株式会社wevnal ‐HQ‐導入事例
生産性・開発力向上のためには投資を惜しまない。採用良化・リテンションにも繋がった、「エンジニア福利厚生」 【株式会社wevnal 】
https://hq-hq.co.jp/casestudy/wevnal
2024年末からAI駆動型開発に取り組んできたwevnal(ウェブナル)。それ以前から生成AIを積極的に開発プロセスにも取り入れてきたとはいえ、実務にまで落とし込むことはそう簡単なことではありませんでした。
現場のメンバーはどのように生成AIと向き合い、どのようにAI駆動型開発をしているのか、「BOTCHAN EFO」チームの3名のエンジニアに振り返ってもらいました。
<プロフィール>
齋藤椋汰
BOTCHAN EFO チームリーダー/エンジニア
宮城県を拠点に10年間エンジニアとして従事する。各プロジェクトのバックエンドに主軸を置きつつ、フロントやインフラ、QAから、時には人事領域まで幅広く貢献する。前職では業務効率化プロジェクト推進の一端を担い、年間およそ600万円に相当する業務時間の削減を達成。2023年4月にwevnalへ入社。BOTCHAN Keeperのバックエンドエンジニアとして従事。KeeperのAPI開発業務や保守対応などを経験後、BOTCHAN EFOへ異動。
森近楓
BOTCHAN EFO テックリード/エンジニア
大学在学中は情報系学部に所属し、流体解析について研究を行う。卒業後は配送業向け SaaSの開発に携わり、バックエンド、フロントエンド、インフラの開発から顧客折衝・要件定義まで幅広く対応。2024年1月にwevnalへ入社後、BOTCHAN Keeperの開発チームで要件定義から設計・実装まで担当後、Cart Platformチームでの機能開発を経てBOTCHAN EFOチームへ異動。現在はテックリードの役割を担う。
石原史彌
BOTCHAN EFO エンジニア
大学在学中からwevnalへWebエンジニアのインターン生として参加し、BOTCHAN Keeperの開発業務を担当。2025年4月より新卒として入社し、BOTCHAN EFOへ異動。
——BOTCHAN EFOチームでは、これまでどのように生成AIを活用してきたのでしょうか?
森近:wevnalでは、以前から全エンジニアに生成AIによるコード補完ツールが付与されておりました。2024年9月に発足したBOTCHAN EFO 開発チームも、個々で生成AIツールの活用や検証を進めたり、チーム内で話題に挙がったツールを実用できるか検証しています。
生成AIを活用したAI駆動開発に最も大きな影響を与えたのは、2024年12月に「Devin」がリリースされたことです。個人が簡単な開発タスクや調査で利用するほか、AIで実際にお客様に提供するプロダクトの開発を代替できないか検証を始めました。
当時のDevinは品質を安定させるのが非常に難しく、一旦は完全に開発を代替するのは難しいという判断をしました。しかし、2025年2月にClaude 3.7 SonnetというAIモデルが発表されると、AIの能力が大幅に向上し、それに呼応するようにAI周辺ツールも充実していきました。この動きを見て、BOTCHAN EFOもAI駆動開発ができるのではないかと、再度検証を行っています。
現時点でも完全自動化は難しいですが、徐々にAIで置き換えられる開発領域は増えてきています。今後、完全に自動化できるであろう未来を見据え、日々検証を続けています。
——生成AIの活用において、一番大変なことは何ですか?
齋藤:再現性を持たせることですね。弊社では開発以外もAI活用に取り組んでいますが、全員が苦労しています。生成AIへ作業を依頼をして開発を上手く進められたとしても、安定した品質でアウトプットし続けることが難しく、なかなか定型化しづらい、という印象です。
チームとしてはPoCを繰り返すことで検証が進んでいるため、組織としての動き自体は良いのですが、業務のプロセスを大きく変えて、より大きな成果につながるものまでは取り入れられていないのが現状です。
——個人レベルではどのくらい生成AIを活用されていますか?
