ペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む一方で、デジタル化によって「これまで大切にしてきたものが失われてしまうのでは?」という不安から、デジタル化を躊躇してしまうケースは少なくありません。紙媒体で発行される社内報もその1つではないでしょうか。
「APP事業部」と「IoT事業部」の2つの事業を軸に成長を続けている、and factory株式会社も例外ではありません。オフラインでの社内コミュニケーションを強みとしていた同社で、リモートワークへの転換によって「紙の社内報」が抱える課題が表面化したと語るのは、広報の熊本薫さん。紙媒体の役割を担う新たなツールとして同社が選んだのがWantedlyの社内報機能「Story」でした。その導入背景とともに、Web社内報がカルチャーづくりにおいて持つ強みを探ります。
強みだったカルチャーが、リモートワークで一転
紙媒体で発行されていた社内報『&LETTER』
――and factoryさんではこれまで、社内報はどのような役割を担っていたのでしょうか?
熊本:弊社では、HRと広報を中心にしたチームで四半期ごとに紙の社内報を制作していました。私が入社してから始めたので、もう4年〜5年になります。代表の青木が「みんなで顔を合わせながら仕事をしたい」という考えだったこともあって、季節に合わせて趣向を凝らした社内イベントを毎月開催するような、オフラインでの社内コミュニケーションが盛んなカルチャーで、それが弊社の強みでもありました。社内報もそのカルチャーの一環で「紙媒体を手渡しする」ことにこだわりを持っていたんです。
こだわった理由には2つの思いがあります。1つは新たに入社したメンバーの紹介を、社内報で行うこと。Web媒体に掲載されることは少なくないかもしれませんが、紙媒体に載る回数は人生でもそう多くないはずで、その特別感を味わってほしいとの思いからです。もう1つは、手渡した社内報が社員の家族や知り合いなど「and factoryを一緒に応援してくれている人」の手に渡り、社員が勤めている会社がどんな会社かを社内報を通じて知ってほしいという思いです。
――これまでの社内コミュニケーションや社内報とは別の方法を模索する必要が生じたということですね。
熊本:以前は、子どもの病気で出社できないときなどにリモートワークの対象を限定していたのですが、コロナ禍以降は基本的に全員在宅勤務へ大きく変わりました。これまでの強みだったオフラインでの社内コミュニケーションが行えなくなっただけでなく、紙媒体ではそもそも手渡しができないうえに、社員に届くまでに情報鮮度が落ちてしまうという問題も表面化しました。
経営陣にも制作チームにも、社内報は重要度の高いメディアで片手間で作るものではないという共通認識がありました。そのため、これまで大事にしていた思いを変えなければならないことに葛藤もありましたが、「同じ思いを伝えられるWeb社内報ができないか」と気持ちを切り替えて、リモート環境下でもきめ細かく社内向けに情報を発信できる新たな社内報ツールを探すことになりました。そのとき、TwitterのタイムラインでStoryのβ版リリースを知ったのです。
担当者からの導入アドバイスが新たな社内報の羅針盤に
――Storyを採用いただいたポイントをお聞かせください。
熊本:β版リリースの情報を見つけて、HR担当経由でWantedlyの弊社担当者を紹介してもらいお話を伺いました。その時点で社内報をWeb化する方法は、3つに絞っていました。1つはG Suiteでイントラサイトを作る方法。もう1つは独自ドメインを取得してオウンドメディアとして構築する方法。そしてStoryです。
それぞれを検討したところ、イントラサイトはデザインがいまいちで読みづらく、オウンドメディアを一から構築するとなるとテンプレートを探すだけでも工数がかかりますし、構築後には継続的な管理・運用の手間が増えるという問題がありました。その点、Storyはデザインが洗練されていてコンテンツも読みやすいうえに構築の手間もかからず、懸念点が初めから解決されていました。
また、採用で積極的にWantedlyを活用していたためほとんどの社員がWantedlyアカウントを持っていたこともポイントになりました。Wantedlyのストーリー機能とほぼ同じUIで、制作側も違和感を覚えることなく導入できるところもよかったです。いつも使っているWantedlyのサービスということで、経営陣の理解も早かったと思います。
ーー社内報を作る担当者の視点で、選んでよかったと思われたところはありましたか?
