こんにちは!トラストリッジのCEOをやっている大場義之と申します。
当社は、食から暮らしを豊かにするライフスタイルメディア「macaroni」の運営と、メディア企業の収益最大化を支援するコンサルティング事業、少々のネット広告事業をやっている会社です。
まずは、いつも聞かれる「なんでメディアやってるんですか?」っていう質問に答えつつ、メイン事業である「macaroni」の自己紹介、メディアの今後について考えていることを書いてみたいと思います。
メディアって大変そうだけど、そもそもなんでやってるの?
メディアをやっていると、上記のような質問をいただくことがよくあります。毎日記事を更新しなきゃいけないし、間違ったことを発信したら怒られるし、手間がかかるわりには収益化も難しいし、なんか大変そうだよねと。
ええ、確かにそれは、まあまあ合ってます。じゃあなんでやるのか。
メディアって、誰かが何かを知りたいと思って訪れて、その情報をもとに判断して行動を起こす、つまり人の行動の起点なんですよね。もしかすると、はじめての彼氏に作るレシピを探しているかもしれないし、ふだん死ぬほどお世話になっている料理好きな先輩への誕生日プレゼントを探しに、macaroniに来てくれたのかもしれない。ネットサーフィン(懐かしい)の末に、たくさんの検索結果の中から選んで、もしくはインスタで画像とタグをたどり、ようやくこの地にたどり着いたのかもしれない。
そんな明確な目的を持ってなくて見る人が99%だと思うけど、もしそんなプロセスを経て、何か人生の重要なターニングポイントで僕たちのメディアを見て判断し、行動し、その結果が良いものになったとしたらこれは僕らにとって望外の喜びなんじゃないかと思うんです。もちろん、日々の小さな意思決定のトリガーになってることも最高に嬉しいのですが。
とはいえ、どう判断して行動して、結果がどうだったかなんて、ユーザーアンケートかお問い合わせで、親切すぎるくらいの報告をもらう方法しかなくて、日々この喜びをトラッキングして感じることは事実上無理なんですけど、それでいいんです。こういう喜びを想像しながら、自分たちが発信したいことと読者が知りたいことの絶妙なバランスを追求して、記事や動画、写真や文章に想いを乗せて届けるのが、メディアの仕事であり醍醐味なんです。
飲食店をやっている人は、食べた人の顔が見えるからこの仕事が好きって人が多くないですか?自分の周りでは少なくともそうです。大変でも、その笑顔のためにがんばれると。
メディアってのも、きっとそういうもんなんじゃないかと。
物理的に顔は見えないけど、きっとそうなんじゃないかと思っています。
そんなこんなで、大変なことはいっぱいあるんだけども、メディアってのはやっぱりおもしろくて、時代とともに形を変えていきながら、これからさらに面白くなる領域だと思っています。だから僕らはメディアをやっています。
macaroni (マカロニ) とは?
