un-T factory!
un-T factory! x Hokuto Hirano 「世界文様旅行」それは、世界中に存在する伝統文様を巡る新しい体験。
https://www.un-t.com/patterns/
ブランディングやデザイン制作に関わる様々なテーマを取り上げ、ゲストとともにトークを展開。リスナーの皆さまの視点でテーマと向き合えるよう、これからのアンティーグループを担うリーダーや若手をゲストとして招待し、クロストーク形式で進めていきます。これまでの経験や実績に裏付けされた、知識、ノウハウも交えながら分かりやすくお届けします。
un-T Podcast 特別編として、名古屋からもう1人のCD堀田さんにも参加いただき、「2人のCDの部屋」をお届けしています。
正解も不正解もなく、クリエイティブについてただただ語るだけの“気軽なトークルーム“です。
ぜひお気軽にアクセスしてみてください!
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テーマとポイントをリストにしています。どんな内容で盛り上がったのか、ちょっとだけ覗いていただき、詳細は、ぜひ、Apple Podcast / Spotify / YouTube にてお聴きください。YouTubeのコメント欄にはショートカットリンクも掲載しています。テーマを選んで聴いていただくことも可能です。ぜひ、ご利用ください。
0:00~ オープニング
前回から、もう1人のCD堀田さんにも名古屋からご参加いただき、un-T Podcast 特別編「2人のCDの部屋」をお届けしています。
正解も不正解もなく、クリエイティブについてただただ語るだけの“気軽なトークルーム“です。
特別編のスタートを飾る企画として、只今「正解のない相談室」をお送りしています。アンティーメンバーの25の質問に、ひたすら答えております。今日は、全3回の内の2回目となります。脳トレみたいになっておりますが、本日も頑張ってお答えして参ります。
よろしくお願いします!
1:01~ ホストの自己紹介
【名前】水野 可奈子(みずの かなこ)
【所属】アンティー・ファクトリー/アンティー・デザイン 東京オフィス
【職能】ブランド コンサルタント兼クリエイティブディレクター
1:14~ ゲストの紹介
【名前】堀田 祐介(ほった ゆうすけ)
【所属】名古屋 プロデュース&サービスデザイン 第1事業部(NPSD1)
【職能】コピーライター兼クリエイティブディレクター(以降、CD)
2:14~ 本編トーク「正解のない相談室」
アンティーメンバーの25の質問に答えます!第2弾
質問一覧(8問/25問)
Q1. タイムマシンがあったら、この仕事を始める前の自分にどんなアドバイスをしますか?
Q2. つくるうえで「譲らない」ことはありますか?
Q3. 過去に「これはクリエイティブだったな」と感じられた事例はありますか?
Q4. AIが浸透していくことで、制作環境やクリエイティブの進め方が大きく変わっていくと感じています。
従来の“コンセプトで絞り込んでからつくる”というアプローチから、AIによって“まず全部試してみる”という物量型のアプローチが可能になる中で、クリエイティブディレクションの役割や、そもそも「コンセプトの存在意義」自体も変化していくのではないかと考えています。
こうした変化を踏まえて、これからのクリエイティブやCDの役割はどう変わっていくでしょうか?
Q5. AIの文脈でもう1つ質問です。
誰でも、ある一定の“綺麗なもの”をつくれる時代になったとして、何をもって上質といえるのでしょうか?
Q6. 業務でクリエイティビティを発揮するために日頃から意識していることや実践している習慣はありますか?
Q7. 型を破ることに対する嗅覚や行動力について、お考えを伺いたいです。
XA(Experience Architecture エクスペリエンス アーキテクチャ)として、言われた実装をこなすだけでなく、「もっとこうできるのでは」「こうした方が良いのでは」といった技術的な視点から提案していくことも大切だと考え、できる範囲で意識して動くようにしています。
まずは堅実な実装を行い、安定性や信頼性をしっかり担保することが前提だと思いつつも、堀田さんから教わった「うどんとそば」の話のように、一歩踏み込んだ提案や、既存の枠を超える工夫もしていけたらと思っています。
ただ、奇を衒うだけの提案にならないようにすることも大事だと感じていて、そのあたりのバランスや、提案の際に意識すべき視点・判断基準など、日々どんなことを意識されているのか、お聞きできたら嬉しいです。
Q8. 忘れられない広告はありますか?(CM、グラフィック、コピー なんでも)
2:37~
Q1. タイムマシンがあったら、この仕事を始める前の自分にどんなアドバイスをしますか?
