ブランド コンサルタント兼クリエイティブディレクター 水野 可奈子と「次世代を担うリーダー・若手たち」のトークルーム
ブランディングやデザイン制作に関わる様々なテーマを取り上げ、ゲストとともにトークを展開。リスナーの皆さまの視点でテーマと向き合えるよう、これからのアンティーグループを担うリーダーや若手をゲストとして招待し、クロストーク形式で進めていきます。これまでの経験や実績に裏付けされた、知識、ノウハウも交えながら分かりやすくお届けします。
#28「正解のない相談室」第1弾
~2人のCDが問う!?クリエイティブを目一杯楽しめていますか?徹底的に思考し、言葉にしよう!!
un-T Podcast 特別編 Vol.1~
今回から数回に渡ってun-T Podcast 特別編「2人のCDの部屋」をお届けします。
名古屋からもう1人のCD堀田さんにも参加いただいています。久しぶりの登場です。
正解も不正解もなく、クリエイティブについてただただ語るだけの“気軽なトークルーム“です。
ぜひお気軽にアクセスしてみてください!
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#28のサマリ
テーマとポイントをリストにしています。どんな内容で盛り上がったのか、ちょっとだけ覗いていただき、詳細は、ぜひ、Apple Podcast / Spotify / YouTube にてお聴きください。YouTubeのコメント欄にはショートカットリンクも掲載しています。テーマを選んで聴いていただくことも可能です。ぜひ、ご利用ください。
0:00~ オープニング
今回から数回に渡ってun-T Podcast 特別編「2人のCDの部屋」をお届けします。
名古屋からもう1人のCD堀田さんにも参加いただいています。久しぶりの登場です。
特別編のスタートを飾る今回の企画は、「正解のない相談室」です。
2人のCD「水野」「堀田」が、アンティーメンバーからの25の質問にひたすら答えていきます!
アドリブの連続となると思いますが、このライブ感を楽しんでいきたいと思っています!
ポッドキャストを聴いてくださっている方には、これからクリエイティブ業界を目指す方もいれば、既に活躍中の方もいらっしゃると思いますが、それぞれに「こういう考え方もあるんだな」と感じていただき、イマジネーションの一助になれば幸いです。
本日もよろしくお願いします!
1:17~ ホストの自己紹介
【名前】水野 可奈子(みずの かなこ)
【所属】アンティー・ファクトリー/アンティー・デザイン 東京オフィス
【職能】ブランド コンサルタント兼クリエイティブディレクター
1:33~ ゲストの紹介
【名前】堀田 祐介(ほった ゆうすけ)
【所属】名古屋 プロデュース&サービスデザイン 第1事業部(NPSD1)
【職能】コピーライター兼クリエイティブディレクター
3:13~ 本編トーク「正解のない相談室」
アンティーメンバーの25の質問に答えます!第1弾
質問一覧(8問/25問)
Q1 . 後輩、部下などに言われて印象深かった一言はありますか?
Q2 . クリエイティブの質を上げるために必要なことは何か、質が上がったと感じた瞬間はありますか?
Q3 . 最近、「嫉妬した」と感じられた作品はありますか?
Q4 . 今、個人的に気になるクリエイティブは何ですか?
Q5 . 「良いクリエイティブ」と「悪いクリエイティブ」の違いは?
Q6 . この仕事をする上で苦手なことはありましたか?苦手があったとしても、すでに克服されてらっしゃると思うので、どういった点が苦手だった、もしくは努力で得たものか?壁にぶつかった際どう乗り越えたのか?など聞きたいです。
Q7 . 良いアイデアを良い形に落とし込むために行っている習慣はありますか?
Q8 . 若い世代に伝えたい「伸びる人」の特徴を教えてください
3:47~
Q1 . 後輩、部下などに言われて印象深かった一言はありますか?
ー 堀田
3つくらいあります。
1つ目は、「堀田さんは、いろんな事象を抽象度の高い言葉で捉えて応用しやすく変換してくれます」です。
ー 水野
褒め言葉ですね。
ー 堀田
2つ目は、「堀田さんは、人の悪口を言わない」です。
ー 水野
私も、そう思います。
ー 堀田
そんなことはないのです。悪口を言わないのではなく、悪い言葉をそのまま外に出していないだけ、コピーライターということもあって上手く言葉を変換しているだけだと思います。
3つ目は、「私は、コピーライターの糸井重里さんにはなれない・・・」です。
これに対して、私からは「糸井さんもあなたにはなれないよ」と返しました。
ー 水野
良い答え。さすがコピーライター!
