慶應義塾大学、法学部出身。ロースクール卒業後、司法試験と国家公務員総合職試験(旧 Ⅰ 種試験)に一発で合格し、経済産業省に入省。その後、力をつけるため外資系戦略コンサルティングファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、VISITS Technologies株式会社にてコンサルティングDiv.に従事。
-まずはVISITSという会社について教えてください
VISITSは“人を科学し、セレンディピティ(人生を変える運命的な出会い)を届ける”という理念の基、「VISITS OB」というサービスを提供している会社です。会社名や肩書きではなく、その人のプロフィールに掲載されている過去や今やっていること、将来の夢などから、学生と社会人をつなげるOB訪問のサービスとなっています。
世の中を自由に生きるため手に入れた力
-なぜ弁護士を目指そうと思ったのでしょうか?
元々弁護士になりたかったわけではなく、司法試験が大学時代の私にとってわかりやすい目標であり、ベクトルだったんです。ちょうど私が大学1、2年生の時にリーマンショックが起こり、大企業のサラリーマンたちが次々とリストラされました。父もリストラまではいかないにしても、減給は避けられず、世間の不況の波に、私たち家族も打撃を受けました。漠然と「“利益ばかり追求する資本主義の奴隷”みたいにはなりたくない」と思って。強い資格を取れば社会に左右されず“この世の中を自由に生きれる”、そう思いました。ロースクール時代は、勉強に明け暮れる日々でした。人生でこれほど勉強したことはないだろうという勢いで地道に努力しました。同時に官僚にも興味を持ち始めて、国家公務員総合職試験も受験することにしました。
-司法試験と国家公務員試験をどんな気持ちで乗り越えたのでしょうか?
“一生懸命努力すれば必ず結果が出るし、その先は今までと全く違う世界が見える”。という確信がありました。 その考えに至ったのは、野球の成功体験がベースになっています。私は小学生から高校生までの10年間は本当に野球一筋でした。手は血まみれ、腰も骨がずれるくらい、雨の日も雪の日も毎日欠かすことなくひたすら素振りをしました。 努力の甲斐あって、埼玉のベストナインに選ばれるほど力をつけました。これが自信になったんだと思います。
司法試験や国家公務員総合職試験も同じで、同期は親が弁護士や医者のいわゆるサラブレットばっかり。そんな中、「周りの情報に踊らされずにコツコツと地道に努力すれば絶対に結果は付いてくる。」そう信じて、試験も途中で投げ出さず、すべてやりきりました。努力って本当に裏切らないんです。
広い視野を持ち、果敢に挑戦する
-司法試験を合格したにも関わらず、官僚になりたいと思ったのは何故ですか?
この1億2000万人の人々が暮らすこの国が実際にどのように動いているのか知りたいという純粋な好奇心や、社会貢献がしたいという気持ちからです。ここでは知財戦略の企画立案や法改正を担当し、様々かつ重要な業務を仲間たちと乗り越える充実した日々を送っていたと思います。世間では、官僚に対するネガティブな報道や噂も多いですが、私が霞ケ関で見た仲間たちは皆、本気で日本を変えようとする強い想いを持った素晴らしい人たちばかりでした。そんな人たちと働けることを誇らしく思う一方で、「ベンチャーに行きたい。」と言う気持ちが募っていきました。
-なぜ経済産業省からベンチャーに興味を持ったのでしょうか?