ー 水野
洒落た質問!!クリエイティビティのある質問ですね。
堀田さんどうですか?
ー 堀田
世の中を未だ良く分かっていなかった20代の頃の自分に「あなたが今やっている仕事は、もれなく泥臭い仕事だよ」みたいなことを伝えたいかもしれません。
クリエイティブ業界の仕事は、外から見ると一見綺麗に見えるかもしれませんが、実際のところは以外と人間臭いです。
今だったら分かることも沢山ありますが、仕事を始めた当時は、何を言ってるのか分からないお客さまがいたり、少し高圧的に見えるお客さまがいたりしました。
この状況に対して、かつての自分に「相手が全て分かっていたら、そもそも仕事を頼まれない」「分からない領域があるからこそ仕事として振っていただける」「お金をかけてまでつくってほしいと思ってもらえるんだよ」と伝えたいです。
ー 水野
素晴らしい。
ー 堀田
解きほぐしながらやっていくのが仕事かなと、今になってようやく分かってきたところはあります。
ー 水野
なるほどなるほど。面白いです。
ー 堀田
水野さんはどうですか?
ー 水野
私は、この業界に入った頃の自分に「周りにどんなことを言われても、迷わず、疑わず、自分がワクワクすること、魂を燃やしたいと思うことをやれ!」と言ってあげたいです。
私がこの仕事を始めようとしていた頃は、デザインの領域がまだ狭く、皆が「実際に手を動かして表現することがデザインだ」と思って疑わないような時代でした。
ですが、今は広がっています。私がやっているコンサルティングみたいなことや社会やコミュニケーションをデザインするといったようなことも含まれるようになり、改めて、当時から自分はこういうことをやりたかったんだなと感じています。
当時は前例がなく、領域にタイトルもなかったので、あっちに行ったり、こっちに行ったり、遠回りをして悩みながら自分のやりたいデザインの領域を探っていたように思います。
ー 堀田
水野さんのお仕事を拝見していると、そういう風にやってきた感じがしますね。
ー 水野
いや、人から見るともう十分だろうと思われるかもしれませんが、自分の中では「もう少し強くなりたい」「どうかな・・・」と思うことがまだいっぱいあって、意外とぐじぐじしているのですよ、笑。
私と堀田さんが昔の自分にかけてあげたいと思っている今日の言葉は、裏を返すと「これまでのキャリアの中でお互いが一番悩んだこと」かもしれませんね。
ー 堀田
確かにそうですね。当時は、良く分からないことを言われて、もう対処できないのじゃないかとすごく悩んだりしましたが、今も模索中ではありますが、ようやく、少しずつ少しずつ善処しているように感じます。
8:17~
Q2. つくるうえで「譲らない」ことはありますか?
ー 水野
今回は私からいきましょうかね。
これはもう1つしかないです。「自分がダサいと思ったものは、絶対にそのまま出さない」「出したら終わり」と思っています。
ただ、仕事にはスケジュールをはじめいろいろな制約があるので、その時の状況によって、めっちゃカッコいいの度合いは変わってくると思っています。
でも最低限「微妙」「自分が見てカッコよくもなんともないな」「ダサいな」と思うものは嫌だ、それだけは絶対にやらないと決めています。
ー 堀田
「微妙」のラインはいくつかあるように思うのですが、そこはいかがでしょうか?
ー 水野
プロとして出してはいけないレベルみたいなところですかね。
他の人が見たら「え?どこが?」というレベルかもしれませんが、やはり、自分が見て嫌だと思うものは出しません。
自分を信じていると言ったらあれですが、責任もありますし、出さないと決めています。
ー 水野
そういえば、先日、クライアントとの食事会でこんなことを言われました。今の話に通ずることがあり思い出しました。
営業職をずっとやられている方が「正直、自分はデザインの良し悪しに関してそこまで判断がつかない」「ある一定のラインを超えると、どっちがカッコいいとか、どっちが美しいとか、正直分からない」と仰っていました。
一瞬驚きましたが、改めて考えてみると、多分、世の中にはそういう人の方が多いのだろうな。それはそうだよなと思っています。
私たちは、仕事の中で微妙な見極め「美しさの違い」や「デザインの良し悪しの違い」を判断する力をつけてきましたが、やはりそういう人ばかりではないんだと改めて思いました。
と同時に、見極める力がある人たちは、そこに責任があると思いました。だからその仕事で対価をいただいているわけですし、諦めてはいけない、譲ってはいけないと思っています。
ー 堀田
提案のとき、私たちの言葉を信じて最終判断されるお客さまもいらっしゃいますよね。水野さんの仰る「見極め」に近いところがあるかもしれませんね。
ー 水野
堀田さんはどうですか?何かありますか?