ようやく自己紹介にたどり着きました。「macaroni」は、最新のグルメトレンドやレシピ動画、人気商品や飲食店情報などをお届けしている「食」のメディアです。2014年8月にローンチしてから丸5年を迎え、月間訪問者数は2,000万人以上、SNSフォロワー数は合計150万人以上と、多くの人々に見て頂いており、ただただ感謝です。
「食を通じて人と笑顔をつなぎ、暮らしを豊かにする」
これがmacaroniのミッションです。ご存知のとおり、人はおいしいものを食べるとそれだけで幸せなんですよ、だいたいの場合。誰かと食べるとさらにおいしいし、楽しい。自分以外の人と時間や体験を共有することによって、ひとりの時とはまた違った幸せな気分になれる。暮らしの豊かさってのはいろんな尺度がありますが、「人のつながり」って要素は不可欠だと思っているので、じゃあ僕たちは「食」という領域から暮らしをデザインして、人と人とをつなげて豊かさを生みだしていこうと。そんなことを企んでいます。
メディアの"これから"に必要だと思うこと
自社の事業のことばかりだと飽きちゃうので、macaroniに限らずこれからのメディアに必要だと思うことをいくつか書いてみます。結論、この3つじゃないかなと。
・コミュニティ
・人の顔が見えること
・社会貢献につながっていること
■コミュニティ
まずひとつめ。ファンを増やし、コミュニティを形成すること。
これは最近よく言われていることですが、やっぱり必要になるだろうなと。非再現性・参加性・貢献性がある体験を作る、いわゆるトキ消費の文脈もあるけど、そのサービスを実際に愛用してくれるファンからのフィードバックがやはり大きい。熱量をもったファンと、そのファンが集まってつくるコミュニティは、サービス改善においてもマネタイズにおいても重要なポイントになるのは間違いないと思います。
ということは、メディアは一方通行の発信だけではなく、伝導して循環を生み出すようなコンテンツや場作り、コミュニケーションをやっていかなくちゃいけないんですよね。実際は、コミュニティを作るには想像よりも人や手間がかかり、且つそれが短期的・直接的な効果としては非常に見えづらい、というか収益だけを見れば普通に赤字だと思うので、そのマイナスと、遅れて発生するプラスの価値を両方理解して投資を続けられるかがカギになると考えてます。
■人の顔が見えること
共感しないとモノを買わない時代が来てるんですよね、ヒタヒタと。
メディアも同じで、情報は溢れていてコモディティ化しているので、共感しないと見ないっていう時代がくるんですよね、今よりももっと。じゃあ、何に共感するのか?ストーリーとかよく言われますが、結論はそれも含めた(その中にある)「ヒトの感情」なんじゃないか?と思ったりしてます。たぶん今って便利になりすぎて、時代的にも近所付き合いも減って、暮らしが無機質になってきていて、人間っぽさが減ってきているって感じている人が多いんじゃないかなと。
だからメディアに対してもモノに対しても、人間っぽさを求めるようになってきたんじゃないかと。
作り手の盲信に近い熱量であったり、子供じみた夢だったり、なぜそう思い行動するに至ったかの動機だったり、非合理性も含んだ「感情」に人は動かされるはずだから、それを生み出す人の顔をメディアやサービスはどんどん表に出していくことがポイントだと思っています。
■社会貢献につながっていること
下図は、ニールセンがまとめた「社会的および環境にプラスの影響を与える企業の製品およびサービスに追加料金を支払ってもよいと思う人」の割合で、全世界で約55%となっていますね。2020年目前の今、その比率はもっと高くなってるのではないでしょうか。
画像引用元:DOING WELL BY DOING GOOD
https://www.nielsen.com/us/en/insights/report/2014/doing-well-by-doing-good/
こういった流れや課題に対して、ずいぶん前から取り組んでいるのはアウトドアウェアで有名なパタゴニアですね。カッコよくて大好きです。リスペクトが止まりません。
モノが満たされ、体験も多様化して豊かに暮らせるようになった一方で、地球という大前提が傾いてきているので、至極当然の流れだと思いますが、これは購買だけでなく、メディアにも同様の流れが来るはず。自分の役に立つコンテンツだけではなく、記事や動画を見ることで間接的に社会貢献できるようなコンテンツやメディアがあったら、そして情報の精度にそこまで差がないとしたら、おそらく何割かの人は明確な意思を持って後者を選ぶのではないか。
とはいえ、ビジネスと環境保全・社会貢献を両立させることは簡単ではないですね。難しいです、実際。でもそういう考え方に賛同してくれる人は確実にいて、コンテンツだけでなく企業やサービスとしての姿勢も含めたファンになってくれるはずなので、そういう世界をmacaroniでも作っていきたいと思っています。
さいごに
思いのほか長くなってしまったので、今回はこの辺で。本当はメディアの課題とか、メディアと別の事業を接続するときに必要になりそうなことなど、話したいことはたくさんあったのですが、文字数の関係により、また機会があれば書かせてください。「macaroni」やTRのことが少しでも気になったら、お気軽にご連絡くださいませ!