石原:自分はもともとエンジニア未経験の状態からインターンとして参加した身です。その最初期と比較すると、生成AIがなかった頃に戻れないほど、ヘビーに使っています。当時からChatGPTなどは使用していましたが、加速度的にAIツールが充実してきているここ1年位の変化は、本当に凄まじいと思います。自分たちの業務との相性も考えながら、適宜検証は必要なものの、個人学習などではすぐに効果がでるほど生産性が大きく変わってきており、本当に助かっています。
一方で、生成AIに頼りすぎて、自分が習得しておくべき本質的なスキルや思考力を逃してしまっているのではないか?という怖さはあります。
森近:そこは非常に難しいところですよね。私が新卒の頃は地道に技術を身につけるしかありませんでしたが、今は生成AIからすぐに答えを得られるし、それを自分の知識にできます。
それはとても便利なことですが、一方で、前提知識がないと生成AIが出してきた答えが正しいかの判断ができず、「これで動いているから問題なさそう」と奥に隠れたエラーを見逃す可能性はありますよね。
齋藤:組織的に言えば、最終的な目標は「お客様に価値を届けること」なので、そこさえ担保できれば全ての業務工程における過程は生成AIに任せても問題ありません。例えばいままで人間が担ってきたレビューや実装を、品質を担保できる確証があれば生成AIに全て任せていくべきだと考えています。
部分最適で生成AIを活用することより、組織全体に対してどう生成AIを適用するかを考えていくべきだと思っています。
——現在、AI駆動型開発に取り組んでいると思いますが、どのように開発プロセスに生成AIを組み込んでいるのですか?
森近:既存の開発フローに部分的に生成AIを組み込んでいます。まず私たちの開発に必要な作業をフロー化し、各工程が生成AIで代替可能か検証を行います。検証の結果、開発生産性が向上しそうなものについてはフローの中に取り入れ、徐々にAI代替範囲を広げています。
石原:開発の実装作業の例にすると、実装した結果のレビューを手伝ってもらうようになりました。メンバーが開発したものをレビュワーがチェックするのが通常のフローですが、その間にAIによるレビューを挟むという形です。
チーム全体でのコーディングルールに即した修正や、よくあるミスなど、再現性のある修正はAIが得意とするところなので、全修正の4割くらいは代替できるようになりました。ただ、残りの部分の完全な自動化は案件ごとに特有だったりと再現性のないものが多く、まだまだ改善が必要な部分です。
森近:私たちの開発内容は、一般的なWeb開発とは異なる部分があるので、世の中にベストプラクティスがありません。そのため、生成AIはその実装が良いのか悪いのかの判断を間違えることがあります。都度都度、「こういう実装が良い」と私たちが生成AIに教えてあげる必要があるので、そこが生成AIを私たちの業務に組み込む上での難しいところだと感じています。とはいえチャレンジしていきたいと思っているので、そのジレンマと戦っています。
——AI駆動型開発を実践するようになってから、どのような変化がありましたか?
森近:AIが行ってくれたタスクを人が直さないといけないケースもまだまだあるので、今のところは全体を見ると一概に生産性が向上したとは言い切れません。しかしAIに置き換えることで、半日かかっていた作業が30分で終わるようになった実績もあるので、開発のリードタイムが短縮されたのは事実です。
加えて、生成AIに任せられる部分を任せた分、私たち人間は生成AIができない部分にフォーカスできるようになりました。例えばドキュメントの作成や簡単なリファクタリングは生成AIに任せ、人間の脳のリソースが必要な設計などに注力できるようになったのです。
石原:プログラミングの話でいうと、もっと良い実装方法がないか?という点に集中する時間が増えました。コードを書く時間そのものがAIのおかげで短縮されたので、こんな書き方はどうか?もっとシンプルにコード全体をまとめられないか?と試行錯誤する時間が増えており、よりクリエイティブなことに自分たちの時間を使えることは、楽しい部分です。
森近:開発は結構地道な作業が多いのですが、その地道な作業を生成AIによって自動化できるようになったことによる時間や労力の節約は非常に大きいです。生成AIによって「時間をかけないとできないこと」へのハードルが下がりました。
タスクを適切に分解して解像度を上げれば、生成AIが自動でやってくれるのです。これは当社だけでなく、エンジニア全体にとって大きな変化でしょう。
——いくつも新たな挑戦を続けていると思いますが、開発体制においてもっとアップデートしたいところは何ですか?
