnal
完全自律型で、“まるで一人のエンジニア”のように作業をこなしてしまう「DevinAI」。2025年春、そんなDevinAIを開発し、世界が注目するスタートアップ CongnitionのCEO スコット氏とビジネス責任者のラッセル氏が来日しました。
4月21日には「DevinAI × Microsoft × wevnal が語るAIエージェント開発の最前線」と題し、ミートアップを開催。多くのエンジニアが一堂に会し、彼らの話に耳を傾けました。
スコット氏による講演の後は、wevnalのCTOの鈴木、エンジニアのウムトも加わり、AIエージェント開発の挑戦と実践についてディスカッションを行いました。この記事では、その様子をお届けします。
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<プロフィール>
鈴木 和男
執行役員CTO
早稲田大学を卒業後、ERPパッケージベンダーにて大企業向け会計ERPパッケージの設計/開発や、プロジェクトマネジメントに従事。 その後不動産テックベンチャーでのカスタマーサクセスプラットフォームの立ち上げを経て、株式会社wevnalに入社し、現職に就任。 現職では技術戦略の策定/遂行とエンジニアの組織、採用戦略の策定/遂行、情報セキュリティ戦略の策定/遂行を担当。
*個人インタビューはこちら(経歴について、組織作りについて)
Umut Karakulak(ウムト・カラクラク)
トルコ出身。2017年に来日し日本企業でデータサイエンティスト / フルスタックエンジニアとして機械学習モデルやAPIの開発に携わる。2024年5月にwevnal入社。
*個人インタビューはこちら
──まずは、開発やエンジニアリングにおける課題について。最近のエピソードを例に、なぜこれらの課題がいまだに解決しがたいのか、またそれに対してどんな対策を取っているのかを話していただければと思います。
ラッセル:
私のキャリアのスタートは、機械学習の研究者でした。機械学習の厄介な点は、バグがあってもプログラムがクラッシュしないことです。単に性能が悪くなるだけで、そのバグがどんどん積み重なっていくだけなんです。それが課題のひとつだと考えています。
より高度なAIツールが進化していけば、こうした問題の一部を自動でデバッグできるようになるのではないでしょうか。
鈴木:
私たちが直面した課題のひとつに、技術的負債の蓄積に関連するものがありました。
wevnalは広告代理業から始まった企業なので、最初からエンジニアリングが強かったわけではないんです。その結果、さまざまな一時的な対応を通じて、かなりの技術的負債が積み重なってしまっています。。
こうした負債は次第に開発サイクルの遅延や不具合発生率の上昇、機能追加時の後方互換性の確保の難しさ等の形で表れるようになり、開発の阻害要因になっています。
また人材採用の面でも、同じく大きな課題を抱えています。。現在、求職中のエンジニア1人に対して、12〜14件もの求人があると言われているほど、エンジニア採用は激化しています。企業側がエンジニアを選ぶのではなく、エンジニアが企業を選ぶ時代になっていると言えます。
この人材確保の難しさは、技術的負債への対応能力にも影響があるんです。なぜなら優秀なエンジニアにとって、技術的負債がある開発環境は魅力的とは言えません。一方で、エンジニア不足により、その負債に対応することも難しいという悪循環が起こってしまうんです。問題の発生原因は異なっても、日本企業の多くが同じような課題に直面しているのではないかと思います。
──そんな中、今やDevinAIは皆さんにとって心強いツールとなっていることでしょう。業務において、どのようにDevinAIを使っているか教えてください。
スコット:
ちょっとした修正を行いたいときにDevinAIを使用していますね。たとえば、プロダクトをチェックしているときに見つかる「このボタンはもう少し丸みがあった方がいいな」「このリンク、別のページにリダイレクトされるのはちょっと…」といったものです。私は毎日コードを書いているわけではないので、そういうときにDevinAIを使うと実際に修正をしてくれて、とても助かってます。
リリース前のテスト作業にもDevinAIを使っています。DevinAIが、自分自身のワークフローをテストするんです。つまり、DevinAIがDevinAIのWebサイトを操作して、DevinAI
に指示を出す、というちょっと面白い光景になります(笑)。
──wevnalでも、日々の業務にDevinAIを本格的に導入していますね。
ウムト:
そうですね。直近の3日間では、私たちがプッシュしたコードの39%がDevinAIが直接生成したコードでした。しかも、すべて本番環境向けのコードなんです。
日々の業務での使い方はスコットと同じです。小さな修正を加えたいときって、たとえ小さな変更でも手順が煩雑だったりしますよね。でも、そういった面倒な部分をDevinAIに任せられるので、私は自分の「本当の仕事」や「より抽象度の高い課題」に集中できるようになるんです。また、技術的負債の解消にもDevinAIを多用しています。
──最近ではさまざまなAI開発ツールが存在していますが、DevinAIはそれらのAIコーディングツールとどう違うのでしょうか?
スコット:
私の考えでは、DevinAIは他のツールと競合しているというよりは、むしろ補完的な存在だと思っています。たとえば、自分でキーボードに向かってコードを書いているとき、より速く作業したいと思ったら、AI IDEのようなツールを使うと便利です。一方で、あるタスクを丸ごと誰かに任せたいときや、反復的な作業をまるごと手放したいときには、DevinAIのようなツールを使う方が適しています。特に、複数のタスクを並行して処理したいときや、非同期で進めたいような場合は、DevinAIの方が向いているんです。
多くの開発者がこれら複数のツールを併用しながら、うまく使い分けている姿をよく目にしますね。
──他のツールとは、“競合かどうか”という単純な話ではなくて、“補完関係”なのですね。鈴木さんはいかがでしょう?