ー 堀田
なったら失うものもある、等しいこと。糸井さんもその人にはなれない。そう捉えると、そんなに重たい話じゃないんじゃないかと。
この業界、未経験ということに負い目を感じる人が結構多いように思います。でも、未経験だからこそ発揮できる力、経験した人には一生出せない力があるはず。チャンスと捉えて良い方に変換できるといいなと思います。
ー 水野
確かに、私が若手だった頃は、「経験を積んでいない人は発言しなくていい」みたいな風潮があり、若手が意見しづらい時代でした。
でも、本質的に考えたら、フレッシュな考え方ができる若手こそ意見するべきだと今は思います。
ー 堀田
実際、ワークショップなどを行っても、若手が、貴重な意見を持っていることが多いです。見えていないからこそ見える世界があるというか・・・
ー 水野
私たちが生きているこの時代は、目まぐるしく世の中が様変わりしています。世代毎に全く違うカルチャーを生きている人たちばかり。年功序列のような考え方はなくし、多様性を楽しむくらいでいった方が、むしろ面白いと思います。
自分らしさ、お互いにその人にはなれないというところで面白い意見を出し合えたらいいですね。
ー 水野
私も、1つ浮かびました!
「水野さんは、ボトムアップ型ではなくトップダウン型」
「企画をするとき、まず理想を描いてから詳細におとしていく」
と指摘いただいたことがあります。
ボトムアップ型の思考で「現状課題を一個一個整理し、その課題を一つひとつ丁寧に解決していったら、その先どういう企画になるのか?」というよりは、「なんか、これやったら面白いんじゃないか」みたいな、そういうところに先に行ってしまいたいくなるのですよね・・・
良い意味で言ってくださったんだと思います。「どうしたらそういう思考を持てるのですか?」と質問いただきました。
でも、今となっては必ずしも良い考え方なのかどうか分からないと思うときもあります。
ー 堀田
それぞれ良いところがあるのかなとは思います。
コピーを書いていくとき、ボトムアップ型で土台から石を積んでいくと、上に行くに連れてどんどん面積が小さくなってしまい、案が限られてしまうという問題がある。
一方で、トップダウン型で上から積み上げていく場合は、広くなり過ぎてしまうという問題がある。
事案によって、どちらが確実かっていうところはありますね。
13:00~
Q2 . クリエイティブの質を上げるために必要なことは何か、質が上がったと感じた瞬間はありますか?
ー 水野
これ、プロジェクトの最初、出だしの部分がとても重要です。
プロジェクトの下地というか、材料となっていることやお題について、ちゃんと調べる。業界や商品、サービスについて、お客様自身や競合、ターゲットユーザーについて、自分なりに深く掘り下げておかないと質は上がっていかないです。
一見地味な作業に見えますが、やればやるほど、最後に出てくる物の質が上がってくると思っています。
堀田さんはどうですか?
ー 堀田
今回も3つくらいあります、笑。
最初の2つは、CDの役割として、クリエイティブディレクションの観点からです。
1つ目は、「動機のデザイン」です。
クリエイティブディレクションを行うにあたり、クライアントの要件を叶えつつ、つくり手のモチベーションを最大限に引き上げることができるよう意識して導いています。
クライアントの要件は絶対ですが、つくり手の想い(やりがいや作業熱のようなもの)との接点を探り、出来る限りつくり手の動機をデザインしていきたいと思っています。
2つ目は、「CDが壁になるのではなく、踏み台にして超えていってもらう存在になる」です。
壁と思うと、乗り越えた瞬間に動機がなくなってしまう。承認してもらえるかみたいな話になってくると、CDを攻略すること自体が目的になってしまう。
踏み台にして超えていった先で、質の高いクリエイティブを叶えて欲しい。
3つ目は、「やはり、一番大事なのは好奇心」です。
AIが、最も持つことが難しいと言われているのが好奇心です。やはり、クリエイティブには、根源的なもの、未知なものを知りたいという人間の思いみたいなところを捉えていくことが欠かせない。
好奇心をどう持てるか?というところが大事になってくると思います。
ー 水野
壁と踏み台の話は、最近、私自身が悩んでいることに近いなと思いました。