経済産業省では、技術力を持った中小企業やベンチャーの支援施策に携わりました。そこで働くうちに、徐々に、ルールメーカーよりプレイヤーとして挑戦してみたいという気持ちが強くなり、“これからの日本の競争力、活気の源泉となり得るベンチャー企業に行く”という今までの自分にはなかった選択肢ができました。 ただ、その前に「ベンチャーで即戦力として戦える力を身につけたい。」そう思って、ビジネスの最前線で活躍する外資系戦略コンサルティングファームで修行しようと転職を決意しました。官僚時代とは求められるスキルが全く異なるため苦労をしましたが、世界トップクラスの経営戦略を学ぶ中で分析力や企画力など、ビジネスの世界で必要不可欠なスキルを身につけ、念願のベンチャーへジョインしました。
社会を変えたい想い×戦略的な事業
-VISITSに入社を決めた理由を教えてください。
経済産業省で働いている中で、自分はどんな会社に入ってどんな人生を描いていきたいか想像をしたんです。役所では自分のキャリアや仕事は自分で選ぶことが出来ないため、自分の人生を描いていくということが初めての経験でした。自分の人生を自分で決める事ができると思った時に、これを学生のうちから本当はやらなければいけなかったことだったんだと感じたんです。
面接では社長の松本さんに「学生のキャリア観をもっともっと醸成していきたい。学生にとどまらず、一人ひとりの社会人に対しても自分のキャリアってなんだろう?と考えるきっかけを提供できるような世界を作っていきたい。」と言われ、このサービスは自分がこれから人生をかけて行っていくべきサービスだと肌で感じました。
しかし、想いだけで上手くいくほどビジネスの世界は甘くありません。実はちょうど子供が生まれたタイミングということもあり、この転職は絶対に失敗できないというプレッシャーも感じていました。そこで、想いや世界観だけでなく、ビジネスモデルやサービスをどうやってグロースさせていくのか、そうした点も松本さんに質問しました。そうしたら、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに様々なビジネスの構想を聞かせてくれて。素直に凄いなと思いました。社会を変えようとする想いだけに留まらず、緻密に戦略も描いている。この人となら一緒に世界を変えられるかもしれない。そう思いました。
-それ以外に魅力に思った点はありますか?
ビッグデータやAIを活用し、テクノロジーを駆使した「VISITS OB」に魅力を感じました。ですが、高い技術力があったとしても実行するだけの力が必要で。それには人がやっぱり優秀でなければならない。そう言った意味では、Google、Apple、Facebook、マッキンゼーなどからきた優秀な人たちと切磋琢磨できるVISITSは一人一人が高め合うことのできる最高の環境だと思いました。
また、VISITSはシリコンバレーにもオフィスを持っていて、1年以内にシリコンバレーで戦うということを掲げて動いています。現に今のオフィスにもシンガポール、ベトナム、中国、インド、ベラルーシから人が集まっていて、グローバルに戦える企業ということも魅力的でした。
やりがいを感じられる、学生からの“声”
-VISITSに入ってみてどうですか?
今までの環境とは違い人が少ないため、様々なことをマルチタスクでやらなきゃいけないという大変さがあります。日々いろんな部署の対応をして、とにかく無茶苦茶な状況の中で走らないといけない。自分でも驚いたのですが、この働き方って実は官僚の時と似ているんです。官僚とベンチャーって全然違うと思うじゃないですか。でも実際に両方で働いてみると、似ていることがあって。自分でも驚きましたし、とても面白い発見でした。
また、日々サービスを改善することで学生に「本当にいい出会いがあった」と言ってもらえることが多く、そういった声にやりがいを感じますし私の今の原動力です。大企業に勤めて気づいたのは、大きなプロジェクトに携わることでやりがいを感じられる人とそうでない人がいるということ。どちらかというと私は後者でした。もっと手触り感が欲しかった。学生たちの声で常に自分が“自己実現できてるなあ”と感じられることは、ここで働く中で一番の魅力だと思います。
-これからについて教えて下さい
「VISITS OB」を通して、今の学生の人たちには“色々な世界を見た上で、将来のキャリアを築いていってほしい”です。私は学生時代、社会に対して無知でした。実は、ロースクールに入学して弁護士が働いている実際の姿を見るまで、弁護士の仕事がどのようなものなのか全く知らなかったんです。 でも大学生のうちにインターンなどを経験し、もっと沢山の世界を見ておくことができれば、もっと早く自分の本当にやりたいことを見つけられたのかなと。だからこそ、自分自身の経験を踏まえて一人でも多くの学生に世界の広さ、面白さを知り、本当にやりたいことを見つけてもらうことが、私のVISITSで成し遂げたいことです。
私たちは、“人を科学し、セレンディピティを届ける”というミッションを達成しようとしています。これは既存業界の常識や今までにあるサービスの改善の枠では達成できない、まさにイノベーティブな挑戦です。このミッションを達成するためにVISITSには、様々なバックグラウンドを持つ優秀なメンバーが集結しています。業界だけでなく、世界を変えていくような仲間を募集中です。