ー 堀田
そもそも私は「譲る」「譲らない」という指標を持たないようにしています。
全てはフラットで、年齢、経験、立場、背景とかそういうのもなく、「偉い人が偉い」ということもなく、「面白い人が一番偉いんだろうな」と思っています。
ー 水野
うーんすごい。堀田さんらしい。
ー 堀田
なんかそういう風に、シンプルでフラットな世界だと思うのですよね。
新人の方がハッとするような意見を言うこともあるので、そういうところもちゃんと取り入れていけることが重要かなと思っています。そこの門戸を開けておくじゃないですけど、フラットでいたいです。
ー 水野
今っぽいところもあって良いですね。
私の暑苦しさと対照的で羨ましいなって思います、笑。
ー 堀田
あえて言えることがあるとすれば、私は「表現者」ではなく「代弁者」と思っていて、意識して黒子に徹しているので、このあたりが影響しているかもしれないです。
ー 水野
でも、その場合でも「結局何が良いものなんだろう?」「これは違うだろうな」みたいな見極めみたいなことはしないといけないですよね?
ー 堀田
はい、そうですね。それはあれですね「代弁者」でありますので、依頼主の肉声を聞くようにしています。そこに対してすごくコミットしている感じはあります。
よく、社長インタビューのような企画で明らかにライターが書いていると分かってしまう文章ってありますよね。ああいう形のものにはしないと決めています。
どれだけ本人の肉声が聞こえてくるかが重要。たとえ文章が美しかったとしても、本人が言わなさそうだったらそうしないということですね。
それは、デザインも同じだと思っています。企業の肉声が聞こえてこないものは選ばないです。
ー 水野
それが堀田さんの譲らないことですね、笑。
ー 堀田
はい、そうですね、笑。
ありがとうございます。
17:10~
Q3. 過去に「これはクリエイティブだったな」と感じられた事例はありますか?
ー 堀田
「見積りはクリエイティブだ!」と仰っていた方もいましたね、笑。
ー 水野
いましたね。「見積りはデザインだ!」と仰っていた方がいましたね、笑。
ー 堀田
いろんな観点があるなと思いますが、水野さんいかがでしょうか?
ー 水野
これは、自身の作品からで良いのですよね。そうであれば、沢山ある中からパッと思い浮かんだものがあります。
クライアントワークではないのですが、かなり前、アンティーが東京デザインウィークに連続出展していた頃にプロジェクションマッピングみたいなことをやったことがありまして、当時、Kinect(キネクト)とかが話題になっていたときでした。
「世界文様旅行」というタイトルだったと思います。ジェスチャーでプロジェクションされている映像を動かすという仕組みで、世界中にある幾何学模様をマッシュアップして楽しむ没入型の映像体験コンテンツでした。
すごく楽しくて、時々思い出しては「いや、あれは結構面白かったんじゃないかな」と自分でも思ったりしています。
ー 堀田
美大の展示のような感覚、良さがありましたね。
ー 水野
そうなのですよね。本当に美大の展示のような感じで、最近はなかなかできていませんが、面白かったなと思っています。
堀田さんは何かありますか?