私も壁をつくりがちなんですよ。自分が上司として壁になるのではなくて、プレイヤーとして向き合うときの話ですけど。もちろん大切なことではありますが「お客様がどう思うかな」とか、あるいは、「自分が人からどう評価されるかな」とくだらないことを考えてしまいがち。
でも、それよりかは、今解かなくてはいけない問いが、「本当に正しい問いなのか?」「本当に今一番必要とされている問いなのか?」「本質を捉えた上での解になっているのか?」と疑い、本質に立ち返ってみることの方が大切。
でも、そうではないところに神経がいってしまいがち。最近、改めて自戒しています。
とても難しいことではありますが、後輩、部下の人たちには、上司である私たちを見るのではなく、本当に求められていることが何なのか、覚悟をしっかり持って、プロジェクトを捉えていって欲しいです。
ー 堀田
そうですよね。
最近は、課題が多角的だったりして難易度が高く、一筋縄ではいかないところもあって難しいですよね・・・
ー 水野
そうなんですよね。
請負の仕事が多いと、自分の頭で考えるより、何かと照らし合わせて答え合わせをするような癖ばかりがついてしまいがち。
それをする前に、自分の頭で考え、「これが合っているのかな?」「もしかしたら間違っているのかな?」と判断していけるようになっていかないといけない。最近反省したばかりです。
ー 堀田
はい、難しいですね。
でも、「正解のない相談室」ですので、それでいいですね。
次に行きましょうか!!
21:36~
Q3 . 最近、「嫉妬した」と感じられた作品はありますか?
ー 水野
少し前に話題になったプロジェクトですが、「注文を間違える料理店」を知っていますか?認知症の方たちが働く、注文を間違えることがあるかもしれないというコンセプトのレストランです。
認知症であることを特性と捉え、間違えることを愛らしさに変換しながら、多様なコミュニケーションを生み出している。人間ってそういうものだよね、という視点をみんなで共有しあえる空間を生み出している。
「デザインをするってこういうことなんだな」と思わせてくれたプロジェクトです。今の時代にとても必要な発想だと思ってジェラシーを感じました。
ー 堀田
改めて、辞書で「嫉妬」を調べてみると、「他人の優れた点や愛情を奪われる恐れを感じるときに生じる妬みや羨望、不安といったネガティブな感情」とありました。
そもそも、私は、作品に嫉妬することがまずないです。仕事を離れて作品に触れようとするときは、他の人と能力を比較することもないです。純粋に凄いなとか、面白くないなとか、一般的な感覚の目線で休日を過ごしていますので、嫉妬するところにあまりピンと来る感じがありませんでした。
クリエイター然としているというよりは、どちらかというとスーパー普通人なので、美大にいたときも、浮いている感じがありました。
でも、この普通の人でいるということが、クリエイティブにも活かされているのかもしれないです。普通の人がどう感じるのかな、これは普通じゃないのかな、そういったところがもしかしたら役に立っているのかもしれないです。
ー 水野
誰しもが、個性とか普通じゃないことを競い合う美大やクリエイティブな世界において、堀田さんは、敢えてその土俵で勝負しないという、最も他と違うやり方で勝負している感じですね、笑。
ー 堀田
美大に行ったからこそ分かったことだと思っています。作家性の強いアーティストが沢山いる中、多分、自分は、それではないんだろうなと感じました。
26:52~
Q4 . 今、個人的に気になるクリエイティブは何ですか?
ー 水野
何かありますか?
ー 堀田
私は、ゲーマーでして、ゲームの表現から得ていることが沢山あります。
ゲームのUIは、普通の人が1万回触れて楽しむことを前提につくられています。このコンセプトにダイナミズムを感じます。
偶発的につくられることはなく、全てが決め打ち、計算づくの世界。そういうところにクリエイティブの本質を感じ、とても興味があります。
ー 水野
アンティーは、ゲーム好きの人が多いと思いますが、お互いに話したりするのですか?
ー 堀田
そうですね。
社内会議の前のアイスブレイクで話題にしたり、オンラインで対戦したりして楽しんでいます。
水野さんはどうですか?気になるクリエイティブはありますか?
