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教育にホンキで向き合う僕らが選んだ2017年の1冊<おすすめ書籍11冊>

一人ひとり書評を書いたら面白いことにならないか?

こんにちは。トモノカイの河合です。

今回は学習デザイン部門の新年一発目の投稿ということで、「学び」「教育」がテーマの我々が、「2017年の一冊」というテーマで書評を書いたら、何か面白いことにならないか?という思いつきです。

ということで、メンバーが一人ひとり、1冊ずつ2017年に読んだ本のレビューを書きました。「教育×ビジネス」という我々の事業において気付きがあったもの、という以外の制約は設けていないので、皆様にもおすすめできる書籍です。ご興味があれば是非読んでみてください。


まずは私、河合から。

問題解決に効く「行為のデザイン」思考法

村田 智明 (著)
発売日: 2015/9/17
出版社: CCCメディアハウス

「デザイン」とはチラシやポスターなどの表層的な見栄えだけではなく、人とモノ・情報などの接点として、全てに対し存在するものという至極当然の話に立ち戻ります。そしてデザインを考えることは、行為者のことをどれだけ考えているか?を追求することになり、改めて独善的な視点や考えに依拠したものになっていないかと思い知らされます。行為者の実情を無視したデザインは、使われない、不便を与えるバグとして、機能を阻害することが例示されており、教育の現場(プリントの一枚をとっても)においても示唆深いものです。

2017年。これまでで一番、「デザイン」というものに向き合う契機になった一冊。それは行為者である「生徒さん」や「大学生」のことを考えた続けた一年とも言えるかもしれません。



次は部門長の内山さん。ユニークなタイトルから。

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

横石 知二 (著)
発売日: 2007/8/23
出版社: SBクリエイティブ

新学習指導要領、21世紀型教育、教育はhowであり、改めて国としてどういう人材を育てていくか問い直されています。

GとLの議論も人材要件の多様性と公教育の在り方の現実解を説く骨太な視点で、ローカルのリーダーシップ(LL )も重要な人材だと思います。

本書の横石氏はまさにLL人材のあるべき姿を提示されている方。過疎高齢化問題に、安直な娯楽ではなく、事業仕事を通じた生き甲斐で応える解決策が秀逸である。そこに辿り着く(氏曰く「渦を巻く」)までの課題に挑み続ける力。こうした人材とその先にもたらされる高齢者の生き生きとした姿、その具体的な画をイメージして教育というhowを語る事を忘れないようにしたいと思う一冊です。


次は富永さん。言葉をテーマにした一冊。

「言葉にできる」は武器になる。

梅田 悟司 (著)
発売日: 2016/8/26
出版社: 日本経済新聞出版社

"言葉と思考の強化書"であるこの一冊は、

人を動かす言葉を生むために本当に磨くべきなのは意見(思考)の源泉となる心で渦巻く「内なる言葉」だと説きます。

考え、伝え、人を動かす――

社会を生きる多くの人々が、生涯向き合う課題ではないでしょうか。教育に生きる私もその一人だと感じます。よりよい社会を創るために、創造の種となる思考をいかに鍛えられるか……。

自分の発した言葉にふと立ち止まったときに、手を伸ばしたくなる一冊です。



どんどん行きましょう。近藤さんからは、あの話題にもなった一冊。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

坪田信貴 (著)
発売日: 2015/4/10
出版社: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス

筆者の坪田さんは偏見を持つことなく素直に人の良さを認められる人です。

「この人はきっとこんな人だろう」これは誰もが心の中で思いがちではないでしょうか。

心の中で思うのは自由です。しかし、それを表に出すことなく、目の前の生徒さんが何に興味関心を抱いているのかを考え、根気強く話しを聞き相手が何故そう考えるのか、寄り添う姿勢が大切です。この子は出来るとまずは自分が信じることで相手もその期待にこたえようとする(ピグマリオン効果)

教育とは泥臭くて時間がかかり大変ですが、1人の人が頑張ろうとする姿をサポートすることは素敵だなと改めて感じることが出来た本です。


続いて酒井さん。『僕は君たちに武器を配りたい』でも有名な瀧本氏の一冊。

ミライの授業


瀧本 哲史 (著)
発売日: 2016/7/1
出版社: 講談社

この本を読むと身近な世界が煌めいてきます。

例えば、スマートフォンが人の手で作られているという当たり前の事実に気が付きます。こう言い換えるといいかもしれません。スマートフォンの作り方や仕組みって全然知らないことに気付くのです。でもスマートフォンを作れる人もいます。

そんな風に身の回りを見渡せば、人の底力を感じ取れます。そして他ならぬ自分も人であり、その事実に向き合うことがこの煌めきをさらに増すための方法と気がつくのです。



続いて、安田さんからの一冊。サイエンスも交えた彼らしい選著。

子どもの脳を傷つける親たち

友田 明美 (著)
出版社: NHK出版
発売日: 2017/8/8

親の愛の強さも子の心を傷つけ、脳まで委縮させる。

「マルトリートメント(不適切な養育)」とは何か、その影響とは何かを、MRIなどの科学的結果から教えてくれる一冊でした。

これをしない人などいないと言い切れる程マルトリートメントの範囲は広く、脳が萎縮する程その影響は深い。大切なのは、親が子に、社会が親子にどう寄り添うか。親である人、親になる人が知っておくことで避けられる悲劇がある。