ー 堀田
自分の話ではないのですが、1つ忘れられない案件があります。
Webサイトのデザイン提案だったと思います。私もコピーライターとして同席していました。
その席に、デザイナーが巻物になった手書きのデザイン案を持ち込み、机の上に広げたのですよ。そしたら、長すぎて机の上から転がり落ちてしまったでのす。その瞬間、爆笑が起き、お客さまが「ああ、見なくて良いよ、オーケー」と言ってくれました。
とても厳しい方だったのですが、そこまで考えてくれているという行為自体に感動してオーケーをくださったのだと思います。
この時「やはり、クリエイティブにはこういう力があるんだな」「いろいろなことを飛び越えて価値を生んだりするんだな」と感動したことを強烈に覚えています。
ー 水野
あれですよね。そこには一定の信頼関係がそもそもあったっということ。
そして、その方にとっては、何が出来上がってくるか以上に、信頼できる人がどれだけ熱量を込めて考えてくれているのかということの方が重要だったのでしょうね。
堀田さんのエピソードから、いいちこのアートディレクター「河北秀也さん」の本にあった、クライアントとクリエイターの関係性が語られている節を思い出しました。「この関係性はとても大切なもので、ある意味、クライアントが自分たちクリエイターを育ててくれている」という話をされています。
言葉の使い方が合っているかどうか分かりませんが、クライアントがクリエイターのパトロンになってくれているというか、つくる人たちを信用して育ててくれているように思います。
良いクライアントというのは、そういう存在でもあるなと、今日思いました。
ー 堀田
そうですね。そういうことがあるからこそ、こういう仕事は、ずっと新鮮であるのかなと思います。毎回起こるものではないのですが、たまに起こるとすごいなと思います。
ー 水野
そうですね。そういう真剣なクライアントと仕事できる場面ばかりではないですからね。担当者によるところがありますね。サクサク業務をこなしたいと思われている方もいらっしゃいますしね。
ー 堀田
そうですね。毎回、巻物を出してはいけないですよね、笑。
出すべきところを見極める必要がありますね。
ー 水野
うーん素晴らしい。良い話をありがとうございます。
次にいきましょうか。
26:42~
Q4. AIが浸透していくことで、制作環境やクリエイティブの進め方が大きく変わっていくと感じています。従来の“コンセプトで絞り込んでからつくる”というアプローチから、AIによって“まず全部試してみる”という物量型のアプローチが可能になる中で、クリエイティブディレクションの役割や、そもそも「コンセプトの存在意義」自体も変化していくのではないかと考えています。こうした変化を踏まえて、これからのクリエイティブやCDの役割はどう変わっていくでしょうか?
ー 水野
これはもう最近のテーマなので、常に考えているところなのですけど「AIによってクリエイティブの捉え方が変わっていく、現場でのワークフロー自体も変わっていくだろうな」と思っています。
ただ、AIは、たまたまそこに現れた1つの大きなイシューなだけであって、実はそれ以前からこの変化は見られたとも思っています。
アンティーでも最近やっていますが、クリエティブ業界全体が「共創のアプローチ」の流れになってきていると思います。
デザインの民主化とも言われていますが。ある特殊な才能を持つ人たちだけでクリエイティブをつくる時代は終わり、間違いなく、万人で一緒に何かをつくっていく流れになってきていると思います。そこにAIが登場し、益々その流れが加速し、そういったやり方がやりやすくなってきているのかなと思っています。
以前のように、CDが正解を導き出した後、それに向かって皆で力を合わせて実現させていくのではなくて、デザイナー以外の人がデザインのことを考えてもいいし、コピーライター以外の人がコピーのことを考えてもいいし、誰がどの役割をやるということを決めず、皆で考えを出し合い、それをAIによってどんどん形にしていく。つくりながら考えていくスタイルになっていくのだと思います。
唯一無二の存在であったコンセプトの存在意義も変わってきています。北極星のようにいつも決まったゴールを指し示すものではなく、常に変化していくものとなってきています。
そうなると「CDの役割は何?」となると思いますが、「CDは、皆のクリエイティブなポテンシャルを引き出す役割になっていくのかな」と思っています。
それは「現場の雰囲気づくりであったり」「つくる順番を工夫することであったり」「一人ひとりが発言しやすい仕組みを考えることであったり」「最後、整えていくところを担うことであったり」、あるいは「クリエイティビティが刺激されるような最初のスイッチを入れる役割であったり」、皆のクリエイティビティを発揮させるための役割みたいなものになっていくのかなと思っています。
自分もそういう風な意識になっていかないといけないと、ここ数年、マインドシフトしているところでもあります。
堀田さんはどうですか?