ー 水野
社内では結構話しているのですが、昨年(2024年の秋に)ニューヨークとフィラデルフィアに旅行に行きまして、その時に行ったマンハッタンにある「ホイットニー美術館」のブランディングがめちゃくちゃかっこよかったです。
美術館のブランディングって面白いなと思います。世界中に美術館があって、それぞれがしっかりブランディングを行っている。ロゴやキービジュアルをつくり、アイデンティティデザインを行っている。
ニューヨークには、ホイットニー以外にもMoMA、メトロポリタンなどいろいろな美術館があるのですが、それぞれの立ち位置や扱っている作品にちゃんとブランドが表れています。
ホイットニーは、アメリカの作家さんだけを集めたアートの美術館なのですけど、70年代っぽいクリエイティブだったり、ロゴやキービジュアル、展示の仕方が、すごくかっこいいんです。動画のバナーみたいな作品もサイネージでありますし。他の美術館もそれなりに素敵ですけど、とにかく、ホイットニーのあの攻めたブランディングに心を奪われてしまいました。
先ほどの嫉妬の話も含めてですが、こういう仕事をする人たちはかっこいいなと思い、刺激を受けたクリエイティブでした。
ー 堀田
なるほど。
美術館は、作品を置くという、いわば額縁的な役割があると思うのですけど、その額縁が、ブランディングをするというところが面白いですよね。
ー 水野
そうなんですよ。
さすが、仰るとおりで、額縁のブランディングってすごく難しいと思うのですよね。
ー 堀田
はい、難しいと思います。本来は、そこに個性はいらないですからね。
ー 水野
そうなんですよ。
でも、じゃあ何で美術館がこぞってブランディングに力を入れているかというと、アートがこれだけブームになって、やはりそこには競争があるでしょうし、作品群のフレームである美術館自身が、自分たちが何者なのかをしっかり伝えていかないといけない時代になっているんだと思います。
ー 堀田
そうですね。
ある種、ちょっと排他的なんでしょうね。何かを認めて、それ以外は認めないとまでは言いませんが、そっちをより重視するみたいな。キュレーション的な観点だと思うのですけど、この辺の作品群を良しとするみたいな。そういったような振る舞いはあるのかもしれないですね。
箱によってやはり個性が出ますよね、この箱にはこういうものがいっぱい入ってるとか、嗜好的に入れているとか。
ー 水野
そうなんですよ。
そこには、他の業界やサービスにおけるブランディングとは違う関係性が生まれていて、面白いなと思います。すごく興味深いです。
商業的なことより、メッセージ性みたいなところの方が重要になってくるのかなと感じています。
ー 堀田
確かに、面白いですね。
35:06~
Q5 . 「良いクリエイティブ」と「悪いクリエイティブ」の違いは?
ー 水野
堀田さんどうですか?
ー 堀田
また、3つくらいあります、笑。
1つ目の視点は、「誰かを不幸せにせず、両方を立てられる状況をつくり、維持し続けられるかどうか?」です。
あちらを立てればこちらが立たない、というのがクリエイティブの本質とは思うのですけど、その上で、両方を立てられる状況をつくり、維持し続けるという視点を持つことが大切だと思っています。
2つ目の視点は、「当初想定していた期間の耐久性があるかどうか?」です。
一見良いクリエイティブに見えるけどすぐに消耗してしまうでは駄目。予め耐久期間まで想定した上でつくり上げることが大事です。
3つ目の視点は、「主目的以上の価値があるかどうか?」です。
本当にやってほしいことプラスアルファの価値を社内外に発信する。分かりやすい言葉にすると、理念のような形で外に発信しつつインナーブランディングも行うことで社員の方にも誇りに思ってもらう。そういう副次的な効果が得られるのが良いクリエイティブだと思います。
ー 水野
1つ目の「誰かを不幸せにしない」は、後輩、部下から言われた「堀田さんは、人の悪口を言わない」とすごくシンクロしていて、堀田さんらしいなと思いました。
ー 堀田
はい、確かに。
やはり、「不幸せにはしない」みたいなところは、最低限あるかもしれないです。不幸せというのは、売り上げ的な話もあるでしょうし、実利の話もあると思うんですよね。
「ビジュアルを変えたいです」というときも、変えてから何かが悪くなってはいけない。改悪にはしない。そこはいつも考えています。変えるからには良くしようと。
コピーを書くときもそうですが、改悪ってことにはしないと決めて臨んでいます。
ー 水野
最近、改悪と言われている事例が結構ありますね。ロゴを変えたら前の方が良かったとか言われて元に戻った事例もありますね。
ー 堀田
炎上することもありますよね。良くしようとして臨んだことがマイナスになっている。やらない方が良かったとまで言われてしまう。やはり、改悪にさせないことがどれだけ大事かっていうことだと思います。すごく慎重になるべきだと思います。良くすることはとても大事なことですが、悪くさせないということも大事なことです。
ー 水野
ホームランを打つよりエラーを出さないみたいな感じですかね。
ー 堀田
はい。最低限必要かと思います。
水野さんはどうですか?