鈴木:
ユーザー側の立場からしても、同じ意見ですね。私もタスクごとに使い分けてツールを活用しています。
AIとの双方向的なやり取りが必要な細かいUI系のタスクなどはAI IDEを利用しますし、最小限の指示で進められる自己完結型のタスクはDevinを利用しています。DevinAIが他のツールと比べて圧倒的に優れていると感じる点は、複数のタスクを同時に進行できる点です。たとえるなら、複数のメンバーが自分の指示のもとで一斉に動いているような感覚ですね。
──DevinAIはあらゆる用途に使えるAIエージェントですが、特に得意としているユースケースはどのようなものがあるのでしょうか?
スコット:
現時点で最も適しているのは、小規模なタスクやプロジェクトではないでしょうか。たとえば、フロントエンドの修正や機能追加などですね。DevinAIは実際にフロントエンドをクリックして動作を確認できるからとても便利なんです。
ウムト:
スコットの意見には同意で、加えて私からも少し補足させてください。DevinAIには特に「ゼロからイチを作る」ようなケースで驚かされました。たとえば、自分がアーキテクトになったつもりで、DevinAIに「このプロジェクトをイチから作って」と頼むと、DevinAIはベストプラクティスに従って設計してくれるんです。「変数名どうしよう…」というような、古典的な悩みもちゃんと解決してくれます。だから、とてもスムーズに作業が進められるんです。
──一方で、DevinAIを使用する際はどのような点に注意すべきでしょうか?
ウムト:
DevinAIはあくまで「ジュニアレベルのエンジニア」と考えるべきで、
それに応じた接し方をする必要があると考えています。もちろん、DevinAIはこれまで私たちが使ってきたAIツールの中でもずば抜けて優秀です。
でも、それでもミスをすることはあります。だからこそ、ユニットテストのカバレッジが重要なんです。
スコット:
私たちもDevinAIのことを「現時点ではジュニアエンジニア」だと考えています。研究チームとしては、2025年の終わりまでにDevinをシニアエンジニアのレベルに引き上げることを目標にしています。
そのうえで、DevinAIを人間のエンジニアチームと同じように扱う「プロセス」がとても重要だと考えている。たとえば、レビューなしに本番環境に出すべきではない、などですね。人間のエンジニアも本番環境のデータベースのパスワードをいきなり渡したりはしないですよね。DevinAIも同じで、まずはローカル環境でテストするようにしています。
もちろん人間のエンジニアもミスをしますし、DevinAIも同じです。だからこそ、しっかりと「安全な箱」の中で作業させて、ミスのリスクを最小限に抑えることが重要なんです。
──「エンジニアが将来的に不要になるのでは?」という議論や予測も出てきています。皆さんは、このテーマについてどのように考えていますか?
ラッセル:
いま私たちは「エンジニアリングの黄金時代」に突入していると思っています。将来的には、今よりもはるかに多くのエンジニアが存在するようになるでしょう。ただ、仕事内容は現在と比べて大きく変わると思います。
スコット:
よく「うちの子どもは今、コンピューターサイエンスを学ぶ意味はありますか?」という質問を受けます。私たちの答えは決まって同じで「絶対に学ぶべき」と答えています。
コンピューターサイエンスの基礎は、実は「特定のプログラミング言語を学ぶこと」ではないんです。もっと大事なのは「問題をどうやって解決するか」を学ぶことです。具体的には、問題を要素ごとに分解する力や、良いアーキテクチャと悪いアーキテクチャを見極める力、それぞれの課題に対してどのような解決策が最適かを考える力などが挙げられます。コンピューターサイエンスでは、そういった思考法を身につけることが、実は本質的には重要なんです。
これらのスキルは将来も変わらず重要で、むしろ今後ますます重要になると考えています。そういった基礎が身についていれば、多くのソフトウェアを効率的に書けるようになるからです。
ラッセルが言ったように、スキルセット自体は少しずつ変化するでしょう。でも、その多くは実装というよりも「本質的な問題解決」にシフトしていくはず。これは、多くのソフトウェアエンジニアにとって、最もワクワクする部分なのではないでしょうか。
鈴木:
私も2人の意見に同意です。加えて自分の意見として「エンジニアが不要になることはありません」とお伝えしたいです。
しかし、世界の在り方はすでに変わり始めています。エンジニアが「いなくなる」のではなく、エンジニアという職業・仕事内容が大きく変化し始めているという感覚です。私達は今、「エンジニアが自分でコードを書く」から「AIに指示してソリューションを実装させる」という変化の真っ只中にいます。。。
このような変化は、私たちの分野における過去の技術的な移行——パンチカードからアセンブリ言語、高水準言語、そしてフレームワークへ——と同じような流れになっています。いずれの変化においても、エンジニアの仕事内容は変化こそしても、なくなることはありませんでした。
私は、エンジニアリングの本質は問題解決だと考えています。だからこそ、ツールや仕事内容が変わったとしてもその根本的な価値は変わらないと信じています。。
スコット:
そうですね。今、学んでいる人やこれから学ぼうとしている人にとって最も重要なのは、できるだけ早く新しいツールを学ぶことです。すでに今日の時点で、「AIを使ってコードを書くこと」が、AIを使わない場合と比べて飛躍的に優れているのは明らかです。今後、その差はますます拡大していくでしょう。
だからこそ、それらのツールと私たち自身も一緒に成長していけば、当然その分だけ受けられる恩恵もどんどん大きくなっていくはずです。
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