ー 堀田
そうですね。「AIは集合知であって、起点はつくれない」という話を誰かがしていたことを思い出しました。
AIは、好奇心を持つことができませんよね。これに対して、人間は「これをやりたい」「これが好き」というクリエイティブの起点みたいなもの持つことができます。それこそがコンセプトに近い気がしています。その内容を深めるために集合知であるAIを活用するのだろうなと思っています。
このことからも、人間が「これをやりたい」「これが好き」を持つことが、より重要なことになってくると最近思っているところです。AIには絶対にできないことです。
逆の視点で言うと、AIが出してきたものに対して「そうは言ってるけど、こっちの方がね」と提言できる関係性でいられると良いだろうなと思いました。
水野さんが仰っている「皆で一緒に何かをつくっていく」に少し近いかな、と思っています。
ー 水野
そうですね。次の質問の答えに繋がるのかなとなんとなく思っています。
次にいきますね。
33:08~
Q5. AIの文脈でもう1つ質問です。 誰でも、ある一定の“綺麗なもの”をつくれる時代になったとして、何をもって上質といえるのでしょうか?
ー 水野
誰かが好奇心を持ってつくったもの、その人のストーリーがあるもの、その人が思っていることが伝わってくるクリエイティブというのは、やぱり上質なのかなと思います。
綺麗なもの整ったものは、AIもつくることが出来ると思うのですけど、AIには出せない領域があります。
私は編み物が好きで、常に何かを編んでいます。世の中にコスパの良いセーターなど沢山あるのになんでだろうと考えたとき気が付きました。
手編みには不揃いさがあります。でも、その不揃いさに「愛着」が沸くし、そこから「温かさ」も生まれてきます。完璧じゃないから良いのですよね。手づくりにしか出せない味があります。
上質さの先にある上質とでも言うのでしょうか。完璧ではない、人がつくるがゆえに少しいびつであったり、不格好であったりしますが、だからこそ思いが伝わってきて、上質さを感じます。
そういうものが上質なのかな、と思っています。
ー 堀田
なるほど。私も、水野さんと近いところがあります。
古着屋さんにスーツを着て行ったら浮いてしまう。一方、フォーマルなところに古着を着て行ったら怒られてしまう。
このように、ふさわしいというか、そこに最適であるかどうかというところが質なんだろうなと思っています。
綺麗なものが必要なところには綺麗なもの、カジュアルさが必要なところにはカジュアルなものがふさわしい。そこに対して最適であるかどうかということが、これからの上質に繋がっていくのだと思っています。
それに対しての振る舞いがどうかな、というところにはなってくるかと思います。
ー 水野
改めて1つ前の質問「これからのクリエイティブやCDの役割はどう変わっていくでしょうか?」に戻ってみます。
最近「ものをつくれる人間だからって、お前がつくったものばかり押し付けるなよ」「少し引っ込んどけよな」と時代に言われているような気がしてしょうがないのですよ、笑。
気持ち的には「分かったよ」「皆がつくるんだったらもうそれを見守る」「皆の才能を引き出す方に回るよ」と、少し拗ね気味だったりもするのですけど、笑。
その一方で、皆の才能を出し合ってものづくりすることの大切さや豊かさはすごく分かっています。
ただ、私の中にあるつくりたい気持ちも健在で、もう毎日毎日つくることばかり考え、アイディアも沸き出てきて「私にどうしろと言うの?」みたいな葛藤もあります、笑。
ー 堀田
「皆がつくるのを見守ること」「自分の中にあるつくりたいを形にすること」この両方が大事なのですね。いずれも、AIにはできないことですね。
でも、好きが勝ってくるのでしょうね。他がやってないというのは、もう本人が好きかどうかどうかということだけなのですよね。そういうことになってくるんだろうなと。
先ほど古着屋さんの例を出しましたが、古着屋さんにスーツでいたいよという人にはめちゃくちゃ良いスーツを仕立てるべきなのだろうなと思います。例え場違いであったとしてもそれが最適なのだと思います。そういうところが大事ですね。
ー 水野
一見、そんな人がどんだけいるんだよ?と思うようなことが、意外と面白い価値を生み出していったり、新しいものに繋がっていったりする可能性がありますよね。
ー 堀田
はい、そうですね。
ー 水野
ありがとうございます。
次にいきたいと思います。
38:11~
Q6. 業務でクリエイティビティを発揮するために日頃から意識していることや実践している習慣はありますか?