ー 水野
やはり、見ている人、使う人に「つくり手が頭をひねって考えているな」「ワクワクしてつくっているな」という感じが伝わってこないと「良いクリエイティブ」とは言えないと思います。
与えられたお題はクリアしたけど、プラスアルファの驚きみたいなことがないクリエイティブではつまらない。
ー 堀田
なるほど。
「良いもの」と「すごく良いもの」が全然違うよねという話に少し近いですよね。「すごく良い」と言われるようになるには、相当考えられていないといけないですね。
ー 水野
やはり、良いクリエイティブ、例えば、時代を遡っても心に残っているクリエイティブ、トレンドを超越して素晴らしいと言われている昔の作品などは、つくり手にしか見えていない景色みたいなもの(美しさ、面白さみたいなもの)を伝えることを疎かにせず、それを表現できている。且つ機能性を満たしている状態のものが、見る側にも伝わってくるのでしょうね。
このように、つくり手の枠を超えて見る側に景色や機能性が届いたときに感動が生まれる。それがないとクリエイティブとは言わないのでしょうね。
ー 堀田
あの宮崎 駿さんが、「クオリティを上げたかったら描き込め」と言っていたというお話があります。
どこまでも描き込むことでつくり手の凄みが出てくるのでしょうね。そして、見る側は、ここまでやるのかという狂気に近い感覚と共に感動を覚えるのでしょうね。
とても憧れるのですが、やはり難しいことですよね。
ー 水野
いや、難しいですよ。
今言っている描き込みは、単純に手数の話ではないじゃないですか。
多分、どこを描き込むのか、どう描き込むのか、というのがあり、それは、一朝一夕で身につくものではなく、人としての経験とか感受性とかそういうものの蓄積みたいなものから生まれてくるものだと思います。
大変なことです。
45:00~
Q6 . この仕事をする上で苦手なことはありましたか?苦手があったとしても、すでに克服されてらっしゃると思うので、どういった点が苦手だった、もしくは努力で得たものか?壁にぶつかった際どう乗り越えたのか?など聞きたいです。
ー 水野
何百枚くらい壁にぶち当たったかわからないです。今も壁にぶつかり続けています、笑。
質問は、「トーク力」や「提案力」というところの話ですかね。
ー 堀田
実は、元々は引っ込み思案だったんです。
27歳でコピーライターになったのですが、周囲から「喋れない」と言われていました。会議に出ても喋れず、合いの手も打てなかったです。話せない方の部類でした。
でも、やはり仕事で訓練してここまで喋れるようになりました。
お聴きいただいている方で同じような方がいらっしゃいましたら、努力でここまではなれると思っていただけると幸いです。
もちろん、弊社代表のように先天的に話すことが上手な人もいますが、私のように後天的に身につけることもできます。トーク力というのは、上手いことを言うだけではないと気づくことができると大きいかなと思います。
ー 水野
私も全く同じ考えです。
みんながみんな最初から得意なわけではない。場数を踏むことや努力をすることで克服できると思っています。
私も、子供の頃は、人前で話すのが本当に苦手でした。
仕事をはじめても、代理店の人たちと一緒にプレゼンに行くと、「大丈夫ですか?」と心配されるくらい、話すことが苦手でした。
でも、経験を重ねていくうちに、どこからかこんな風になっちゃっいました、笑。
やはり慣れることが大事ですよね。
ー 堀田
トーク番組を見ていると、話すことが上手な人は、相手ありきで話を進めている。質問を投げかけたり、共感したりしながら、相手と一緒に進めていることに気がつきました。あまり1人で背負いすぎるものではないと思います。
と、言うのは簡単ですが、実際は難しいですよね・・・
ー 水野
本当にそうですね。