森近:生成AIの技術はどんどん変わっていき、新しい生成AIが出るたびにできることも変わります。チームとしては引き続き生成AIの技術を検証し続け、開発フローに積極的に組み込んでいきたいです。
また、AI技術が目まぐるしく変わっていく状況においては、検証と組み込みのサイクルをどれだけ早く回すかが大事になると思っています。なので、検証しやすい環境自体のアップデートもしていきたいですね。生成AIとの親和性が高いツールとそうでないツールがあるので、そこも見極めていきたいです。
石原:生成AIを検証するためには、まず触ってみて動かしてみる環境が必要です。僕たちの開発は、案件ごとに異なる開発内容の部分も多いので、どのお客様に対しても適応できるテスト環境がないことは課題かもしれません。慎重になりながらテストするケースもあり、ダイナミックにいろいろ試せないことが悩みです。
森近:いろいろ好きにテストができる広場みたいな所がつくれたら良いですよね。直近では、検証をしやすいようお客様の環境を模したWebページを用意しました。そういう場をいろいろなパターンで用意できると良さそうです。
とはいえ、日本のIT企業全体を見たときに、ここまで生成AIの検証をさせてくれる会社はほかにないと思っております。それはCTOの鈴木さんがいち早く環境を整えてくれたからです。社内にAI開発専門のチームがあり、キャッチアップしやすい環境もあるので、その環境を存分に活かしていきたいですね。
——最後に、AI駆動型開発を推進している中、これからエンジニアとしてどう向き合っていきたいとお考えかを教えてください。
齋藤:生成AIをどのように活用できるかが、今後のエンジニアの運命を決めると思っています。目先のタスク遂行を生成AIに任せ、人が考えるべき業務、いわゆるプロダクトや事業へいかに貢献・関与できるかが非常に重要になってくると考えています。
エンジニアとしては、それこそがAI駆動型開発の面白さですし、自身の市場価値を向上させることに繋がりますし、開発に限定せず全てのチームへ横断的なAIによる価値を提供できるようにすることが、これからのエンジニアとしての強さをつくっていくのだと思います。
森近:私たちの仕事は、開発というプロセスを通してお客様に価値を届けることです。それまでの過程は、言ってしまえば何でも良い。自分で必死に手を動かそうが、生成AIに任せようがどちらでも良いのです。
生成AIは結局のところツールでしかなく、大事なのは何をつくるか。同じ価値を同等の生産性で提供できるのであれば、それをどう実現するかはあまり重要ではないと個人的には思っています。
その上で、エンジニアはどういったスタンスで開発に取り組んでいくべきかを考えることが楽しいですね。目先で取り組んでいる開発業務は、時がくれば生成AIによる自動化で代替できるだろうと可能性を感じています。
生成AIが当たり前になってくると開発フローも大幅に変わっていくことが予想されるので、人間がどう生成AIに適応していくか考え続けることがエンジニアに必要なスタンスになるでしょう。その変化も楽しんでいきたいですね。
石原:AI駆動型開発は可能性の塊だと思うので、どんどん検証を進めて突き進んでいきたいです!
森近さんが話した通り、どうつくるかより何をつくるかが問われると思います。世の中に価値が提供できるものが何かは、今ある方法論にとらわれず柔軟に考えて行きたいです。日々技術が進歩していくなかで自分がキャッチアップしきれているかの危機感はありますが、それを上回る新しさへの好奇心とワクワクがあるので、楽しんで生成AIを使い倒し続けたいですね。
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