ー 堀田
水野さんどうですかね?
ー 水野
これ、私あります。
前も話したかもしれませんが、お花を飾ることを何歳くらいからか始めました。
自分のクリエイティブの癖みたいなところがありまして、生け方が作為的なんですよ、笑。狙ったねみたいな感じ。テクニックに走りがちで、鼻につく。
昔から良く分かっていて、克服したいなと思っていたときに、撮影でスタイリストさんと一緒に花を生ける機会がありました。その方のセンスが無作為で素敵で、これは自分にはない、これだと思いました。
お花は、もともと自然に生えている姿が一番美しいわけじゃないですか。それをわざわざ切って花瓶に生けるわけなので、自然に生えていたときよりも美しい状態にしてあげないと可哀そう。でも、作為的に飾るとそうはならない。もともと持っているその花の一番美しい状態は何なのかっていうのを汲み取り、自分の作為から離れて生けることが大切。
その鍛錬になるなと思い、お花を部屋に飾る習慣を今も欠かさないようにしています。
ー 堀田
作為的なものからどれだけ離れ、本来の良さをどれだけ出せるか?日々の視点になっているということですかね。
ー 水野
そうですね。直感を磨くようなことになっていると思います。
ー 堀田
いや、すごいですね。
それを繰り返していると良い視点が身につきそうですね。
ー 水野
そうですね。堀田さんは何か習慣はありますか?
ー 堀田
習慣とは少し違うかもしれませんが、前回もお話ししたようにゲーマーでして、ゲームの時間を大事にしています。言葉のリズム感などゲームから受ける影響は大きいです。好きなことは忙しくてもやるというところですかね。
また、仕事に従事しているときは「親に自慢できるかな?」「世間に顔向けできるかな?」という視点を大事にしています。普通の人たちがどんなことを「良いな」「嫌だな」と思うか考えるようにしています。
ー 水野
つくり手の視点を離れて受け手の視点に立つ意識みたいなことですかね。
ー 堀田
そうですね。あとは、クリエイティブの業界ではなく、私の両親のような一般の人に「良いよね」と言ってもらいたいというのはあります。
ー 水野
うーん、素晴らしい。
この回答は、奇しくも次の質問につながっていくのではないかと思っています。
読んでみます。
43:40~
Q7. 型を破ることに対する嗅覚や行動力について、お考えを伺いたいです。 XA(Experience Architecture エクスペリエンス アーキテクチャ)として、言われた実装をこなすだけでなく、「もっとこうできるのでは」「こうした方が良いのでは」といった技術的な視点から提案していくことも大切だと考え、できる範囲で意識して動くようにしています。 まずは堅実な実装を行い、安定性や信頼性をしっかり担保することが前提だと思いつつも、堀田さんから教わった「うどんとそば」の話のように、一歩踏み込んだ提案や、既存の枠を超える工夫もしていけたらと思っています。 ただ、奇を衒うだけの提案にならないようにすることも大事だと感じていて、そのあたりのバランスや、提案の際に意識すべき視点・判断基準など、日々どんなことを意識されているのか、お聞きできたら嬉しいです。
ー 水野
まず、「うどんとそば」の話について堀田さんから簡単に説明をお願いします。
ー 堀田
これはですね、提案のアプローチを「うどんとそばとカレーの話」に例えた話となります。
お客さまから「うどんが食べたい」と言われたら、素直にうどんをつくってみる。
続けて「そばも良いと思うのですけどね」とアレンジする。
「もしかしてカレーの気分ではなかったですか?」とジャンプする。
この三段階を踏むことが大事。
いきなり、そば、カレーを出してしまうと信頼されないので、まずは、基本としてうどんからつくってください。カレーまでいけたら良いですね。という話です。
ー 水野
ありがとうございます。
この方のお悩みは「型を破ることに対して、どういう風に破っていくべきなのか?」というところですかね。
これに対して、何か答えはありますか?