昔を振り返ると、アンティーのメンバーにも人前で話すことが苦手だった方が多くいらっしゃいました。その方たちが克服していく姿を沢山見てきました。立派にプレゼンしている姿を横で見ていると、感動して泣きそうになります。
ー 堀田
涙もろくなりますよね。
ー 水野
あとは、社内の面談でもよく話すのですけど、堀田さんが先ほど言ったように、あまり上手に喋ろうとしなくていいと思っています。
上手に喋れるようになりたかったら、喋る前に、しっかり考える習慣を身につけた方がいいです。自分でとことん考え、他人の意見に流されず、自分の意見をしっかり持つトレーニングをするべきだと思います。結局のところ、自分の中に考えを持っていないから喋れないということが多いように思います。
ー 堀田
なるほど。この質問をくださった方は、デザイナーさんですよね。
デザイナーの方から「デザインを説明するとき、どのようにしたらいいですか?」と聞かれることがありますが、そのとき、次のようにお答えしています。
デザイナーだけが、唯一持つことができるものがあります。それは、「つくった実感」です。これだけは、お客様であっても持つことができないです。デザインを説明する際、あまり気負わず、制作工程を通して実感できたことを軸に話を伝えられると楽になるんじゃないかなと思います。お客様も喜んでくれると思います。
ー 水野
そうですね。
実際に手を動かしてつくってくれている人たち、デザイナーやエンジニアの方たちを打ち合わせに連れて行くと、お客様が、とても喜んでくれます。
今話してくれたように、つくり手としての実感や工夫した点、苦労して乗り切った点などお話しすると、耳をすまして説明を聞いてくださいます。
ー 堀田
わざわざお金をかけてものづくりを依頼をしてくれているので、やはりつくっている人の実感が聞きたいのだと思います。
ー 水野
そうですね。ありがとうございます。
55:13~
Q7 . 良いアイデアを良い形に落とし込むために行っている習慣はありますか?
アイデアを良い形に落とし込む段階でつまずくことが多いです。
特に、頭の中のイメージと実際に形にしたときのギャップに戸惑うことが多く、こういう感じじゃなかったのに・・・と感じながらも、それをどう修正すべきか判断できずに手が止まってしまうことがあります。
技術的な力量が関わる部分もあるとは思いますが、それとは別に、発想を形にするプロセスの中で、ギャップを最小限に抑えるために日々意識されていることや実践している習慣、思考パターンなどがあれば、ぜひ教えていただきたいです。
ー 水野
お悩みが深くなりつつありますね・・・
これ、言っていることよくわかります。この仕事以外でも、学生時代に作品をつくっているときとかにも、同じパターンの沼にハマっていたことがよくあります。
自分がつくっている作品が、自分の理想形に近づかないときは、もうすべからく力量がない、技術力が足りていないという風に思っていました。
でも、この質問をくださった方は、ここまでは既に理解されています。「技術的な力量が関わる部分もあるかとは思いますが、それとは別に、発想を形にするプロセスの中で、ギャップを最小限に抑えるために日々できることはないか教えてください」と言っています。
ー 堀田
はい、そうですね。
ー 水野
これ、あれですね。
自分の頭の中にある絵を最後の完全無欠の絶対的な完成品と捉えてしまい、そこのみに近づくことを目指し、その山に登頂することしか考えていない状況になってしまうと苦し過ぎると思います。人は、それを完璧主義者と言うのですが。
唯一無二の正解みたいな発想というよりは、もう少し試しながらやってみるのがいいのではないかと思います。とりあえず二合目まで登ってみて、そこでどうかなこの山?と考えてみる。プロトタイピングみたいな感じだと思うのですけど、少しつくってみて、なんか違うな、こっちの方がいいなと思ったら変えてみる。
手を動かしながら考えを深めていく方が良いのではないかと思います。
どうですかね?