そう考えさせられました。


博識の吉田さんからは面白い一冊?を。

「ブラタモリ」シリーズ


出版社: KADOKAWA

日本地理学会・地質学会から表彰されたNHKの人気番組「ブラタモリ」の書籍版。

教育文脈では盛んに「アクティブラーニング」「合科目」が言われており、実現するためにどうすれば良いか意見が百出しているが、街を歩くだけでいくらでもアクティブラーニングのタネが見出せることを示してくれている。

本書を通し、大事なのは飽くなき好奇心と、それを満たすための手法を知っていることであると再認識できる。



次は、高橋さん。本じゃないですが、検索すれば読めますね。

「ハンナ・アーレントにおける『政治』と『教育』-シティズンシップ教育の可能性と不可能性―」

『宮城教育大学紀要』47, pp.27-36

「18歳選挙権」が始まり、「市民教育(シティズンシップ教育)」の重要性が訴えられています。しかし、「思考する市民」の重要性を謳う政治哲学者のハンナ・アーレントは、教育現場で市民教育を実施すべきでないとします。「思考する市民」は、時として理不尽な政権や制度に対して抵抗する市民を指します。

教育という「制度」が「制度に抵抗する市民」を育むことができるのかなどの、“市民教育のジレンマ”を分かりやすく解説する論文です。


続いて、川口さんの熱い一冊。書評も熱い。

いい人生の生き方


江口 克彦 (著)
出版社: PHP研究所
発売日: 2006/7/15

自分の鞄にはその時々で必要な本が入り、僕と一緒に出かけることになりますが、その中でも1冊だけ、共にい続ける本があります。

毎日読み返しているわけでもないのにこの本を特別に扱うのは、信念・苦難・一流・夢・愛など、透き通った曇りのない謙虚で誠実な人生が描かれているから。

この本は僕の芯。

自分の生き方がぶれないためのお守りであるとともに、僕に教育観というものがあるなら、その中心かもしれません。



後藤さんからは骨太な一冊。

教育再生の条件―経済学的考察

神野 直彦 (著)
出版社: 岩波書店
発売日: 2007/10/10

私たちの社会は、まだまだ「よい大学に入り、よい会社に入って給料をたくさん稼ぐこと」を実現する教育が「よい」教育であると信じる価値観が支配的です。しかし、そのように我が子・我が生徒だけが受験/就職競争に勝つことを目指す教育が「よい」教育と言えるのか?教育は、すべての子ども達の幸せのためにあるのではないか?という問いを、この本は経済学的な視点から考察しています。

この本のなかでは、スウェーデンの事例が紹介されていますが、日本のように、人間を自己利益のみを追求する「経済人」として捉える国と、スウェーデンのように、他者と協力しながら生きる「知恵ある人」として捉える国とでは、教育の形がここまで異なるのかと衝撃を受けました。日本の教育の未来を示す、羅針盤となる一冊です。


最後に一冊追加します。再び河合から。

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる


ダグラス フィッシャー (著),‎ ナンシー フレイ (著),‎ Douglas B. Fisher (原著),‎ Nancy E. Frey (原著),‎ 吉田 新一郎 (翻訳)
出版社: 新評論
発売日: 2017/11/17

生徒と教師で行われる「学び」の責任、すなわち教師がどのように生徒の学習を支援するかを段階論的に見つめ直す一冊。今日話題に挙がる各種の実践や方法論(一斉指導、個別学習、AL、学び合い、ブレンデッドラーニングなど)について、個々の是非を相対的に批判し合うのではなく、学びのプロセスを改めて俯瞰的に捉えています。学校教育について取り上げられているものではありますが、「教える」「学ぶ」についての認識を改めることは、社会人にも非常に有意義なテーマであると考えています。


「学習者に、学習の責任があることを自覚させることが自立した学び手になるための必須条件」 という命題から、学びについて考えさせられる一冊です。


ユニークなメンバーが送るBook Reivew !どうでしたか!?

「2017年に読んだオススメの本の書評を200字で書いてください」という依頼で、ここまで個性的なラインナップになるとは想像していませんでした。一冊じゃないし、本じゃないという型破りな書評もありました。

ある意味、これがトモノカイらしさ、学習デザイン部門らしさですね。書評だけでなく、会社として気になることがあればお気軽にお声がけください!!(名前には各メンバーへのリンクが張っていますので宜しければどうぞ)


<学習デザイン部門の過去の投稿>

『生徒が僕らを夢中にさせる』教育現場”ど真ん中”、放課後の学校で教育×ビジネス邁進中!!

『学ぶのは中高生だけじゃない!?』自分たちがやりたいから、そんな場を創ってみた

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