ー 堀田
あの、今の「うどんとそばとカレーの話」に近いです。
要は、型があるから「型破り」と言えるのですよね。2つ以上あるものに対して変化が生まれる。そこに差があるから目立つ。基準があるから奇抜に思える。まずは、しっかり基準をつくることが大事だと思っています。
それをどう破るか?ということに対して「型破り」が生まれると思うので、二段階踏む必要があると思います。
そのためにも、まずは、しっかり基本を押さえることが大事だと改めて思っています。
ー 水野
アンティーの理念ブックにある「守破離の精神」にも通じますね。まず「守」から入る。いきなり「破」「離」にいかない。
ー 堀田
そうだと思います。うどんが欲しいと言ったのに、いきなりカレーが出てきたら、お客さまは、びっくりすると思います。単に奇を衒っただけになってしまう。だから、素直にうどんをつくる。
その後で「そばはどうですか?」「カレーの気分ではなかったですか?」と提案していく。「うどん」「そば」「カレー」この三段階が大事。
もう1つ思っているのは「好きなもの」だけでなく「嫌いなもの」も自分の中に貯めておけると良いなと思っています。
「なぜ嫌いなんだろう?」と考え、その嫌いを超えられるとすごく良いものになるのではないかと思っています。「嫌いなもの」を意識しておけると、奇を衒うだけにはならなくなってくると思います。
奇を衒うというのは、相手の期待ありきだと思うので、相手の期待を良い意味で裏切るためには、嫌いと思われてはいけないわけで、自分に対して嫌いと思っているものから離れ、乗り越えられたら、良いものになっていくと思います。
ー 水野
堀田さんが言う「嫌いなもの」は、自分が嫌いなものですか?お客さまが嫌いなものですか?
ー 堀田
両方あると思っています。「気持ちが悪い」とか「心地が良くない」とか、嫌いなものはだいたい共通していると思います。好きという感覚よりも共有されやすいと思っています。
好きという感覚を自分の中に貯めておくことも大事ですが、嫌いと思っていることもしっかり貯めておくことが大事かなと思っています。
ー 水野
貯めておいた「嫌いなもの」が、ジャンプするための何かのきっかけというか要素になる可能性もあるということですかね。
ー 堀田
奇を衒った結果、気持ちの悪いものになる可能性もありますよね。でも、奇を衒ってもやはり気持ちの良いものにならないといけないので、そういうところで言うと、嫌いに対する意識の方が強いかもしれません。
変化球を投げると、変化球は本当に変化球で良く思われないという話も良くあると思います。そこには、嫌いなゾーンが少し入ってしまっているのではないか思います。
奇抜なものに好きを貯めていきがちですが「この奇抜は嫌いだな」を意識できることが大事なのだと思います。
ー 水野
もしかしたら、今の話につながるかもしれませんが、私の中の答えも1つしかないです。
「相手を丁寧に良く見て理解する」
型を破ることに対してどれくらい型を破れば「気持ち良い型破りになるのか」「気持ち悪い型破りになるのか」、毎回違ってきます。
その答えがどこにあるかというと、それを受ける人たちを理解した先にあります。
相手によって全然違い、変わってくると思います。
相手が気持ち良いと思ってくれる型破りが見えてくる瞬間が絶対にあるはずです。そこを丁寧に見ていくことが重要だと思います。
ー 堀田
そうですね。良い意味で裏切るということもありますが、クライアントのブランドがありますので、そこは絶対に守り、継承していかないといけない。そこを破っても始まらない、崩してはいけない、絶対的な領域がありますね。
ブランドとして守っていくべきことを大事にしつつ、どうやって既視感をなくしていくかということですかね。
ただ、人間は飽きてしまうので、同じものをずっと見ていることが出来ず、揺れてしまうというところはあるかと思います。
ー 水野
そうですね。潜在的に何か面白いものと出会ってみたいという期待があるからアウトソーシングするのですよね。そこの意識は持っておくべきだと思います。
お客さまの中だけでも考えられるものを提案し、なんとなくアンパイを狙うんだったら、少しずれていても型破りな提案をしていく方が、私は面白いと思っています。
ただ、それが、先ほど堀田さんが話してくれたような嫌悪感を伴うものであるとナンセンスとなってしまいNGですが。
そこは、本当にセンスの発揮のしがいがあるところかなと思いました。
ー 堀田
なるほどなるほど。