ー 堀田
確かに、そうですね。
ギャップって、再現できなかったときに生じる落胆に近いかなと思っています。
とにかく人に見せて反応をもらいながら進めていく。その人が、何に興味を示し、目線がどう優先されていくのか?上手くいったときは、何で上手くいったのか?言語化して残しておく。そうすることによって、再現性を上げていくことが必要と思います。
元々、センスや発想は、筋肉のように鍛えることで磨かれていくものと思っていました。マラソン選手で言う「走り込み」、野球選手で言う「素振り」のようなトレーニングによって鍛えられていくもの。
クリエイティブにおいて、ギャップをなくし、上手く再現できている人は、これをやり続けることによってセンスや発想の筋肉につなげられている人だと思います。
自分にとって「走り込み」や「素振り」に当たるものが何なのか考え、日々鍛えていくことが大事。それを繰り返すことで、再現性を上げていくことができると思います。
ー 水野
うーん、確かに。
この質問をくださった方は、エンジニアの方だと思うので、私が話すことがどれくらいお役に立てるか分からないのですが、「手書きで何かをする」ということも一つの答えになると思っています。
デザイナーの方は、絶対に手書きの作業をされていると思います。例えば、企画を立てるとか、堀田さんのようにコピーを書くとか、これらの作業の中でされていると思います。身体性を伴って思考したものをアウトプットするという行為は、やはり、とても重要だと思うのです。
一方で、エンジニアの方は、プログラミングがメインなため、アプトプットの形態はデジタルになってしまっているかと思いますが、その中間にある、発想を形にするところで、イメージだとか、構造だとかをスケッチブックに手で書いていくというのは、私はありではないかと思っています。
私が企画をするときは、ある程度見えてきた状態になるまでは、パソコンを触らないようにしています。どんな風にロジックを組み立てていくのか手書きのメモを書き出します。いきなりデジタル上での作業に入ると、やはり、どこか深まらないのですよね・・・
人に寄るところもあるとは思いますが、私は、自分を怠けさせないという意味においても、手書きの状態で自分の思考が深まるところまでは、なんとか頑張って、我慢して待つようにしています。
先ほどの筋肉の話じゃないですけど、やはり、手で何かを書くということは、毎日のようにやった方が良いと思います。
ー 堀田
そうですね。
身体表現として刷り込まれとていく部分は、確かにありますね。
ー 水野
はい、それでは、本日、最後の質問にいってみたいと思います。
1:03:05~
Q8 . 若い世代に伝えたい「伸びる人」の特徴を教えてください
ー 堀田
4つくらいあります、笑。
1つ目は、「正直な人」です。
- 背伸びをせずに分からないと言える
- 本心を語ることができる
- 素直に喜んで、悲しむことができる
このように次につながる感情が持てる人が、正直な人だと思います。
2つ目は、「反応ができる人」です。
ただ単にリアクションが分かりやすい人というだけでなく、「分かっていること」「分かっていないこと」を相手に伝えられる人ということです。相手との距離を縮めるのに必要なことだと思っています。
3つ目は、「決めるということに関与できる人」です。
例えば、「私はこう思う」という発言をチームの意思決定につなげられるような人。
4つ目は、「自分以外の人の力を信じられる人」です。
自分にはない能力をリスペクトして、一緒に高めたいと意思表示できるような人。
このような人が、伸びると思っています。
ー 水野
私は、「面倒くさがらない人」です。
伸びる人の特徴として、「面倒くさいというプロセスを楽しむことができる人」があるのではないかと思っています。
やはり、何かをつくることって面倒くさい作業の繰り返しなのですよ。先ほどの宮崎 駿さんの描き込みの話に通ずるかもしれませんが、もう、面倒くさいことの繰り返しでしかないので、この面倒くさいことを怠ると、「良いクリエイティブ」「悪いクリエイティブ」の話につながる訳ですよ。つまらないものになってしまいます。
結局、この面倒くさいというプロセスに、実は面白さが沢山詰まっていて、それらを排除していくと、そこにせっかくあった面白さが、どこかにいってしまったみたいになってしまうのですよね。
ですので、未経験や経験の浅いときは、特に、面倒くさがらずに自分が踏んできたプロセスを振り返ってみることをお勧めします。この積み重ねが、成長に現れてくると思います。
質問コーナーは、まだまだ続いていきますが、本日は、ここまでとなります。
どうでしたか?本日の第1回は?脳トレーニングのスパーリングみたいでしたね。
ー 堀田
脳が溶けそうになりますね、笑。
ー 水野
社内の皆さまから多くの質問をいただけて、本当にありがたいですね。
ー 堀田
ありがたいですね。
やはり、本質には、クリエイティブ自体に正解がないことがあると思うのですよね。ですので、そういうことも含めて、やはり、正解のないところに我々が思う答えを出すのが良いのではないかと思いました。
面白かったです。
ー 水野
ありがとうございます。こちらこそ楽しかったです!
1:10:46~ クロージング
本日もお聴きいただきありがとうございました。
次回も引き続き、CDの部屋 特別編「正解のない相談室」をお届けして参ります。
よろしくお願いします!
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