再び村木です。前編では私のこれまでのキャリアをお話ししましたが、今回はTelexistence(以下、TX)にジョインした経緯や、現在の業務内容、そして今後に向けた展望についてお話しさせていただきます。
1. TXジョインまでの道のり
将来のことは“戦略的”に考えない
前編でも触れましたが、私が在籍していた世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターは、経済産業省との時限的なジョイントベンチャー解消に伴い、世界経済フォーラム本体(東京・ジュネーブ・サンフランシスコなど)の運営へ移行しました。そこで、世界経済フォーラム本体へ進むか、あるいは外に出るか――という選択を迫られたわけです。
実は私は「戦略的脳死」とでも言うべき発想で、将来のことはあえて深く考えないようにしています。自分の限られた知識で想定できる選択肢には限界がありますし、外部環境は日々変化していくからです。TXジョインは、いつも通り、“ご縁”と“タイミング”と“勘”で、TXにジョインする決断をしました。ただ、これだと今回の趣旨に合わないので、後付けではありますが理由をいくつか挙げてみます。
なぜ既存ベンチャーを選んだのか
まず、私は、なるべくルールが必要ないような信頼関係のある人と働きたい、ルールがあっても自分が納得していないルールには従いたくないという、わがままな性格です。大組織にはどうしても組織を維持・管理するためのルールが多くなるため、最初から選択肢には入りませんでした。大組織が悪いということではなく、自分が合わないだけです。
ご縁やこれまでの経験のおかげで、少人数あるいは自分一人で事業を立ち上げて家族を養えるだけの仕事を得ることは、ある程度イメージできました。しかし、ゼロからベンチャーを興して大きくしたいほどのやりたいことや思い・覚悟は足りなかったと思います。そういう思い切りのない起業は成功できないですよね。
“いつか個人でやる”という選択肢は後からでも可能です。では今リスクを取るならどうするか――そこで「既存のベンチャーにジョインする」という道を選びました。いわゆる“プロ経営者”を目指す選択肢も過去の経験からは想像しやすかったのですが、最終的にTXを選んだのは、やはりメンバーとのご縁が大きかったですね。
なぜTelexistenceか
ロボット社会実装という“狂った”目標TXは「ロボットを社会に実装する」という、“狂った”目標を本気で追いかけている集団です。私は「世の中、狂った方が、言い換えると少し常識はずれなくらい突き抜けた挑戦をする方が、自由度もリターンも大きい」と考えているので、この点は非常に魅力に感じました。
ロボットを社会実装するためには、ハードウェア・ソフトウェア、AI、UI/UX、生産、オペレーション構築、事業開発、ユニットエコノミクス管理など、膨大な要素が絡み合います。これをトップ以下、本気で形にしようとしているからこそ、“狂う”には最高の環境だと思っています。
“無私”で意思決定できるメンバー
TXには、「会社や社会にとって最善は何か」を基準に迷わず決断できるメンバーが揃っています。自分を含めて、人間、なかなか自分の利益を超えて“無私”でいるのは難しいものですが、リーダーをはじめ皆がその姿勢を貫いているところは、私がTXに大きな魅力を感じた理由のひとつです。
自分の貢献余地があること
いくら素晴らしい環境でも、自分が本当に価値提供できるかどうかは別問題です。いただく報酬以上の価値を生み出せなければ、結果的に自分も周囲も不幸になってしまいます。相手のために自分が何ができるか、というのは、相手が組織でも個人でも、良い関係を築くには大事だと思っています。それでも役に立てないことはありますけどね・・・その点、TXでは、自分なりに貢献できる余地は少しはあると感じました。狂った目標達成のために大変な時もありますが、そこで“意地でも価値を提供する”という覚悟を持って仕事することが今の私にはフィットしていると思います。
2. Telexistenceでの主な業務内容
現在、私はTXの主要ビジネスであるRetail(小売)領域における事業開発とカスタマーエクスペリエンスの責任者を務めています。ありがたいことに、私のチームは新卒から若手、中堅、そしてコンビニ業界40年の大ベテランまで実に多様なメンバーで構成されています。
事業開発
ロボットのサービス契約(Robot as a Service)の新規獲得と拡大が主目的で、いわゆる営業活動やクライアント対応、そしてクライアントの要望を開発やプロダクトチームにフィードバックするなど、多岐にわたる業務を担っています。ロボットは従来の業務に大きな変化をもたらすシステムですから、導入を決断していただくためには経営陣との綿密なコミュニケーションや、導入先の店舗形態・オペレーション、飲料の形状など細部にわたる情報収集と分析が必要で、すんなりとはいきません。かなり大まかにわけると、以下3つが業務内容になります。
- 決定権限のある経営層へロボット導入の価値を理解していただく。
- 顧客のオペレーションに基づく、詳細な要件を確認。
- 必要に応じてロボットの仕様を変更できるよう、開発陣と連携。
②検証
- 実際の店舗で検証を実施し、想定通り稼働するかをチェック。
- 日常のオペレーションや新商品の納品など、リアルな環境下での安定稼働や定量的・定性的な価値測定を行う。
- TX自身がコンビニのフランチャイズ店舗を運営し、そこでの検証も行うという“狂った”取り組みをしている点も特徴です。
③本格導入
- 検証が成功すれば本格導入の契約へ。ロボットの契約交渉、導入スケジュール、オペレーション構築などを同時進行で進めます。
カスタマーエクスペリエンス
TXではロボットを売り切るのではなく、月々のフィーをいただくRobot as a Serviceモデルを採用しているため、ロボットが常に安定稼働し、正しく利用されることがビジネス継続の要となります。そこで、店舗に足を運びながら、スタッフの皆さまにロボットの正しい使い方をご説明し、問題があれば速やかに解決に導く――これがカスタマーエクスペリエンスチームの大きなミッションです。ロボットはあくまで現場を楽にするものですから、そのメリットを最大化するためにも、導入後のアフターサポートや運用定着が不可欠だと考えています。現場、そしてその先の店舗のお客様が何より大事です。
3. 今後に向けて
目標は一貫して「ロボットの社会実装」を実現すること。そのためには、まずクライアントへの価値貢献を最大化し、より多くの店舗へ導入を進めることが欠かせません。
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
という言葉がありますが、TXに入ってからは日々この言葉の重みを痛感します。私はロボットを作ったり稼働させたりすることはできないので、エンジニアやオペレーションチーム、他部署の仲間を全力で信頼し、彼らに自分の背中を預けるしかありません。その代わり自分自身の領域では、必ず価値を出すことが求められます。一人ひとりが自分の“持ち場”を守り、そこに本気で貢献する――そうした仲間を増やしていくことが、ロボットを社会実装するための最短ルートだと考えています。
もし「ロボットで社会を変えてみたい」「少し“狂った”挑戦をしてみたい」と思う方がいらっしゃれば、ぜひTXの扉を叩いてみてください。一緒に“常識はずれ”を楽しみながら、誰も見たことのない未来をつくっていきましょう!
以上が、私がTelexistenceにジョインした経緯と、いま取り組んでいること、そして私たちが目指す未来についてのご紹介でした。最後までお読みいただきありがとうございました。今後もTXの日常や新たな挑戦を随時シェアしていきますので、ぜひ引き続きご注目いただければ幸いです。