最近「ど真ん中に剛速球を投げる話」を良くしています。それを思い出しました。うどんを頼まれてうどんを出すのですが、ど真ん中に160kmの剛速球を投げる。そういう感覚も潔くて良いんじゃないかと思いました。言葉として奇をてらっていなくても、存在感を示すことが出来ると思います。
ー 水野
いいですね。あまりこねくり回してもねっていうこともありますからね。
ー 堀田
はい。素直にストレートをしっかり投げる。そういうことも重要かなと思いますね。
ー 水野
ありがとうございます。
記念すべき、本日最後の質問にいきたいと思います。
54:51~
Q8. 忘れられない広告はありますか?(CM、グラフィック、コピー なんでも)
ー 水野
これはね、私ちょっと用意してきましたよ。さすがにすぐには出ないと思いまして。
このポッドキャストの過去の回と被っていたら申し訳ないのですが、コロナ禍のときに発表されたカネボウ化粧品のCM「I HOPE.」が忘れられません。
テーマソングとして、あの渡辺真知子さんの「唇よ、熱く君を語れ」のリバイバル版が使われていました。キャンペーンは今も続いています。私は、このシリーズの最初のバージョンが好きです。
コロナ禍で大打撃を受け、多くの人が化粧をしなくなるという状況の中「唇よ、熱く君を語れ」をテーマソングに選ぶこのセンス。
このキャンペーンのとき、コーポレートメッセージを「カネボウは、美を売る会社ではなく、希望を売る会社です」と変えて発信されていったわけなんですよ。
多くの人が希望を見失っていたときに「希望を売る会社です」と打ち出したことにものすごい覚悟を感じ、感動したのですよね。企業広告ってやはりこうあるべきだよなと。
世の中を少しでも前進させようと社会にメッセージを打ち出すのが、コーポレートブランディング。企業CMってすごく意義のある仕事、本当に素晴らしいなと思っています。
これも以前のポッドキャストでお話ししたかもしれませんが、資生堂のCM「一瞬も 一生も 美しく」もカネボウと好対照で印象に残るCMでした。時代が全然違う2つではありますが。
化粧品が持つ力というものを長い歴史の中で見ていっても、この2つは、歴史的な転換点となり、面白いCMだったなと思っています。
時代背景も含めて、忘れられないCMになっています。
堀田さん何かありますか?
ー 堀田
今の話で言うと、カネボウ化粧品のCM「KATE (NO MORE RULES.)」はすごいです。今も独自路線を走っていますよね。希望を売り続けていることが素晴らしいです。
その他、以前話したもの以外ですと、旭化成の「昨日まで世界になかったものを。」が忘れられないです。こんなコピーを書けるようになりたいと憧れました。
以前紹介したところで言いますと、
その企業にしか言えない内容になっているところがすごいなと思います。
ー 水野
ありがとうございます。
旭化成の「昨日まで世界になかったものを。」このコピーは、ずっしりきますね。
「ルーティンみたいなものからの脱却」や「セーフティーゾーンにずっといてどうなるんだ?」そういうことに対するメッセージにも感じますね。
デザインとかクリエイティブって、やはりそういう姿勢が必要なもの。常に、今よりもっと良い形があるんじゃないかとか、今よりもっと良いやり方があるんじゃないかと、毎回、貪欲に探していかなくてはいけない。「すごくエネルギーが必要なことだけど、お前そのままで良いのか?」と問いただすメッセージも感じてすごく好きだなと思いました。
ー 堀田
ひとりよがりではなく「世界にどう役に立てるのか」という視点に立って発信しているところにメッセージの力を感じますね。
自分もそうできると良いなと思います。少しでも。
ー 水野
ありがとうございます。
1:03:35~ クロージング
ー 堀田
こんな感じでよかったでしょうか。
ー 水野
はい、十分です。本当にありがとうございます。
今回も頑張って全ての質問に回答しましたが、まだあと1回分残っています、笑。
本日は「正解のない相談室」の第2回をお送りさせていただきました。次回第3回もありますので、本日から聴いていただいた方は、第1回も聴いていただいた上で次回第3回を楽しみにしていただけますと嬉しく思います。
ー 堀田
2年前に2人で話している回もありますので、アーカイブからご視聴いただけますと幸いです。
*アーカイブへのリンクは、本ページの下部に掲載しています。
ー 水野・堀田
本日もお聴きいただきありがとうございました。
次回も引き続き、CDの部屋 特別編「正解のない相談室」をお届けして参ります。
よろしくお願いします!
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