社内報 Story管理画面から選択できるひな形
熊本:ホスピタリティーの部分ですね。社内報のひな形などが管理ページに掲載されているのですが、ツールをいざ使おうとするときに書き手が何をどのように書いたらいいか、とても丁寧にサポートされています。自社のツールではないのに、すごく愛着が持てるというか。また、1人で手探りで進めていくのは心細いし、リモートだと社内にも聞くにもなかなか聞けない状況で、Wantedlyの担当者さんのサポートがすごく丁寧で心強かったですね。
担当者さんとのお話の中で、「あくまでもこの社内報は『広報が発信する場ではなくて、全員で作っていくものだというポリシー』を最初に刷り込むのが一番大事」というアドバイスをいただきましたね。私から社員に向けて繰り返し伝えていたので、多分、口うるさかったと思いますが(笑)、新しく生まれたStoryの社内報には自分たちもこれから関わっていくものだと認識してくれたのかなと感じています。
雑談に「社内報決定」。Slackスタンプで、社内報との接点を増やす
ーーリモートワーク環境下で社内報作りに社員を巻き込むために、これまでとは違った工夫をされていますか?
熊本:全社でのリモートワーク開始時期が、社内のコミュニケーションツールをSlackへ統一する移行期間と重なったので、コミュニケーションの活性化を狙って、Slack内に「自由帳」というチャンネルを作りました。位置づけは全社員が参加できる雑談部屋です。エンジニアが多く以前からSlackを使い慣れていたAPP事業部はもちろん、別のツールを使っていたIoT事業部やコーポレートチームも巻き込み、これまでのコミュニケーションに近い、気軽に何でも話せる場所が欲しかったからです。
「自由帳」には、仕事中に聴いている曲や、その時々の天候に合わせたお薦めの曲を紹介する元バンドマンが現れたり、今日作った晩ご飯を「#ずぼら自炊日記」や「#夕食」とタグを付けて毎日公開する若い社員が出てきたり、自然と面白い使い方が生まれてきました。最近では「料理の頂上決戦」なんていうのもあります。毎晩、アップされた料理写真についたメダルで点数を競うんです。Slackのスタンプで金銀銅メダルを作り、金メダルが3点、銀が2点、銅が1点というルールで。先日はその最終戦で勝ち上がった社員が、料理の得意な取締役との頂上決戦をしていました。ちょうど今、集計中です。
ーーそのまま社内報のコンテンツになりそうですね。
熊本:まさにそうなんです。自由帳でのイベントややりとりを、社内報で取り上げようと思っています。Storyの社内報ができた日に、Slackで「社内報決定で」というスタンプを作ったんです。社内報に載せたいと思った会話に片っ端から「社内報決定で」と押していたら、それに賛同してくれる人も出てきたので、社内報というワードとの接触頻度を増やして、社内報に対するモチベーションを高められるよう地道にやっています。
ーー社内報コンテンツ化する際には、特に意識されている点はどこでしょうか?
熊本:会社への帰属意識につながる情報発信とは、細かく丁寧に組織のメンバーがどのような人柄なのかを伝えることだと考えています。社員が書いた文章を掲載する際は、クオリティーは担保しつつ、なるべく修正をしないように心がけています。言い回しや語尾の癖だったり、絵文字や顔文字の使い方だったり、小さなこだわりがその人のキャラクターを色濃く表現しているものだと思うんです。
一番避けたいのは「順番が回ってきたから書く」とか「しょうがなく読む」ものに、社内報がなってしまうことです。広報担当のKPIとしての数値目標をクリアできるように努力をしながら、書く人にも読む人にも強制にはならないよう気を配っています。運用面では私を中心に広報担当の2名を合わせた3人で軸を作り、アンバサダーの有志たちで回していく運営体制を構築している最中です。新しく入社したメンバーの中からもどんどん巻き込んで、いつの間にかアンバサダーが20人、30人になっている状態が今の目標です。
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